私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

病めるばら    最終連

2010-01-19 21:18:16 | W・ブレイク
The Sick Rose William Blake

Has found out thy bed
Of crimson joy,
And his dark secret love
Does thy life destroy.


病めるばら     ウィリアム・ブレイク

あなたの真紅の歓びの床が
みつけだされたなら
かのものの 暗がりの秘かな愛が
あなたの命を壊すだろう


  
 ※hisとはいったい何ぞや。内なるアニマを壊し尽くす自我?
  ……昨夜ふと『続・元型論』など読んでいたため無性に気分がユングです。私は折口とユングの詩を愛する。愛≠信頼。
 

病めるばら  第一連

2010-01-17 19:27:21 | W・ブレイク
The Sick Rose Wiliam Blake

O ROSe, thou are sick!
The invisible worm
That flies in the night,
In the howling storm,


病めるばら    ウィリアム・ブレイク

花よ あなたは病んでいる
目にはみえない蛆どもが
夜に羽化して飛びまわる
うなる嵐のうちを


とら 五連・六連

2009-08-06 22:50:31 | W・ブレイク
The Tyger William Blake

When the stars threw down their spreads,
And watered heaven with their tears,
Did he smile his work to see?
Did he who made the Lamb make thee?

Tyger! Tyger! burning bright
In the forests of the night,
What immortal hand or eye
Dare frame thy fearful symmetry?


とら          ウィリアム・ブレイク

星ぼしが 光の矛を地に放ち
なみだで天をおおうとき
きみはほほえみたもうたか? 御身のなしたものをみて
仔羊を こしらえたもうたかのかたが おぬしをこしらえたのか?

とらとらとらとら燃えるとら
よなかの森で燃えるとら
いかなる不死の お手か目か
こしらえたのは何ものか そのおそるべきつりあいを


 ※トラトラトラ。本日ヒロシマの日か。子羊をこしらえたもうた方は何を思っておられたか。一仏教徒の感慨。

とら   三連・四連

2009-08-05 21:33:59 | W・ブレイク
The Tyger Wiliam Blake

And what shoulder, and what art,
Could twist the sinews of thy heart?
And when thy heart began to beat,
What dread hand? what dread feet?

What the hammer? what the chain?
In what furnace was thy brain?
What the anvil? What dread grasp
Dare its deadly terrors clasp?


とら         ウィリアム・ブレイク

いかなる肩か おみわざか
おぬしの胸の筋肉をねじくりあげえたものは
胸が脈うちはじめたとき
いかなるお手が おみあしが 押さえつけたというのか

いったいどんな金づちが どんな鎖がつかわれた
おぬしのあたまはどの炉にあった
いったいどんな金どこで どんな力が掴みえた
その死に至るまでの恐怖を
   

とら  第二連

2009-08-04 23:03:52 | W・ブレイク
The Tyger William Blake

In what distant deeps or skies
Burned the fire of thine eyes?
On what wings dare he aspire?
What the hand dare seize the fire?


とら         ウィリアム・ブレイク

いかなるはるかな深みか空か
その目の炎が燃えていたのは
いかなるつばさで昇られた
いったいいかなるお手でまた その火を掴みとられたか


 ※「その火を掴みとられた」のはもちろんGODなのでしょうが……どことなくプロメテウス的な風情?