バイクでイザ出陣・・・・手銛の後ろは荷台に縛り前はハンドルが切れる程度にゆるくゴムひもで縛る。キャリアが無いのでボードは前に引掛け、アクアスクータは足元に置いて左足で押えるか、背負いかごに足ひれなど他の道具と一緒に入れて海岸へ。離島では宿からの移動距離も短いのでこんなことも出来るが、かなり危険でお勧めは出来ない。
前回まで、現地でアクアスクータを始動できない場合の対策を紹介してきたが、次は始動は出来たが、水に入った後のトラブル対策だ
水中(水面)でのトラブル
陸上で何事もなく始動が出来る場合でも、水に入る途端に様々な問題に遭遇する:
1)水中で不安定
始動した本機を水に入れて吹かそうとしても回転が上がらない、或いは不安定になる、吹かし続けないとエンストする場合は、更にキャブレタの調整が必要になる。既に紹介したとおり、LネジとISCネジの調整でアイドル回転を高めにするのが安全だ。吹け上がりが悪い場合はHネジを右に締めるだけで改善することが多い。
こうしてキャブレタのH/Lネジ調整だけで作動が安定すればよいが、何度調整しても不安定という場合は先に述べたように、内部の流量調整膜=ダイアフラムを疑ったほうが良い。これは私自身何度も、繰り返し悩まされた問題で、1年も経たずに交換が必要になったこともある。海岸で調整膜を交換することも可能だが、通常は持帰り交換することになるだろう。遠征の場合で、使用開始から半年も経過していたら予備品を用意しておきたい。
離島の宿に置きっぱなしにした結果、キャブが固着していた。海岸の車上でダイアフラムどころではなく、持参していた予備のキャブと交換している図
この燃料流量調整膜は、実質的に本機には最重要部品と思われるので、後日予定している整備編のキャブレタを参照し調整膜の交換その他の整備をして欲しい。
2)水に入れると停止する
始動して水に入るとすぐエンストする原因は:
‐キャブレタ調整不良: キャブレタ調整不良は最初に戻ってL/Hネジの基本位置からやり直す。前項の如く、調整膜の劣化なら、交換するしかない。
‐プラグキャップで漏電: 漏電の場合は吹かしながら水に入れると感電で手にびりびり来るので解る事が多い。取敢えずキャップに輪ゴムをきつく掛ける、ゴムテープを巻き付ける他、接着剤でシールするなどで急場を凌ぐことだ。写真でプラグキャップに巻付けたテープはニトムズの両面ゴムテープで、手銛の握りに使ったり、ウエットスーツが破れたときの応急修理に使ったりとあれこれと便利なので紹介する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/5e/9307117b3d8cd9fa94e15902a1b9794f.jpg)
‐浸水:吸気流路のエルボ、キャブ周りのガスケットなどからの浸水があるとすぐにエンストする。但し浸水がごく少量の場合は暫く操縦しているうちにプラグが濡れて火花が飛ばなくなってからエンストする。見た目では解り難いがプラグに付着した液体が僅かに白っぽくなっていたら浸水を疑う。
私はある日海上を快調に操縦していて突然エンストし、やっと戻って点検すると問題なく始動する、ということを何度か体験したことがある。原因はエルボが小さくひび割れてごく少量の浸水をしていたことだったが、判明したのは宿に帰って点検した結果だった。このようなエルボ周りであれば、これも上記のゴムテープ巻付で凌ぐことが出来るだろう。
浸水は意外な箇所からも起こるので、ねじ込み部やチューブの嵌めあいを点検する=燃料コックのパッキング不良で水が少しずつ吸い込まれていて、コックを交換したら解決したとの話もある。
で、点検と言っても少量の浸水箇所は外から見ても判らない。点検方法としては、タイヤのパンクと同じで、本機全体を水に漬けて空気(吸気)流路に圧力を掛け、気泡が出るかどうか、或いは石鹸水を塗り付けて泡が出る場所を見つけることだ。浸水は外から内へ、この点検では内から外への漏れなので、完全に対応するか疑問もあるだろうが、現実にはこれしか方法は無い。
点検方法は、スノーケルをくわえて思いっきり息の圧力を掛ければ良いのだが、これでは視野が限られてしまい、自分だけでは気泡の発生個所がはっきり見えないことが多い。そこで、簡易的ではあるが遠征先での点検には、スノーケル先端にビニール袋をかぶせて輪ゴムなりビニテープなりでしっかり押さえて空気袋の形にし、それを握ったり、押し付けるなどして圧力を上げ、発生個所を見つけることが出来る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/fa/5b6334b9b919f166383c9fd386ae6072.jpg)
