写真のアクアスクータは数年前のAS600型で、薄い黄緑色のタンクなので残燃料量が一目瞭然、使い易かったがすぐに廃止されてしまい残念だ。
=初回立ち上げページは写真が表示されないなどの不調があり、あれこれと混乱したが、現在は正常に表示できると思います。=
アクアスクーターは経験的には新品のうちは簡単に始動が出来る。しかし水辺へ持参していざ始動しようとして苦労することが非常に多い。事前の点検と私なりのトラブル対策を説明したい。
以下、キャブレタのH/Lネジ調整は取扱説明書に従って事前に済ませてあるものとする。
使用時の点検項目:
1,スノーケル内部に砂・異物が無いことを確認し、流れ止め紐を掛けた上、確実に取付ける。プラグ、エルボ及びチューブ類がしっかり固定されていること。
2,排気バルブが正常に取付けられている事。ゴムカップがヘタっておちょこになったり、縁が折れ曲がっていないこと。
3,燃料蓋からの燃料漏れが無いこと。燃料コックは閉じてあること。
4, スタータロープが傷んでいないこと。私は丈夫なケブラーかダイニーマロープに交換している。その長さも、ずっと長くしてある。
5,燃料の混合比が大きく変った時はL及びH ネジ(アイドル・ISC/メインジェット調整ネジ)の再調整を念頭に置く。
6,一旦始動し、スノーケルを手で塞いですぐ停止すること。そのまま手が吸付けられる陰圧状態が続けば、スノーケルが確実に締め付けられており、吸気系には“急激な”漏れはないと確認できる。
7,時々燃料タンクに水混入がないことを確認する。これは、空気室に入った水が右側の緑色チューブを通じて燃料タンクに吸込まれて自然に溜まる、或いはタンク中での結露があるからだ。荒れた海で、点検せず連日使用したら、1週間後には1cm程も水が溜まっていたことがある。この時は、運転中に時々エンストしそうになって気がついた。こうした目的の為に、写真のような簡単なスポイトを用意しておくと好都合だ。水はタンクの底に溜まるので、吸い込んだガソリンに混入があるかの確認が簡単にできる。また、後述する様に、シリンダにオイルを入れるなどにも使える。
8,スタータロープが全く引けない(ガシッと止ってしまう)時はクランク室やシリンダ内部への浸水なので急いで!排水して再始動を計る。無理に引いてもスタータ部を壊す事ぐらいにしかならない。
9,水に入ったとたんに止まったり、始動出来ないことが多いが、現場ではボートダイビングやら、崖を降りて入水の場合など、事前確認が困難なことも多い。そんな場合には事前に、簡易的な確認として、一旦始動して排気バルブ=ゴムカップをある程度強く押付けてもエンストしないことを確認しよう。ゴムカップのみを嵌めて指で押付けるか、或いはバルブのプラスチック製止め栓の穴に(写真参照)ドライバーなどを差し込み、ゴムカップの尻を押さえることが出来る。これは排気抵抗を大きくすることで、エンジンの健康状態を推察しようというものだ。キャブ調整が悪かったり、点火時期が狂っていたり、圧縮不足などがあるとすぐエンストしてしまう。
現地での始動法と入水
必ず!水に入る前に始動してみること:
車の振動を受けながら海岸に到着した本機の内部では、場合によっては大量のガソリンがキャブレタや流路に垂れ込んでいることがある。そのまま水に入って使おうとしても始動しないことがしばしばあり、点火プラグを外してみると電極に燃料が水玉のようにくっつき、完全に被ってしまっている。
このような、「プラグ被りで始動出来ない」というのが最大の難問で、当たり前に起きるので、現場での最初の始動は重要だ。一発始動ができればいつも安心する。
そこで、必ず水に入る前には陸上で一旦エンジンが始動することを確認する。その時、砂浜ではスノーケルに砂を吸込まぬよう注意が必要だ。細い管を使っていたAS400のスノーケルには金網のフイルタが入っていたが、その後のモデルではパイプが太くなり、逆にフィルタは廃止された。砂を吸い込んだりすると、そのままエンジン内に達し、シリンダ・ピストンを傷つける恐れがある。
