古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

お勉強

2019-12-03 20:58:00 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

11月末から12月初めにかけては 研修のラッシュでした。

<肺癌研修会>

管理人が肺がんの治療に関わっていたのは、かなり
以前のことであり、現在のように分子標的薬や免疫療法などはまったくない時代で、
手術できない肺がんの治療成績はすこぶる悪く、とにかく
肺癌はまずは禁煙を推進、そして呼吸器内科医は画像診断読影の腕を上げて
健診による早期発見というのが基本でした。

禁煙推進と画像診断の勉強会は今でも盛んに行われていますが
ある種の肺癌は分子標的薬が効果を上げることが判明し、(他の臓器の癌でも使用されていますが)
治療法がかなり変わりました。

今回の研修会は早期でない肺癌の治療のお話で
ある種の肺癌の発生に関わる変異した遺伝子を 簡単に言えば抑え込むチロシンキナーゼ阻害剤と
人にもともと備わっている免疫機構を活性化させる免疫チェックポイント阻害薬についての
講演で、今まで聞いた同様のお話の中でも 非常にわかりやすいご講義でした。

進行肺がんの治療については、こちらのスライドが比較的わかりやすいかも・・。
http://gan-mag.com/lung/6180.html

<第28回日本消化器関連学会>

肺癌研修会の次の日、神戸に行って、一日だけ参加しました。
消化器関連はあまり大きく変わった面はありませんでしたが
逆流性食道炎の加療に用いられるプロトンポンプ阻害剤と言う
薬剤の長期投与に関わるシンポジウムがまあまあ面白かったです。
プロトンポンプ阻害剤は強酸である胃酸を中和して アルカリ側に傾ける薬ですが
もともと胃液が強酸であるのは 食物の消化や殺菌などの理由があるわけなので
そこをブロックするのは本来の胃酸の役割から言えば
理にかなってないと皆が思っています。

ピロリ菌を除菌したら逆流性食道炎が増えるだろうと以前から言われており、
逆流性食道炎が増えたら 今度はバレット食道癌と言われるタイプの食道癌が増えると言われています。
このことは今後の経過を追っかけないと不明ですが、逆流性食道炎を抑えるプロトンポンプ阻害剤を
長期的に使っても、大きな問題は今のところ起きていない(らしい)という結論のようでした。

あとは再生医療の話があっていましたが、こちらは再生医療関係の学会のほうが
盛り上がっていそうな印象でした。

<ケアマネ更新研修>

3日連続で研修・・。
ケアマネ更新研修は、相も変わらず居宅の話ばかりで
今日は運営側に意見を申し上げました。

「強制でこないといけない研修なのに、居宅の話ばかりで、施設の話がまったくないのはおかしいですよね」
「施設の人間は忙しい中、時間を割いてきているのに、仕事上 まったく役に立たない
話ばかり聞かされて、時間の無駄です」
「居宅も大変でしょうけど、施設には施設の悩みがあります。施設ケアマネを講師にしてください」

講師の方は「そうですね」(としかいいようがない。居宅の話が100%のため。)
「検討させていただきます」(本当だろうか・・?)

全国の施設ケアマネージャー、声を上げないと現状が変わりませんよ!?
管理人は振り返りのレポートも講習前後で「講習で得たものはない」「実務上活かせることはない」
ときっぱり書いています。皆さんも振り返りレポートで、自分の仕事上 役に立たないものは立たないと
はっきり書きましょう。

<福岡県アレルギー研修会 第二回>

福岡県アレルギー疾患拠点病院の福岡病院主催の勉強会で
今回は花粉症と果物アレルギー、アトピー性皮膚炎のお話でした。

アトピー性皮膚炎の外用薬(塗り薬)の塗り方の教育 兼 皮膚炎治療のための入院(1週間)というタイプの
入院形態があるということを初めて知りました。
ステロイドホルモンの塗り薬に抵抗がある人が少なくないのでしょうね。

<前立腺癌講習会>

「前立腺癌検診は死亡率を低下させないので 公費を使ってやるだけ無駄」
という発表が物議をかもしている前立腺癌検診ですが、
昨日の先生のお話では、きちんとしたデザインによる統計手法であれば
死亡率を下げる効果があるというデータが出ていること。
前立腺癌自体が 高齢の男性に発生しやすいこと。
(よって癌検診で発見しても、もともと生命予後が短い)
健診対象の男性が、50~64歳の男性なら 死亡率を下げること。
年齢によって、PSA検診から実際に生検(組織を取って 検査する)に回す値を変えること。
先にMRIを撮影してから、生検場所を確定すること。
細菌感染を防ぐために、直腸からの生検をやめて 会陰(精巣と肛門の間)からの生検に移行しつつある(?)こと。
生検で悪性腫瘍が検出されなくても、しばらく監視すること。などなど 泌尿器科医ではない管理人にとっては
面白いお話でした。

前立腺癌の受検率はかなり低いということでしたが、福岡市に関しては 年に2回(10月と2月の一カ月ずつ)しか
行っていませんし、まあそうだろうと思いました。

男性の前立腺癌検診は最初は採血のみですし、
女性の乳癌のマンモグラフィー(乳房を押しつぶして撮影するので相当痛い)、
内診台への搭乗を要求される婦人科検診に比べ(あの台に載らなくっても婦人科検診はできると思うんだけど・・) 
かなり負担が少なく 女性の立場から見ると非常にうらやましいです・・。




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