海軍大将コルシンカの航海日誌

ロシアの作曲家リムスキー=コルサコフについてあれこれ

モスクワ・レーリッヒ記念館(1)

2016年05月24日 | モスクワ巡り
ニコライ・レーリッヒ――――あまり馴染みのない名前かもしれませんが、彼ほど深く、汲み尽くせぬ人物もそうはいないことでしょう。
彼の肩書は、一般には「ロシア生まれの画家」ということになりましょうが、それにとどまらず、考古学者、文学者、探検家、平和活動家など多彩な顔があります。
《春の祭典》の舞台や衣装を手がけたことがよく知られていますが、私的には彼がリムスキー=コルサコフの墓のデザインをしたこと、ここに大きな関心があります。

そんなレーリッヒの記念館がモスクワにあるというので、自由散策2日目に訪れてみることにしました。

ただこの施設は日本ではあまり情報がなく、事前に知りえたのは「プーシキン記念美術館(ヨーロッパ・コレクション部)の奥にある」ということくらいでした。
行ってみても休館日だったり、改修中だったりとかで中に入れない可能性もあったのですが、場所はあっさり見つかりました。




ヨーロッパ・コレクション部の脇の道を奥に進むと、つきあたりに看板が見えます。




看板のアップ。訳せば「N.K.リョーリフ記念博物館」となるのでしょうが、この施設に定着した邦訳は無いようなので、ここでは「モスクワ・レーリッヒ記念館」としています。
彼の名前はロシア語の「リョーリフ」という呼び方よりは「レーリッヒ」のほうが通りが良いのと、ニューヨークにもあるらしい同様の施設と区別するためです。

柵の間からのぞき込むとこんな感じ。
横長のファサードの中央にペディメントと列柱を配する建築意匠は、モスクワ市中のいたるところで見かけました。
あいにくの天候でしたが、晴れていれば緑が映える光景だったことでしょう。




どうやら本日は開いているようです。門を入っていくとこのような小路になっています。




建物の端までやってきて眺めてみます。手前のひさしのある部分がエントランスです。その左にあるのは、レーリッヒ夫妻の銅像。




さてエントランスの扉を開けて中に入っていくと、前日に訪れたチャイコの博物館と同様、すぐに施設というわけではなく、入口のセキュリティチェックが。
もっとも空港のセキュリティゲートのようなものはなく、やる気のなさそうなおじさんが机一つ、椅子にはだらしなく腰かけているだけです。
「カッサはどこ?」と尋ねると、面倒くさそうに上を指さすのみ。前日に多少の免疫は出来上がっていましたが、日本人には戸惑ってしまうおもてなしです。

見上げると、彼の描いた絵が数枚、シャンバラの聖印ともいわれるマークを染めた布を広げる女性像(彼の絵画作品にしばしば登場する)が目に入ります。




階段を上って右側が事務室然としたチケット売り場、その左奥が荷物置場になっています。(記憶違いはご容赦を)
続きます。