ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

52 国生み神話空白地域は「ヤマトノオロチ王」の国

2009-07-04 11:17:22 | 歴史小説
津国の住吉大社(宮司は津守氏):ウィキペディアより


●ヒメ 21:53
推理小説の謎解きのポイントは、書かれているところではなく、当然、書かれていなければならないのに書かれていないところにあるのよ。国生み神話も同じじゃあない。

●ボク 21:55
国生み神話は2つの地域に分かれます。登場しない地域とあわせると、3地域になります。
① 天の別名が付く島:津馬、壱岐三子島、隠岐島、女島、知訶島、兩兒島、大倭豊秋津島
② 天の別名が付かない島:淡路島、伊予二名島、筑紫島、佐渡島、吉備児島、小豆島、大島
③ 登場しない国:出雲、吉備、播磨、摂津、淡海、大和、丹後、越

●ヒナ 22:01
国生み神話は、海から拠点を築ける島が中心です。
その島々も、天が付くのは対馬海流に沿った島々で、瀬戸内海は西に限られます。天が付かない島になって、ようやく瀬戸内海全域になりますが、内陸部には及びません。内陸部まで含むのは筑紫島と伊予二名島だけです。

●ヒナ 22:05
そうすると、出雲などの「国生み神話空白地域」は、イヤナギ・イヤナミ時代には支配下に入っていない、ということになるわね。

●カントク 22:07 
ようやく、スサノオの話に帰ってきたな。前にもみたが、ヤマタノオロチ王をスサノオが殺して、やっと「国生み神話空白地域」の出雲・吉備が支配下に入り、播磨・伊予・讃岐・摂津・大和へと支配が広がったんじゃ。

●ボク 22:10 
摂津国は、もともとの名前は津国でしたから、津島とはゆかりがある可能性があります。

●カントク 22:11 
ヤマタノオロチ王の剣が、天皇家の「三種の神器」となっているということは、偉大なヤマタノオロチ王の国をスサノオが受け継ぎ、さらに天皇家が継承した、ということを示しておる。支配地の王の娘を差し出させるというのは、大国主や天皇家、戦国大名など、支配者がみなやってきたことじゃ。ヤマタノオロチを山賊扱いし、「征伐」などというのは歴史の改竄じゃ。

●ヒメ 22:15 
そうすると、銅鐸圏というのは「ヤマタノオロチ王」=「ヤマトノオロチ王」の支配域を示しているのかしら?

●カントク 22:17 
いつもながら、ヒメの推理というのは自由奔放じゃな。銅鐸圏の支配者「ヤマトノオロチ王」というのは面白い。
「書かれていないところに真実あり」という眼で見ると、天皇家が記紀の中で「ヤマト」や「日本」の由来を何も語っていないことは不思議なんじゃ。いずれ、この謎解きもやらねばならんな。

●マル 22:21 
「国生み神話空白地域」は、次の須佐之男大神~大国主神の時代に支配地域に組み込まれた、というわけね。

●ヒナ 22:22 
神話が歴史を伝えているとすると、この国は、津島の天族の対馬海流地域と西瀬戸内海の島々への拠点づくり → 天族の筑紫・四国から東瀬戸内海の島々への進出 → 出雲へのイヤナギ・イヤナミの天降り → スサノオのヤマタノオロチ支配地域への進出、と4段階で支配が広がったということになります。

●ボク 22:26
面白いので謎解きにどんどん引き込まれていきますが、「神話が歴史を伝えているとすると」というところは、最後に、徹底的に議論しましょう。


(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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