ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

53 イヤナギの禊ぎ祓いの場所は出雲か筑紫か?

2009-07-10 10:28:17 | 歴史小説
旧甘木市の「ひな城(蜷城)」にある「美奈宜(ひなぎ→みなぎ)神社」


●ヒメ 22:28
イヤナギ・イヤナミは出雲で地上に降り、イヤナギは筑紫に移動するわよね。

●ヒナ 22:29
そうなんです。ここからは地上の物語ですから、イヤナギは出雲の揖屋から、船に乗るか陸上を移動したことになります。

●ホビット 22:31
そうすると、その場所は地上で突き止めることは可能ですね。

●ヒナ 22:32
イヤナギは「筑紫の日向の橘の小門(おど)の阿波岐(あはき)原」にきて、禊ぎ祓いを行います。身につけている物を脱いで12神、体を濯(すす)いで14神を生みます。
その最後の3神が、左目を洗って生まれたのが天照大御神、右目を洗って生まれたのが月読命、鼻を洗って生まれたのが建早須佐之男(タケハヤスサノオ)命です。

●ヒメ 22:36
黄泉の国から帰ってきたイヤナギは、死の国の穢れを地上でバラまかないように、すぐに祓い落とす必要があるんじゃないの?

●カントク 22:38
古代人にとって、死の穢れは、鳥インフルエンザやコレラ以上に恐ろしいものだったに違いない。黄泉の国から揖屋で地上に逃れ、直ちに目の前の意宇川で禊ぎ祓いを行ったのに違いない。

●ボク 22:40 
出雲から筑紫に移動するとなると、崎々を巡り、あるいは山川を越えて1か月はかかるでしょうから、途中、海や川に浸かりますから、禊ぎ祓いは済んでしまいます。

●カントク 22:42 
ボクちゃんは通説派かと思っておったが、どうやら「隠れ古田武彦ファン」だったようじゃな。

●マル 22:35
イヤナギの「意宇川での禊ぎ祓い説」の可能性は高いようね。そうすると、アマテラス・ツキヨム・スサノオ3姉弟は、出雲で生まれたことになるの?

●カントク 22:37
「イヤイヤ、待ってよ、イヤナギさん」。スサノオは出雲で生まれたが、アマテラス・ツキヨムは筑紫で生まれた可能性もある。歌舞伎を思い出してもらいたいな。時空を超えて、遠く離れた2つの事件が、物語としては簡単に結びつくんじゃ。

●ボク 22:40
イヤナギが禊ぎ祓いで生んだ12神+14神のうち、12神は出雲、14神は筑紫の可能性もありますよね。あるいは、最後の3神だけが筑紫の可能性もあります。

●ホビット 22:42
スサノオ探偵団としては、先に「筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原」の場所を捜しませんか?

●カントク 22:43
ボクちゃん、整理してよ。

●ボク 22:44
「筑紫の日向の橘の小門の阿波岐原」については、4つの説があります。
① 宮崎県宮崎市:「筑紫」は九州全体、「日向」は日向(ひむか:ひゅうが)=宮崎県、「小戸」「橘」「阿波岐原」の地名がある。
② 福岡県前原市:古田武彦氏の説で、「筑紫」は北九州を指し、「日向」は「日向峠(ひなた)」を指す。
③ 福岡県朝倉市(旧甘木市):安本美典氏の説で、「筑紫」は北九州を指し、「橘」「杷木」の地名が残る。また、高天原神話の「安川」「高山(香山)」「高木」の地名がある。日向勤氏の説では、「日向」は「ひな」で、甘木の「蜷(ひな)城、美奈宜(みなぎ=ひな城)」。

●ホビット 22:52
地名から見る限り、宮崎県宮崎市か福岡県朝倉市が有力ですね。

●ボク 22:53
ただ、26神誕生物語は、記紀作成時に創作された物語である可能性もありますし、後世の人々が記紀にあわせて地名を創作した、という可能性もあります。

●カントク 22:55 
しかし、日本書紀によれば、景行天皇は子湯から夷的(ひなもり:現在の小林市)にかけて巡行しておる。斉明天皇(中大兄皇子、後の天智天皇の母)は、唐・新羅との戦いに備えて甘木の「橘」に「朝倉橘広庭宮」を設けておる。
ところが、どちらも、この地でアマテラスが生まれたことを記していないし、祖先の祭りを行っていないんじゃ。

●ヒメ 23:00 
いいところで、いつも時間切れ。悪いけど、お開きにしましょう。次の予定はメールで決めましょう。みなさん、おやすみなさい。

●ホビット 23:02
お休みなさい。私だけは、これからエルドラドの黄金探しの1日です。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

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