但しこの圧力検査では、当然ながら排気口からは空気が漏れてしまうので、それを押えたり塞いだりとの手間は掛けなければならない。
かなり使い続けた場合で、プロペラシャフトの水シールからの浸水も経験がある。何度も浸水して浸水箇所が分からなかったが、ふと、尻を下げてプロペラ部だけを完全に水に漬けるとエンストするので判明したことがある。こんなトラブルは遠征先では簡単に修理というわけにはいかないから諦めて持帰って修理するしかない。
浸水対策も、今後紹介する整備上の重要項目だ。
3)走行後しばらく停止した後で再始動が出来ない
魚突きなら停止を頻繁にするからこの問題が深刻だ。
水に入れると回転が上がらないなど不安定なまま走って、一旦止めてしまうと水面での再始動をできないことが多い。こんな場合は上記のキャブレタ調整が重要だ。水面での調整はなかなか面倒で、出発地点へ戻れなければ、可能であれば近場の岸へ上がり、今まで紹介した方法を総合して何とか再始動させる。そして一旦始動したら回転を止めることなく、吹かしながら入水してそのまま上陸点へ戻ったほうが身のためだ。しかし重い本機を抱えて岩場に上がるのは、穏やかに感じられる場合でも波で危険な目に遭いやすいので判断は慎重にしたい。
魚突きに時間が掛り、さあ再始動しようとしても浸水で始動ロープがガシッと固まって引けない場合は通常は上陸して水抜をし再始動させる。そして浸水箇所が解れば塞ぐが、それらしい箇所が無ければ、たぶん排気バルブからの浸水だろうと目星を付ける。何故なら、圧力テストではこの部分は押えるか塞いでおかねばならず、実質的に検査できないからだ。これはやっかいで、今まで何でもなかったのに長時間浮かべておいたためにここから浸水することがある。勿論先に挙げたプロペラシャフトも考えられるが、この場合は回転と共に水を巻き込むイメージであり、静止中は気づかず運転中に浸水・エンストすることが多い。
水抜きして再始動が巧くいったら・・・・再び水に浮かべて暫く運転し、更に停止してしばらく放置し、再始動が可能か試してみる。これで問題なければまた使用を継続すればよい・・・・と行きたいところだが、それでは不安が残る。状況次第だが、私なら再始動出来たら、いくらそこに魚が群れていても、上陸地点へ戻る事を優先する。一旦戻って更に詳しく点検したほうが良い。
ボード或いはゴムボート状の梵天(フロート)などを曳航している場合は、(そもそも魚突きをしている間は本機をボードに載せて置けば浸水の危険が無いのだが!!)そのボード上でこれらの調整、水抜、プラグ交換をすることも不可能ではない。
波や流れの弱い場所を探し気を落ち着けて事に当ろう。私自身は何度も経験済みだ。この場合も、前回紹介したように、排気バルブを外してみると回復し易い。そして始動できたら、エンジンを決して止めることなく吹かしたままで水に入り、そのまま上陸地点へと帰る。排気バルブを取除いても吹かしたままであれば浸水はしないから、非常の時には試してみると良い
4)浸水時の処置
マニュアルに処置方法が紹介されているのでそれに従い、内部を十分排水する。プラグを抜き、ひっくり返して始動ロープを何度も引くだろうが、その時にスノーケルをねじ込む空気孔が岩に接していると縁に傷がついてこれまた浸水の原因になるから保護すること。
その後乾かしたプラグをまた取り付けるが、時間短縮と確実性からは新品に交換すれば完璧だ。これで普通に始動させる。勿論そもそもの浸水原因は取り除かねばならない。その後暫く運転して内部をきれいにするよう心掛ける。イタリアのネットでは、その後2週間ほどは毎日10分程度でも運転した方が良いとのエンジニア?の意見が見られる。通常は以上の手順で意外と簡単に再始動が可能だ。
もしその場で再始動が出来ない場合は、残留水分と塩分がベアリングとピストンリングを腐食させぬよう、プラグ孔からエンジンオイルを多目に入れて始動ロープを何度も引き、内部をオイルで保護する。そして持帰ったら出来るだけ速やかに始動させるか修理することが肝要だ。
以上で現地で対応できるトラブル対策は一先ず終り。次回からは整備編として先ずキャブレタの情報紹介の予定です。同時に、各種情報源も紹介するつもりです。