始動に当たっては、先ずは既に点検が済んでいても、燃料タンクキャップは一旦緩めて内部圧力を抜く。その後燃料コックを開ける。燃料系・キャブレタに燃料が残っていると思われる時は燃料コックを閉めたままでも構わない。
チョークは掛けず(つまりレバーは Run 位置)、アクセルを少し握って紐を引いてみる。燃料コックから先の燃料系が完全に空になっていれば、燃料が廻るまで5~6回は紐を引くことになる。反応があればそのままアクセルで回転を上げる。燃料コックを閉じたままの場合はすぐエンストするから、開けて再度始動する。
これで暖機も出来るわけだが、始動確認程度にとどめ、数秒で停止しないと加熱によってシール類変形の不安がある。アルミの胴体部を触ってほんのり熱くなる程度で停止しないと不安だ。
キャブレタまで燃料は廻っている筈なのに5~6回引いても掛からなければ、チョークを掛けた(Start‐Stop位置)上で紐を引く。チョークは殆どの場合は不要だ。
しかし陸上であろうと水面であろうと、常にチョークを掛けて一瞬始動音を聞いてからでないと正常に始動しないことが結構起きる。この場合はキャブの調整が狂っていると思われるので、その場で或いは後でねじを再調整するか、燃料流量調整膜の交換を検討する。
入水したら本体を冷やさないつもりで出来る限り急いで始動させ、暫く吹かして様子を見る。
また、岸辺で始動させ、そのまま入水して吹かしてみるのは望ましい方法で、調子が悪ければ入るとエンストするので、作動確認には最適だ。
どちらの場合も、そのまま水中で一旦停止し、再始動が問題なくできるか確認する。水中での始動には、腕を一杯に伸ばして本機を体から離し、そしてロープを大きく引くと良い。
これで数分間も最大速で運転できれば、温度も上昇し内部各所に付着した水分、燃料やオイル残滓などが吹き飛ばされ、調子が上がる。
なお、使用中は高回転を保つことでスパークプラグの温度が高く、煤などは再燃焼し、灰などの燃焼生成物は付着せず再始動に有利だ。取説にも低速運転を続けるとエンストすることがあるとの注意書が有るが、それは内部が冷えていけばプラグに煤や未燃成分が付着しやすくなるからだ。吹かすか、さもなければ止めるという、低速運転を避ける使い方が良いと思われる。
エンジン停止法:
エンジンの止め方によって、プラグ被りを起こし易いらしく再始動に大きく影響するようなので、停止法にも気を配る必要がある:
停止は、短時間ならスノーケルを塞いで空気を止めて停止させる。しかしスノーケルに延長パイプを付けている場合は通常手が届かず、チョークで止める。
マニュアルに依れば、エンジンが冷え切る程止めるなら、本体にRun・Stopと表示されている通り、レバーを停止側、つまりチョークを掛けた状態にする。そうすると濃い混合気で点火プラグが濡れて(被って)失火、停止となる。プラグはその後余熱で乾燥するが、水分・不純物が残って絶縁低下状態のままということもある。内部全体に残留する混合気は潤滑を保つには役立つのだろうが、再始動には濃過ぎて却って不利なのではないかとも感じている。
私は、キャブも含めた内部をできるだけ乾燥させるために、燃料コックを閉じて止めることが多い。こうして止めると再始動時には、燃料過剰によるプラグ被りが生じ憎いとの素人考えからだ。しかし、この方法では魚を見つけても瞬間的にエンジンを止めることは出来ず、燃料系が空になるまで数秒は掛かってしまう。また始動する時には4~6回ほども紐を引かないと始動せず、頻繁にやると肩・腕が痛くなる。
