九州大学生体解剖事件 展示会
07月19日 19時08分
太平洋戦争末期に、九州大学医学部が捕虜のアメリカ兵に実験手術を行い、死亡させた生体解剖事件について、当時、医学生として手術を目撃した医師が集めた資料や写真を紹介した展示会が、福岡市で開かれています。
昭和20年に九州大学医学部が、陸軍の監視のもとアメリカ軍の捕虜8人に実験手術を行い死亡させた生体解剖事件は、作家遠藤周作さんの小説「海と毒薬」のモデルにもなりました。
展示会は福岡市中央区の「東野産婦人科」で開かれ、この医院の会長で、事件当時、医学生として手術を目撃した東野利夫さん(89)が集めた裁判の資料や写真合わせておよそ30点が公開されています。
公開された資料の中には▽戦後、アメリカ軍が聴取した当時の教授の供述書のコピーや▽死亡した捕虜の写真▽それに実験が行われた解剖実習室の写真もあり、いずれも初めて公開されました。
展示会を開いた東野さんは「戦後70年のことしこそこの事件を総括したい。手術を行った医師も戦争の被害者です。戦争というものは敵も味方も悲惨で、愚劣さしか残らないということを伝えたい」と涙ながらに訴えていました。
訪れた62歳の男性は「初めて見るものばかりなのでいろいろ考えさせられました。戦争や平和についてみんなが考えるきっかけになればいいと思います」と話していました。
展示会は入場無料で、来月15日まで開かれます。
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映画[海と毒薬]