=小坂夏樹=
=Blog第6回「水中(水面)でのトラブル対策」終り=
前回まで、現地でアクアスクータを始動できない場合の対策を紹介してきたが、次は始動は出来たが、水に入った後のトラブル対策だ
水中(水面)でのトラブル
陸上で何事もなく始動が出来る場合でも、水に入る途端に様々な問題に遭遇する:
1)水中で不安定
始動した本機を水に入れて吹かそうとしても回転が上がらない、或いは不安定になる、吹かし続けないとエンストする場合は、更にキャブレタの調整が必要になる。既に紹介したとおり、LネジとISCネジの調整でアイドル回転を高めにするのが安全だ。吹け上がりが悪い場合はHネジを右に締めるだけで改善することが多い。
こうしてキャブレタのH/Lネジ調整だけで作動が安定すればよいが、何度調整しても不安定という場合は先に述べたように、内部の流量調整膜=ダイアフラムを疑ったほうが良い。これは私自身何度も、繰り返し悩まされた問題で、1年も経たずに交換が必要になったこともある。海岸で調整膜を交換することも可能だが、通常は持帰り交換することになるだろう。遠征の場合で、使用開始から半年も経過していたら予備品を用意しておきたい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/ab/d1d15347e8cacd4273fd2d25dbf50709.jpg)
この燃料流量調整膜は、実質的に本機には最重要部品と思われるので、後日予定している整備編のキャブレタを参照し調整膜の交換その他の整備をして欲しい。
2)水に入れると停止する
始動して水に入るとすぐエンストする原因は:
‐キャブレタ調整不良: キャブレタ調整不良は最初に戻ってL/Hネジの基本位置からやり直す。前項の如く、調整膜の劣化なら、交換するしかない。
‐プラグキャップで漏電: 漏電の場合は吹かしながら水に入れると感電で手にびりびり来るので解る事が多い。取敢えずキャップに輪ゴムをきつく掛ける、ゴムテープを巻き付ける他、接着剤でシールするなどで急場を凌ぐことだ。写真でプラグキャップに巻付けたテープはニトムズの両面ゴムテープで、手銛の握りに使ったり、ウエットスーツが破れたときの応急修理に使ったりとあれこれと便利なので紹介する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/5e/9307117b3d8cd9fa94e15902a1b9794f.jpg)
‐浸水:吸気流路のエルボ、キャブ周りのガスケットなどからの浸水があるとすぐにエンストする。但し浸水がごく少量の場合は暫く操縦しているうちにプラグが濡れて火花が飛ばなくなってからエンストする。見た目では解り難いがプラグに付着した液体が僅かに白っぽくなっていたら浸水を疑う。
私はある日海上を快調に操縦していて突然エンストし、やっと戻って点検すると問題なく始動する、ということを何度か体験したことがある。原因はエルボが小さくひび割れてごく少量の浸水をしていたことだったが、判明したのは宿に帰って点検した結果だった。このようなエルボ周りであれば、これも上記のゴムテープ巻付で凌ぐことが出来るだろう。
浸水は意外な箇所からも起こるので、ねじ込み部やチューブの嵌めあいを点検する=燃料コックのパッキング不良で水が少しずつ吸い込まれていて、コックを交換したら解決したとの話もある。
で、点検と言っても少量の浸水箇所は外から見ても判らない。点検方法としては、タイヤのパンクと同じで、本機全体を水に漬けて空気(吸気)流路に圧力を掛け、気泡が出るかどうか、或いは石鹸水を塗り付けて泡が出る場所を見つけることだ。浸水は外から内へ、この点検では内から外への漏れなので、完全に対応するか疑問もあるだろうが、現実にはこれしか方法は無い。
点検方法は、スノーケルをくわえて思いっきり息の圧力を掛ければ良いのだが、これでは視野が限られてしまい、自分だけでは気泡の発生個所がはっきり見えないことが多い。そこで、簡易的ではあるが遠征先での点検には、スノーケル先端にビニール袋をかぶせて輪ゴムなりビニテープなりでしっかり押さえて空気袋の形にし、それを握ったり、押し付けるなどして圧力を上げ、発生個所を見つけることが出来る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/fa/5b6334b9b919f166383c9fd386ae6072.jpg)
