古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

インフルエンザウイルスワクチン(2017-18)が品薄の理由

2017-10-20 18:48:45 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

外部から問い合わせ有り、今年のインフルエンザウイルスワクチンが品薄の
理由について 記事とします。

もともと今夏から 今年はインフルエンザウイルスワクチンの供給が
遅れるらしいという噂が立っておりました。

理由は こちら

第16回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000175506.html

資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000175510.pdf

もともと今年のインフルワクチンには
卵馴化による効果減少を防ぐため、発育鶏卵によらない培養方法(細胞培養法)で作成できる
A/埼玉/103/2014(CEXP002) (H3N2亜型)が使用されるはずでしたが、

わかりやすく言えばすべてのワクチンに入れれるほど、このウイルス株が増殖しないことが
ワクチンメーカー側からの指摘で判明し、急遽、昨年使われた 
A/香港/4801/2014(X-263)(H3N2亜型)株が従来の培養方法である発育鶏卵による
培養法により使用されることになったので製造が遅れ、
したがって供給も遅れているようです。

卵馴化については 過去も書いていますが・・・

https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2301-related-articles/related-articles-417/5131-dj4177.html

実際に流行したインフルウイルス株と
国立感染症研究所が 予め予測したワクチン株がせっかく一致していたのに、
発育鶏卵法というやり方でワクチン株を増やす過程で、もともとのワクチンウイルス株が
変異(わかりやすくいうと 変身)してしまうことを卵馴化といいます。
特にH3N2亜型のワクチンウイルス株で この現象が著明に現れ、
せっかく予想が当たっていたのに、実際はワクチンを打ってもインフルエンザが大流行という
状況に陥っていたのを 今年は発育鶏卵法でないやり方で卵馴化を防ぎ ワクチン効果を高めようと
したのに、細胞培養法では思ったよりワクチンウイルスが増えなかったので メーカー側から報告を受けて
急遽、ワクチンウイルス株の差し替えが行われました。

せっかく今年は、細胞培養法でのワクチン製造の初試みであったのに、関係者の方々は
さぞかし落胆されておられることと存じます。
(いつも苦労して流行ウイルス株を予想しているのに
流行ウイルス株が予想ウイルス株と概ね当たっているのにも拘らず 
卵馴化のせいでインフル大流行では報われませんよね・・・)

当院は偶然ですが、現時点でワクチンが十分入っています。
お困りの方はご一報ください。値段も昨年と変わりありません。

また当院では従来から輸入インフルエンザ生ワクチンであるフルミスト接種も
行っておりますが、現在はキャンセル待ちの状況で、いまだ入荷予定はありません。
入荷いたしましたら ホームページにて告知いたします。

広報まで。

http://komori-hp.cloud-line.com/
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