窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

角落ち。エゾジカ

2020-04-15 23:48:23 | エゾジカの四季

三又四尖の角を持ったエゾジカのオスが湿地に出てきていました。角の形状から

まだ若いオスです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ 角落ち。エゾジカ ★

一本角を付けたみすぼらしく見えるオスです。背骨の突起が異様に目立ちます。

骨の両側についている筋肉が凹み、肋骨のが浮き上がってきています。

冬季に秋に付けた隆々の筋肉が削ぎ落ちています。厳しい冬季の寒さで栄養分

を費やし、丸々だった体が肋骨が浮き上がるほどになっています。

毛のつやも悪くなり、若き雰囲気はすっかり消えています。あどけない顔だけが

若いと思わせます。冬季には雪が多くなく、枯れ草を苦も無く食べることが

できたはずなのに痩せています。

冬中、威厳を見せていた角も今は用無しです。乾燥して白くなった片方の枯角が

落ちるのも時間の問題です。

抜け落ちた角の痕にはすでにふっくらと袋角の芽が出てきています。これが枯角

浮かせ落としてしまったのです。

そもそもシカの角は骨の組織です。知ったかぶりをする人が、「シカの角は生え

変わるから皮膚や爪と同じだよ」と言います。でも、それは違います。牛のよう

頭蓋骨が延長しているのではないので、骨ではないように思われますが、

組織的には「骨」なんです。

頭蓋骨とは別に、独立して骨質が成長してきます。図のように頭蓋骨の突起を

台座にして、角が伸びていきます。

秋に袋が剥がれ、栄養分が行かなくなると枯角になります。強靭な角になるの

です。

そして役目が終わる春、新しい角の芽に押されるようにポロリと落ちます。

鹿の角の生え方。Bで表されているところが「前頭骨角突起」です。

 



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