そこで私が常用する方法は、先ずコックを閉じ、続いてスノーケルを塞いで止めるというもの。その間一瞬の遅れがあるので、エンジンは廻り続けて燃料系の中身が減り、再始動時には過剰燃料によるプラグ被りを起しづらいという考えだ。この場合、普通は1発再始動が出来るが、結局プラグ被りを起こしてしまう時もあるので、万能だと言うつもりはない。
なお、空気を止めるのも、燃料を止めるのもエンジンに悪影響を及ぼすと言う論者も居るし取説(マニュアル)でも時によりチョークだったり空気だったりと混乱を来すが、私の経験的にはチョークで停止するより空気を止める方が再始動のトラブルが少ない。
魚突きでは停止・再始動が頻繁で、短時間での再始動はあまり問題ない。しかし長時間停止状態でエンジンが完全に冷えてしまう(5分以上か?)とプラグ被りを起こして再始動出来ないことが増えるようだ。従って、大物を見つけて狙う場合などは、出来る限り燃料コックを閉じて止める方が良さそうだ。
ボディーボードなどを曳いていれば、本機を倒して載せておくとトラブルを起し難い。
どんな止め方をしても、再始動するときには、チョークレバーを忘れずに Run 位置にしておくこと。さもないと燃料過多ですぐにプラグ被りを起こしてしまう。
出水・上陸時:
停止して上陸したら早めに再始動し、空吹かしして排気口から残滓を吐き出しておく。マフラ内部に設けられた凹凸に廃液が溜まるので、本体後部(尻)を下げたり上げたりして吹かすと排出し易い。
可能であればエンジンを回したまま上陸し、同様に空吹かしする停止法を採るのが最良だ。これだと停止に伴う陰圧で排気バルブから海水を吸込む心配が無くなる。
1日の終りには:
エアタンクに浸水があれば排出する。
注水しながら、或いは水に漬けて暫く運転する。
排気バルブを外して更に残滓を排出する:遠征中には面倒だが毎日注意した方が良い。この時、止めリングとバネを取り外すだけでゴムカップは浮いた状態になるので残滓は出てくる。外したリングとバネは無くさぬよう紐に通すか容器に入れておくのが安全だ。
タンク内の燃料への水混入の有無を確認する:一旦他の容器に移す必要があるがペット(PET)ボトルは樹脂が溶け出して燃焼に影響するというので短時間の使用に止めたほうが良さそうだ。
数ヶ月以上使わぬ時は;
まず清水中で運転する。
燃料タンクを空にし、燃料コックを開けたまま始動してキャブ内を空にする。1分以上掛かることもあるので水中で或いは水を掛けながらすること。もっと容易なのは、燃料チューブをコックのところで抜き、チューブ内のガソリンを排出してから始動することだ。これでキャブレタ内のガソリンが短時間で完全に無くなり、流量調整膜の劣化を遅らせる効果がある。また、キャブなどに燃料が残留していると、ガソリンが蒸発し、粘度の高い潤滑オイルが流路に残留するのを塞ぐことにもなる。
次に、プラグを外し、逆さにして始動紐を何度も引いてクランク室に残留しているかもしれない水を排出する。マフラを通しての排水も考慮して、プロペラ側を下にした姿勢でも同様にする。
プラグ穴から内部に潤滑油を滴下し、始動紐を数回引いて内部に行き渡らせる。
排気バルブ(=ゴムカップ)を外して保存し、本体を前後に傾けてしばらく置き、マフラに残留している廃液を排出させる。適当に水中で運転して放置すると、いつまでたってもこの廃液が出続けて不思議な感じがする。
可動部分に注油
ビニ袋などに入れて収納
毎週のように始動させた方がエンジンにとって良いとの意見もある。これはキャブレタを頻繁にガソリンが通ることで清浄を保つからという。しかし保存が長期に亘る場合はそうも行かないであろう。
次回以降は:現場でのトラブル対策(現地で可能な応急措置)を紹介の予定。
その後は各種整備情報源の紹介
整備・修理手順として
キャブレタ
スタータ
プラグ・高圧部
エンジン本体
などと進めていくつもりです。排気バルブ廃止の改造もあり。
また魚突きそのものは関連事項として適宜紹介予定です。
=小坂夏樹=
