私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

無明 10~15行目

2012-05-23 11:26:28 | その他 訳詩
Darkness Lord Byron

[ll.10-15]

And they did live by watch firesーand the thrones,
The palaces of crowned kingsーthe huts,
The habitations of all things which dwell,
Were burnt for beacons; cities were consumed,
And men were gather'd round their blazing homes
To look once more into each other's face.


無明   バイロン

[10-15行目]

ものを見る 火明かりだけに生かされて かんむりを
いただく王の宮殿も 有象無象の仮小屋も
かがりのために燃やされて
人はほむらにつつまれた家のまわりをとりかこみ
たがいの顔をもういちど ながめあおうとする

無明 6~9行目

2012-05-19 19:38:52 | その他 訳詩
Darkness Lord Byron

[ll.6-9]

Morn came and went―and came, and brought no day,
And men forgot their passions in the dread
Of this their desolution; and all hearts
Were chill'd into a selfish prayer for light.


無明   バイロン

[6~9行目]

夜明けが来てはまた去って 来ても真昼はもたらさず
人はおのれのすさびに怖じて
たけりを忘れ果て こころは冷えて
ゆくのだ ひかりをもとめるわれがちな祈りのうちへと


無明 1~5行目

2012-05-17 12:23:46 | その他 訳詩
Darkness Lord Byron
[ll.1-5]

I had a dream, which was not all a dream.
The bright sun was extinguish'd, and the stars
Did wander darkling in the eternal space,
Ratless, and pathless, and the icy earth
Swung blind and blackening in the moonless air;



無明   バイロン

[1~5行目]

おれはひとつのゆめをみた あまねくゆめではないにせよ
かがやくひざしが消え失せて おぼろにくらむ
星ぼしが 果てない虚空をうろついて
ひかりも射さず 道もなく 凍てつく大地が
めぐるのだ めくらめっぽう暗いまま 月も照らない空を



 
 ※久々に再開いたします。
 先月から半月ばかり「書きたいのに書くものが無い」状態でして、鬱々と睡魔に取りつかれていました。かなしいからつぽのわたしよ。今も無いのは同様ですがとりあえず気晴らしにバイロン。今までやっていそうで意外と初めてでした。この人の暗さは若くてぴちぴちしている感じがします。少なくともエリオットよりは。

愛と生の唄 最終連

2010-01-16 17:13:41 | その他 訳詩
Love and Life    Earl of Rochester

Then talk not of inconstancy,
False Hearts, and broken Vowa,
If I by Miracle can be,
This live-long Minute true to thee,
'Tis all that Heav'n allows.


愛と生の唄     ロチェスター

移りやすさを口になさるな
心はまがいのものであり 誓いは破れるものであり
奇跡でおれが在るならば
このひとときのみなれのもの
天がお許しなさるのは ただひとときのまことのみ

愛と生の唄  第二連

2010-01-14 19:37:10 | その他 訳詩
Love and Life    Earl of Rochester

What ever is to come, is not,
How can it then be mine?
The present Moment's all my Lot,
And that as fast as it is got,
Phillis, is wholly thine.


愛と生の唄      ロチェスター

来るべき あるいは来たらぬべきものを
いったいどうして持ちえよう
今このときこそ吾がすべて
得られるかぎりの幸はみな
汝のものとみとめよう

 ※1月15日一行目訂正「あるいた」→「あるいは」。うち間違いでした。