ノ・リャンジャンは地下鉄で漢河を越えた所にある。電車を降りると駅から市場に直行の
陸橋がある。ここの魚市場はソウルの胃袋でもあろう。大きな魚市場には日本で見慣れ
た魚や貝が生きたまま売られている。私たち島根県と日本海を挟んで同じ海の幸を捕
獲しているのだから、市場で見かける海産物は全くと言っていいほど変わり映えしなか
った。市場全体は清潔で魚が腐ったような臭いは全くない。
この市場で日本人は特にアワビとヒラメのニーズが高いらしく、日本人と分かると流暢な
日本語で、アワビが安いとかヒラメが食べごろだとか激しい勧誘に合い、立ち止まってゆ
っくりと眺める暇はない。店で魚を買うと提携している食堂で調理してくれる寸法になっ
ている。手術をして半年くらいの時だったから、食は細く見た目では沢山食べてみたくて
も、実際はほんのチョットあれば間に合う程度だった。
しかし、市場だから細切れのものはなく1匹単位での買い物になる。
ヒラメが安いと言うから一番小さいものを頼んだが、30cmを優に越える大きさだった。それ
に刺身用の小さなアワビを添えた。食堂に連れて行かれ、刺身とアラ鍋にしてもらう。
私が食べても刺身は数切れ、鍋にしても然り、妻が大量の刺身と鍋に戦いを挑んだ。結果
は歴然としている。敗北だった。もっと小さい魚の寄せ鍋がよかったなーと反省の弁。
普段なら海外の魚市場に来ていて何か買い物をする事などないが、キムチ作りで教わった
網エビの塩辛を購入する目的があったから、鮮魚とは少し離れた店を探した。塩辛類は種
類も多く網エビ以外にも買っておこうかと思ったが、こうした加工品は特別な味わいがある
のではないだろうからと諦めた。