=Blog 第2回「アクアスクータ取扱方法」終り=
=初回立ち上げページは写真が表示されないなどの不調があり、あれこれと混乱したが、現在は正常に表示できると思います。=
アクアスクーターは経験的には新品のうちは簡単に始動が出来る。しかし水辺へ持参していざ始動しようとして苦労することが非常に多い。事前の点検と私なりのトラブル対策を説明したい。
以下、キャブレタのH/Lネジ調整は取扱説明書に従って事前に済ませてあるものとする。
使用時の点検項目:
1,スノーケル内部に砂・異物が無いことを確認し、流れ止め紐を掛けた上、確実に取付ける。プラグ、エルボ及びチューブ類がしっかり固定されていること。
2,排気バルブが正常に取付けられている事。ゴムカップがヘタっておちょこになったり、縁が折れ曲がっていないこと。
3,燃料蓋からの燃料漏れが無いこと。燃料コックは閉じてあること。
4, スタータロープが傷んでいないこと。私は丈夫なケブラーかダイニーマロープに交換している。その長さも、ずっと長くしてある。
5,燃料の混合比が大きく変った時はL及びH ネジ(アイドル・ISC/メインジェット調整ネジ)の再調整を念頭に置く。
6,一旦始動し、スノーケルを手で塞いですぐ停止すること。そのまま手が吸付けられる陰圧状態が続けば、スノーケルが確実に締め付けられており、吸気系には“急激な”漏れはないと確認できる。
7,時々燃料タンクに水混入がないことを確認する。これは、空気室に入った水が右側の緑色チューブを通じて燃料タンクに吸込まれて自然に溜まる、或いはタンク中での結露があるからだ。荒れた海で、点検せず連日使用したら、1週間後には1cm程も水が溜まっていたことがある。この時は、運転中に時々エンストしそうになって気がついた。こうした目的の為に、写真のような簡単なスポイトを用意しておくと好都合だ。水はタンクの底に溜まるので、吸い込んだガソリンに混入があるかの確認が簡単にできる。また、後述する様に、シリンダにオイルを入れるなどにも使える。

8,スタータロープが全く引けない(ガシッと止ってしまう)時はクランク室やシリンダ内部への浸水なので急いで!排水して再始動を計る。無理に引いてもスタータ部を壊す事ぐらいにしかならない。
9,水に入ったとたんに止まったり、始動出来ないことが多いが、現場ではボートダイビングやら、崖を降りて入水の場合など、事前確認が困難なことも多い。そんな場合には事前に、簡易的な確認として、一旦始動して排気バルブ=ゴムカップをある程度強く押付けてもエンストしないことを確認しよう。ゴムカップのみを嵌めて指で押付けるか、或いはバルブのプラスチック製止め栓の穴に(写真参照)ドライバーなどを差し込み、ゴムカップの尻を押さえることが出来る。これは排気抵抗を大きくすることで、エンジンの健康状態を推察しようというものだ。キャブ調整が悪かったり、点火時期が狂っていたり、圧縮不足などがあるとすぐエンストしてしまう。

現地での始動法と入水
必ず!水に入る前に始動してみること:
車の振動を受けながら海岸に到着した本機の内部では、場合によっては大量のガソリンがキャブレタや流路に垂れ込んでいることがある。そのまま水に入って使おうとしても始動しないことがしばしばあり、点火プラグを外してみると電極に燃料が水玉のようにくっつき、完全に被ってしまっている。
このような、「プラグ被りで始動出来ない」というのが最大の難問で、当たり前に起きるので、現場での最初の始動は重要だ。一発始動ができればいつも安心する。
そこで、必ず水に入る前には陸上で一旦エンジンが始動することを確認する。その時、砂浜ではスノーケルに砂を吸込まぬよう注意が必要だ。細い管を使っていたAS400のスノーケルには金網のフイルタが入っていたが、その後のモデルではパイプが太くなり、逆にフィルタは廃止された。砂を吸い込んだりすると、そのままエンジン内に達し、シリンダ・ピストンを傷つける恐れがある。