但しこの圧力検査では、当然ながら排気口からは空気が漏れてしまうので、それを押えたり塞いだりとの手間は掛けなければならない。
かなり使い続けた場合で、プロペラシャフトの水シールからの浸水も経験がある。何度も浸水して浸水箇所が分からなかったが、ふと、尻を下げてプロペラ部だけを完全に水に漬けるとエンストするので判明したことがある。こんなトラブルは遠征先では簡単に修理というわけにはいかないから諦めて持帰って修理するしかない。
浸水対策も、今後紹介する整備上の重要項目だ。
3)走行後しばらく停止した後で再始動が出来ない
魚突きなら停止を頻繁にするからこの問題が深刻だ。
水に入れると回転が上がらないなど不安定なまま走って、一旦止めてしまうと水面での再始動をできないことが多い。こんな場合は上記のキャブレタ調整が重要だ。水面での調整はなかなか面倒で、出発地点へ戻れなければ、可能であれば近場の岸へ上がり、今まで紹介した方法を総合して何とか再始動させる。そして一旦始動したら回転を止めることなく、吹かしながら入水してそのまま上陸点へ戻ったほうが身のためだ。しかし重い本機を抱えて岩場に上がるのは、穏やかに感じられる場合でも波で危険な目に遭いやすいので判断は慎重にしたい。
魚突きに時間が掛り、さあ再始動しようとしても浸水で始動ロープがガシッと固まって引けない場合は通常は上陸して水抜をし再始動させる。そして浸水箇所が解れば塞ぐが、それらしい箇所が無ければ、たぶん排気バルブからの浸水だろうと目星を付ける。何故なら、圧力テストではこの部分は押えるか塞いでおかねばならず、実質的に検査できないからだ。これはやっかいで、今まで何でもなかったのに長時間浮かべておいたためにここから浸水することがある。勿論先に挙げたプロペラシャフトも考えられるが、この場合は回転と共に水を巻き込むイメージであり、静止中は気づかず運転中に浸水・エンストすることが多い。
水抜きして再始動が巧くいったら・・・・再び水に浮かべて暫く運転し、更に停止してしばらく放置し、再始動が可能か試してみる。これで問題なければまた使用を継続すればよい・・・・と行きたいところだが、それでは不安が残る。状況次第だが、私なら再始動出来たら、いくらそこに魚が群れていても、上陸地点へ戻る事を優先する。一旦戻って更に詳しく点検したほうが良い。
ボード或いはゴムボート状の梵天(フロート)などを曳航している場合は、(そもそも魚突きをしている間は本機をボードに載せて置けば浸水の危険が無いのだが!!)そのボード上でこれらの調整、水抜、プラグ交換をすることも不可能ではない。
波や流れの弱い場所を探し気を落ち着けて事に当ろう。私自身は何度も経験済みだ。この場合も、前回紹介したように、排気バルブを外してみると回復し易い。そして始動できたら、エンジンを決して止めることなく吹かしたままで水に入り、そのまま上陸地点へと帰る。排気バルブを取除いても吹かしたままであれば浸水はしないから、非常の時には試してみると良い
4)浸水時の処置
マニュアルに処置方法が紹介されているのでそれに従い、内部を十分排水する。プラグを抜き、ひっくり返して始動ロープを何度も引くだろうが、その時にスノーケルをねじ込む空気孔が岩に接していると縁に傷がついてこれまた浸水の原因になるから保護すること。
その後乾かしたプラグをまた取り付けるが、時間短縮と確実性からは新品に交換すれば完璧だ。これで普通に始動させる。勿論そもそもの浸水原因は取り除かねばならない。その後暫く運転して内部をきれいにするよう心掛ける。イタリアのネットでは、その後2週間ほどは毎日10分程度でも運転した方が良いとのエンジニア?の意見が見られる。通常は以上の手順で意外と簡単に再始動が可能だ。
もしその場で再始動が出来ない場合は、残留水分と塩分がベアリングとピストンリングを腐食させぬよう、プラグ孔からエンジンオイルを多目に入れて始動ロープを何度も引き、内部をオイルで保護する。そして持帰ったら出来るだけ速やかに始動させるか修理することが肝要だ。
以上で現地で対応できるトラブル対策は一先ず終り。次回からは整備編として先ずキャブレタの情報紹介の予定です。同時に、各種情報源も紹介するつもりです。
=小坂夏樹=
=Blog第6回「水中(水面)でのトラブル対策」終り=