私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

頌歌 ―不死なる幼きころに 四連目②

2013-10-31 17:23:02 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

IV [ll.49-58]

Fresh flowers; while the sun shines warm,
And the Babe leaps up on his Mother's arm:ー
I hear, i hear, with joy I hear!
ーBut there's a Tree, of many, one,
A single Field which I have looked upon,
Both of them speak of something that is gone:
The Pansy at my feet
Doth the same tale repeat:
Whither is fled the visionary gleam?
Where is it now, the glory and the dream?


頌歌 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

Ⅳ[49~58行目]

花ばなを 日はうらうらと暖かく
みどりごは 母の腕から跳ねあがり―
聴くぞ 聴くとも よころんで
 ―ああけれど 数多のなかのひともとの 孤樹と
ひとつの原があり 嘗てながめたそのさまが
過ぎさるものを語るのだ
 足もとの すみれもともにくりかえす 
この世のほかの煌めきはいずこへ翔けていったかと
その輝きと夢は今いったい何処に在るのかと



  
 ※実に八か月ぶりの再開。
  このところ生業の道が忙しなく書くことからも訳すことからも遠ざかりきっていました。
  が、べつだん日々に不満はなかった…。
  書かずとも私は生きていけるのだなあ……と、例の晴れ晴れと物寂しい気分を味わっています。とはいえ、やはり書くことは楽しい。これからは少々肩の力を抜いて―とくに目的は持たずに―書いたり訳したりを続けていこうかと思います。おそらく月に数度の更新にペースダウンすると思いますが、ご覧になって下さる方、いらしたらよろしくお付き合いください。
  
 ※ところで57行目「この世のほかの煌めき」なるフレーズ、思いついたときは「でかした私!」と自画自賛したのですが、よく考えますと本歌取りですね……。いっそ枕に「あらざらむ」を入れたい。