民進党はもう少し大人にならなければいけません。何よりも先ず
政治家として高い志を持つ事です。今回の選挙は野党に残された
最後のチャンスだと私は思います。
「小沢一郎 語り処_2016年3月28日」
3月27日、民主党と維新の党が合流して、民進党が結成されま
した。民進党が本当に、自民、公明両党に代わる、政権担当能力
のある政党として国民に認められるのであれば、私はそれでいい
と思います。しかし、直近の世論調査をみても、必ずしもそうな
っていないようです。
私は、今回の野党の一連の動きの中で、共産党が画期的な方針転
換を図った事を高く評価しています。
それを機に、全野党が旧来の経緯を乗り超えて、本当に力を合わ
せてやっていこうとなれば、国民の期待は一気に高まったと思い
ます。
所が逆に、民進党周辺からは、共産党の協力は要らない、衆院選
については共産党と協議をしない、などという話が出てくるのを
非常に残念に思います。
これでは、自公に代わって政権を担う事が可能な政党が出来て欲
しい、という国民の期待を裏切る事になってしまいます。
こうした言動が出てくるのは、民進党が本当に自ら政権を担って、
国民の為の政治を実現しようという志と気概がないからではない
でしょうか。言わば、草食系野党なのです。
「万年野党のままでいいや」という消極的な気持ちでいるのなら
ば、政党を作る意味はありません。そんな政治家はいない方がま
しです。
国民の気持ちを捉えて、国民が望む方向に政治を進めていくのが
政治家の使命です。その為には、自分で政権を取らなければなり
ません。何としても選挙で多数を獲得する必要があるのです。
しかし、現在の民進党からは、共産党とは話をしない、社民党も
ちょっとダメ、「生活」とはやっていけない、というような話が
軽々と出てきます。
それは結局、何が何でも、格好が悪くても、遮二無二に政権を取
りにいこう、という気迫が足りないからだと思います。
これでは、国民が期待したくても期待出来ないのは当たり前です。
せっかく党名まで変えて新しい門出をした訳ですから、ここは是
非とも、政党の目的や政治家の使命とは何かという事を真摯に考
え、国民の期待に応えられるような政党になって欲しいと思いま
す。今後の政治日程としては、4月24日に2つの衆議院補選が
あり、7月には参議院通常選挙があります。
多分、このままでいけば、衆議院も解散―総選挙となり、衆参ダ
ブル選挙になると思います。野党がそれに向け、共産党や社民党
も含めて衆院選の候補者調整まで徹底的にやる事が出来れば、安
倍政権も少しは慌てるのではないでしょうか。
しかし今の状況では、安倍政権は、野党にはそんな力はないと見
切って、ダブル選挙に打って出てくると思います。
そうなると、また自公が圧勝して、安倍政権の暴走は留まる所を
知らず、という事態になります。これは、日本に取って本当に悲
劇です。
私は、今度の選挙で自公が勝ったら、もう野党に次はないと思っ
ています。そんな大事な時に、野党の中心になる政党が好き嫌い
のレベルで政治をしていたのではどうしようもありません。それ
にも関わらず、こうした話が平気で出てくるのは、「国民の為に、
何が何でも我々が政権を担う」という意識が欠如しているからで
はないでしょうか。そこが、現在の民進党の最大の問題だと思い
ます。
政府は3月の月例経済報告で国内全体の景気判断について「この
所弱さも見られる」と改め、昨年10月以来5ヵ月ぶりに景気判
断を引き下げました。安倍政権もついに、現実を無視し続ける事
が出来なくなり、景気が良くない事を認めたのです。
それは政府が経済政策でお手上げ状態になっている事を意味して
います。
つまり、アベノミクスなるものが全く何の成果も上げられず、む
しろ将来に禍根を残す金融政策、経済運営だった、国民は得るも
のが何もなかった、という事です。
その様な報道があれば、ひと昔前なら「これは千載一遇のチャン
スだ! ダブル選挙で来い。そこで一気に政権交代だ」と、野党
はみんな目を輝かせた筈です。
そうしたファイティング・スピリットを持つのが野党本来の姿で
す。所が、今の野党は巨大与党に押し潰されて、窒息したような
無気力状態になっています。これは由々しき事態だと、私は思っ
ています。
折に振れ、野党5党は結集して頑張りますと口先では言いますが、
その舌の根も乾かない内に、「あいつは嫌いだ。この政党は嫌だ」
という話ばかりが出てきます。そうした言動を、国民はしっかり
と見ているのです。
民進党はもう少し大人にならなければいけません。
何よりも先ず、政治家として高い志を持つ事です。
「国民の為に、我々はこうしなければならない」という強い思い
があれば、好き嫌いなど言っている場合でない事は自ずと分かる
筈です。今、野党政治家に取って何が一番大切なのか、よくよく
考えるべきです。
今回の選挙は野党に残された最後のチャンスだと私は思います。