シェムリアップの市場はオールド・マーケット、プサー・ルー、サマキ・マーケットと3つが有
名で、それぞれ異なる特徴を持っている。オールド・マーケットは庶民の市場の要素に加
えて観光客相手、その周辺にはレストランやおしゃれなアクセサリー店などがある。
他の2つは完全に地元の人の生活を支えている市場だ。プサー・ルーの規模は大きくこの
辺の人の生活を知るうえでとても興味深いところだ。魚類の大半はナマズのような淡水魚が
主体、肉は豚か鶏で野菜類の種類は豊富だ。特に私たちが目をひくのは果物の種類の多
さだ。竜眼、パパイヤ、ライチ、ドリアン、マンゴーなど馴染のあるものに加えて、名前が分か
らないものも多い。
庶民相手の店だから観光客の姿は余り見かけないから、私たちのようにもの珍しそうに眺め
たり写真を撮ったりしていても邪険にされることはない。どこの市場でも果物はあるがサマキ・
マーケットに並べられていたものが、一番綺麗で上品に見えた。奥の方に入って物色してい
たら、何と薪が売られていた。非常に懐かしい商品だが、大きく違うのは日本の物のようにし
っかりとしたものではなく、枝を集めたような粗末な薪だった。電気やガスのない所帯はまだ
多く需要も多いようだ。
私は好物のマンゴーを買い込む。お婆ちゃんが店番をしており、手頃な大きさのものを手渡
すと3ドルを示すと思われる3本の指を立てる。ぼられていない時は値切ることをしなくなったか
ら、素直に3ドルを渡すと、横に置いてあった竜眼をおまけにつけてくれ、にっこりと笑顔を見
せた。2度目のシェムリアップでは少し知恵がついて、機内食で出されるプラスチックのフォー
クとナイフをゲットし、それを使ってマンゴーを食べる。ベトナムに行った時、行商のお婆さんが
ナツメのような果物を売っていたので、それを買うと白い粉の入った袋をくれた。
What ?と言うと分かったのか、白い粉をつけて食べる仕草をした。何かは分からなかったが、ホ
テルで試食してみると塩に少しだけ唐辛子のようなものが入っていた。酸っぱいナツメのような
実に塩をつけて酸味を消して食べるものだった。色々な果物を試してみたがマンゴー以上のも
のはないと言うのが私の結論。
シェムリアップ中心街からアンコールワットに行く途中に日本人マダムさちこが経営するアンコー
ルクッキーの店がある。クッキーは別として、そこの入口で売っているマンゴー入りの日本式で
言うかき氷、こいつのデラックスは果物がふんだんに乘っており、暑い中これを頂くと、まさに天
国気分になる。こちらでは高級品とも思えないマンゴーはホテルのバイキングにも出てこないで、
代わりではなかろうがパパイヤ、メロン、スイカばかりが並んでいる。フルーツジュースにしても同
様だった。しかし、喫茶店やパーラーに行くとメニューにマンゴーは必ずあるから、高級なのか普
通なのか分からない。はっきりしているのは現地の人が市場で買えば安価であろうということだけ。