私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

頌歌 ―不死なる幼きころに 一連目②

2013-01-30 00:02:09 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

I
[ll.6-9]

It is not now as it hath been yore;―
Turn wheresoe'er I may,
By night or day,
The things which I have seen I now can see no more.




頌歌
 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

I [6-9行目]

今やすべてがいろをかえ
この世の何処を向こうとも
  夜もひるも
嘗てそのとき視えていた何かはもはやみえがたく



 ※8行目「夜もひるも」は「ヨもヒルも」とお読みください。


頌歌 ー不死なる幼きころに 一連目 ①

2013-01-27 13:12:06 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

I
[ll.1-5]


There were time when meadow, grove, and stream,
The earth, and every common sight,
To me did seem
Aparelled in celestial light,
The glory and the freshness of a dream.



頌歌
 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

I[1-5行目]

嘗てそのとき 芦原も 河も小川も
天地も 目に映る ものみなすべて
かむさびた
光と夢の
輝きと 瑞々しさをおびていた




 ※久々に少々長いのを。全十一連中一連目の真ん中までです。
 こちらも基本は和語の七五調でいきますが、やや漢字を多くしてみました。
 二行目の「天地」は「あめつち」とお読みください。
 

ひとつただようくものごと 最終連

2013-01-25 00:22:28 | 英詩・訳の途中経過
I wandered Lonely as a Cloud

William Wordsworth

[ll.19-24]

For oft, when on my couch I lie
In vacant or in pensive mood,
They flash upon that inward eye
Which is the bliss of solitude;
And then my heart with pleasure fills.
And dances with the daffodils.



ひとつただようくものごと

ウィリアム・ワーズワース

[19-24行目]

しばししとねによこたわり
うつろうれいにしずむとき
はなはまなこにひらめいて
ひとりごころをさきみたす
するとむねにはよろこびが
みなぎり ともにおどる


 最終連はとうとうひらがなだけになりました…。
 見直してみますと、今回どうも無意識に頭韻を踏みがちだったようです。
 そして全体妙に「み」が多い。私はミ音に鮮やかな金とオレンジを感じます。みなみの国のミニョンの歌です。みかんの花が咲いているのです。

 
 ところでこの詩、和語の七五調という訳し方の問題かもしれませんが、どことなくロセッティのThe woodspurgeと似ている印象。「灯台ぐさに」のタイトルで2010年2月ごろ訳しています。よろしければ合わせてごらんください。

ひとつただようくものごと 三連目

2013-01-23 00:29:31 | 英詩・訳の途中経過
I wandered Lonely as a Cloud

William Wordsworth

[ll.13-18]

The waves beside them danced; but they
Out-did the sparkling waves in glee:
A poet could not but be gay,
In such a jocund company:
I gazedーand gazedーbut little thought
What wealth the show to me had brought:



ひとつただようくものごと

ウィリアム・ワーズワース

[13~18行目]

かたえをひかるさざなみの 
きらめきよりもほがらかに 
おどるものらにうたびとは 
よろこぶほかの すべもなく
みつめ みつめて ただみつめ みつめて何を
えるかなど おもいわずらうこともなく



 ※七五×六行失敗。いま打ち込むまで七五×七行あることに気づきませんでした…。

ひとつただようくものごと 二連目

2013-01-20 13:45:14 | 英詩・訳の途中経過
I wandered Lonely as a Cloud

William Wordsworth

[ll.7-12]

Continuous as the stars that shine
And twincle on the milky way,
They stretched in never-ending line
Along the margin of a bay;
Ten thousand shaw I at a glance,
Tossing their heads in sprighttly dance.


ひとつただようくものごと

ウィリアム・ワーズワース

[7~12行目]

そらをながれるかわのそこ
ひかりまたたくほしのごと
みずのほとりにとぎれなく
つらなり ひらくはなばなよ
ひと目のうちにちよろずも
くびをふりつつ ほがらかに