ハングルは全く判らない。それなのに調理器具を使ったコメディーが面白いと聞いたの
で鑑賞することにした。日本でもよく知られているくらいだから、韓国では当然のこと大人
気。観光案内によると、こうした演劇グループは幾つかあるらしく、何処の会場も盛況だと
あった。
人気のある公演だから事前に予約しておかないと、いきなり行って当日券が手に入るかど
うか分からないのでコネストを頼り日本で注文しておいた。こうしたものもツアー会社に頼む
と食事をつけたりしたOPツアーにして倍くらいの値段になってしまうので、出来れば自分で
予約するのがいい。バウチャーを持って劇場に出向くと案の定、観客は大入りの様子で切
符を求めて並んでいた。劇場は日本で言えば小劇場と中の間くらいが満席になり、ハング
ル会話の中に日本語の会話が聞き取れる。そして特筆すべきは観客の大半が若者と言う
全く予想外に展開に驚いた。包丁で野菜を刻むリズムや調理器具で音を出し、役者の動作
に合わせ物語を形成していく。動きや役者の表情で役回りは理解できるから、言葉は分から
なくても面白さは伝わり笑いも出てくる。笑いや音楽は言葉が分からなくても伝えること、感じ
ることができるものだとつくづく感心させられる。
包丁さばきに一つとっても見ている方がハラハラするようなことを事もなげにしてしまうから、
簡単そうに見えるが本当は難易度の高いパフォーマンスだ。タイミングが狂えば自分の手や
相方の手などを切ってしまうことさえ起こり得る。ストーリーが進むに従って舞台の上は野菜く
ずで汚れていき、話も盛り上がっていく内に終わりを迎える。
観客は大拍手で満足の意を表す。言葉の分からない私たちも。
劇場は明洞の真ん中にある。