始動に当たっては、先ずは既に点検が済んでいても、燃料タンクキャップは一旦緩めて内部圧力を抜く。その後燃料コックを開ける。燃料系・キャブレタに燃料が残っていると思われる時は燃料コックを閉めたままでも構わない。
チョークは掛けず(つまりレバーは Run 位置)、アクセルを少し握って紐を引いてみる。燃料コックから先の燃料系が完全に空になっていれば、燃料が廻るまで5~6回は紐を引くことになる。反応があればそのままアクセルで回転を上げる。燃料コックを閉じたままの場合はすぐエンストするから、開けて再度始動する。
これで暖機も出来るわけだが、始動確認程度にとどめ、数秒で停止しないと加熱によってシール類変形の不安がある。アルミの胴体部を触ってほんのり熱くなる程度で停止しないと不安だ。
キャブレタまで燃料は廻っている筈なのに5~6回引いても掛からなければ、チョークを掛けた(Start‐Stop位置)上で紐を引く。チョークは殆どの場合は不要だ。
しかし陸上であろうと水面であろうと、常にチョークを掛けて一瞬始動音を聞いてからでないと正常に始動しないことが結構起きる。この場合はキャブの調整が狂っていると思われるので、その場で或いは後でねじを再調整するか、燃料流量調整膜の交換を検討する。
入水したら本体を冷やさないつもりで出来る限り急いで始動させ、暫く吹かして様子を見る。
また、岸辺で始動させ、そのまま入水して吹かしてみるのは望ましい方法で、調子が悪ければ入るとエンストするので、作動確認には最適だ。
どちらの場合も、そのまま水中で一旦停止し、再始動が問題なくできるか確認する。水中での始動には、腕を一杯に伸ばして本機を体から離し、そしてロープを大きく引くと良い。
これで数分間も最大速で運転できれば、温度も上昇し内部各所に付着した水分、燃料やオイル残滓などが吹き飛ばされ、調子が上がる。
なお、使用中は高回転を保つことでスパークプラグの温度が高く、煤などは再燃焼し、灰などの燃焼生成物は付着せず再始動に有利だ。取説にも低速運転を続けるとエンストすることがあるとの注意書が有るが、それは内部が冷えていけばプラグに煤や未燃成分が付着しやすくなるからだ。吹かすか、さもなければ止めるという、低速運転を避ける使い方が良いと思われる。
エンジン停止法:
エンジンの止め方によって、プラグ被りを起こし易いらしく再始動に大きく影響するようなので、停止法にも気を配る必要がある:
停止は、短時間ならスノーケルを塞いで空気を止めて停止させる。しかしスノーケルに延長パイプを付けている場合は通常手が届かず、チョークで止める。
マニュアルに依れば、エンジンが冷え切る程止めるなら、本体にRun・Stopと表示されている通り、レバーを停止側、つまりチョークを掛けた状態にする。そうすると濃い混合気で点火プラグが濡れて(被って)失火、停止となる。プラグはその後余熱で乾燥するが、水分・不純物が残って絶縁低下状態のままということもある。内部全体に残留する混合気は潤滑を保つには役立つのだろうが、再始動には濃過ぎて却って不利なのではないかとも感じている。
私は、キャブも含めた内部をできるだけ乾燥させるために、燃料コックを閉じて止めることが多い。こうして止めると再始動時には、燃料過剰によるプラグ被りが生じ憎いとの素人考えからだ。しかし、この方法では魚を見つけても瞬間的にエンジンを止めることは出来ず、燃料系が空になるまで数秒は掛かってしまう。また始動する時には4~6回ほども紐を引かないと始動せず、頻繁にやると肩・腕が痛くなる。
そこで私が常用する方法は、先ずコックを閉じ、続いてスノーケルを塞いで止めるというもの。その間一瞬の遅れがあるので、エンジンは廻り続けて燃料系の中身が減り、再始動時には過剰燃料によるプラグ被りを起しづらいという考えだ。この場合、普通は1発再始動が出来るが、結局プラグ被りを起こしてしまう時もあるので、万能だと言うつもりはない。
