シェムリアップから南に約10Km行った所にインドシナ半島最大の湖トンレサップがある。
このツアーに申し込んだのは私たち夫婦だけだった。ホテルで待っていると日本車レク
サスに乗ったガイドがやって来て、今日のお客は私たち二人だから貸切りだと言う。
街からちょっと外れると、生活様式は異なるが私たちが、子供の頃にあった光景を見るこ
とができ、その素朴さに懐かしささえ覚える。家は高床式で周りには鶏が放し飼いされて
いて、家庭の燃料は薪だから家によっては軒下に積まれている。燃料は薪と知ってやっ
と納得できたのは、遺跡の周りは緑豊かなジャングルなのに、枯れた枝や倒れた木など
がなく、とても綺麗になっていることだった。
それでも薪に使うからとそうした木々を倒しているような痕跡はないから、人々の遺跡を敬
う意識は高いようだ。つまり枯れ木や小枝は燃料になるから拾われ持ち帰られているようだ。
ここでは子供たちは親のお手伝いをしているから、きっと子供たちは見つけたら拾っている
のではないかと思う。それにもう一つ、観光客が飲む水は全てペットボトル入りのミネラルウ
ォーターだが、何処に行っても空のペットボトルが捨てられているのを見たことがない。
道端でよく見かけるガソリン売りはペットボトルに入れて売っているから、落ちているものは拾
われて再利用されている。日本でも昔は殆どのものがリユース、リサイクルされ見向きもされ
ない物は本当に利用価値のないものだけだった。
家の周りでは子供たちが裸足同然の格好で遊んでいる、私たちは子供の時、ゴムの短靴をは
いていたから私たちの方がまだ豊かだったようだ。こうした風景、時間のゆっくりとした流れに郷
愁を覚えさせられこの地が好きになり2度も来た。そして必ずまた訪れるべき所だと確信している。
トンレサップ湖の湖岸に近くなるとヤシの葉、バナナの葉が乗せられたような粗末な家が並び、
覗いてみると電気はなくバッテリーを電源とした生活で小さいテレビもある。船着き場で車を降り
ると魚が腐った異様な臭いが漂っており、湖が如何に豊かな漁場であるかを示している。私たち
は小さな船に乗せられ沖にある水上生活の様子を見物したり一部の体験をすることが出来る。
トンレサップ湖は雨期で10000㎢、乾期だと3000㎢と水面積に大きな違いがあり、それは水深が
最大14mと最少1mという別の数字で違いを知ることができる。
この湖には沖の方に水上家屋があり、周囲は板で拡張され犬も飼われているし、野菜栽培をして
いる家もある。飲料水もここから排出する汚物も、どれもこれも一体化していて、綺麗・汚いの区別
はないのではなかろうか・・・・本当はよく分からなかった。
湖に一際大きな建物があり学校、通学は勿論、親が運転する船。
私たちが案内されたのは水上スーパーならぬ土産物屋さん。特別なものを売っているのではない
から、ここで買わなければならない物は見当たらなかった。ただ、私は煙草が欲しかったから仕方
なしにここで買ってみたら、湖外なら1ドルくらいなのに運賃込みなのか3ドルと相場より高い。
ガイドさんはコノシロのような形をしている5~6cmくらいの小魚を買って帰ると張り切っていた。魚醤
の材料にするような小さな魚で、どうしても欲しいらしく私たちを待たせておいて、あちこちに声を掛
けていたが残念ながら手に入らず。
トンレサップ湖は海跡湖だから、海から遠く離れているのにイワシなど海の魚も獲れる。
船着き場
スーパーマーケット兼レストラン
お隣へは泳いで、奥には教会
家庭菜園
湖上牧場
湖上ボーイ