なお、空気を止めるのも、燃料を止めるのもエンジンに悪影響を及ぼすと言う論者も居るし取説(マニュアル)でも時によりチョークだったり空気だったりと混乱を来すが、私の経験的にはチョークで停止するより空気を止める方が再始動のトラブルが少ない。
魚突きでは停止・再始動が頻繁で、短時間での再始動はあまり問題ない。しかし長時間停止状態でエンジンが完全に冷えてしまう(5分以上か?)とプラグ被りを起こして再始動出来ないことが増えるようだ。従って、大物を見つけて狙う場合などは、出来る限り燃料コックを閉じて止める方が良さそうだ。
ボディーボードなどを曳いていれば、本機を倒して載せておくとトラブルを起し難い。
どんな止め方をしても、再始動するときには、チョークレバーを忘れずに Run 位置にしておくこと。さもないと燃料過多ですぐにプラグ被りを起こしてしまう。
出水・上陸時:
停止して上陸したら早めに再始動し、空吹かしして排気口から残滓を吐き出しておく。マフラ内部に設けられた凹凸に廃液が溜まるので、本体後部(尻)を下げたり上げたりして吹かすと排出し易い。
可能であればエンジンを回したまま上陸し、同様に空吹かしする停止法を採るのが最良だ。これだと停止に伴う陰圧で排気バルブから海水を吸込む心配が無くなる。
1日の終りには:
エアタンクに浸水があれば排出する。
注水しながら、或いは水に漬けて暫く運転する。
排気バルブを外して更に残滓を排出する:遠征中には面倒だが毎日注意した方が良い。この時、止めリングとバネを取り外すだけでゴムカップは浮いた状態になるので残滓は出てくる。外したリングとバネは無くさぬよう紐に通すか容器に入れておくのが安全だ。
タンク内の燃料への水混入の有無を確認する:一旦他の容器に移す必要があるがペット(PET)ボトルは樹脂が溶け出して燃焼に影響するというので短時間の使用に止めたほうが良さそうだ。
数ヶ月以上使わぬ時は;
まず清水中で運転する。
燃料タンクを空にし、燃料コックを開けたまま始動してキャブ内を空にする。1分以上掛かることもあるので水中で或いは水を掛けながらすること。もっと容易なのは、燃料チューブをコックのところで抜き、チューブ内のガソリンを排出してから始動することだ。これでキャブレタ内のガソリンが短時間で完全に無くなり、流量調整膜の劣化を遅らせる効果がある。また、キャブなどに燃料が残留していると、ガソリンが蒸発し、粘度の高い潤滑オイルが流路に残留するのを塞ぐことにもなる。
次に、プラグを外し、逆さにして始動紐を何度も引いてクランク室に残留しているかもしれない水を排出する。マフラを通しての排水も考慮して、プロペラ側を下にした姿勢でも同様にする。
プラグ穴から内部に潤滑油を滴下し、始動紐を数回引いて内部に行き渡らせる。
排気バルブ(=ゴムカップ)を外して保存し、本体を前後に傾けてしばらく置き、マフラに残留している廃液を排出させる。適当に水中で運転して放置すると、いつまでたってもこの廃液が出続けて不思議な感じがする。
可動部分に注油
ビニ袋などに入れて収納
毎週のように始動させた方がエンジンにとって良いとの意見もある。これはキャブレタを頻繁にガソリンが通ることで清浄を保つからという。しかし保存が長期に亘る場合はそうも行かないであろう。
次回以降は:現場でのトラブル対策(現地で可能な応急措置)を紹介の予定。
その後は各種整備情報源の紹介
整備・修理手順として
キャブレタ
スタータ
プラグ・高圧部
エンジン本体
などと進めていくつもりです。排気バルブ廃止の改造もあり。
また魚突きそのものは関連事項として適宜紹介予定です。
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