御坊小校長室に掲げる伊藤博文の書額
御坊市12月定例議会は5日に再開し、一般質問を行った。トップバッターの松本隆史議員は御坊小学校校長室に掲げられている初代内閣総理大臣の伊藤博文の書額(市所有)の市指定文化財への指定や保存、活用を質問したのに対し、市教育委員会は詳しく調査し、市文化財保護審議会に指定を諮問する考えを明らかにするとともに、市歴史民俗資料館での保存や複製品を作製して御坊寺内町会館等で展示することも検討している、とした。
伊藤博文の書額は黒塗枠に金箔地和額表装で、当時、和紙より高価だった絹本に墨書され、朱印も押されている。「御坊黌」の文字を右書きし、御坊小学校のための揮毫とみられる。大正期の校長、薗和四郎の孫が存命しており、古くから伊藤博文の書であることが広く知られていたという証言もある。
平成27年5月に京都美術倶楽部会員の紹介を経て京都市の関係者から「落款と絹本の生地質の調査、書の筆致、他の作品との書風の比較から博文の中年期に書かれた作品であることを断定」との鑑定結果報告があり、真筆であることが判明した。
幕末の鳥羽伏見の戦いで敗れ、紀州に落ち延びて小松原村の中吉旅館で命を救われた会津藩士で東京高等師範学校(現・筑波大)校長等を務めた山川浩が明治21年に学事巡視で御坊に来ており、この時期に親交のある伊藤博文に依頼して揮毫された可能性が高いとされている。
松本議員は「大変貴重で立派なもの。市指定文化財として登録するのにふさわしい」と提案したのに対し、森田誠・生涯学習課長は「書の中に御坊の文字があり、御坊にとって貴重なもの。校長室に掲げられることになった経緯等をもう少し詳しく調査した上で、市文化財保護審議会に諮問していきたい」と文化財指定に取り組む考えを示した。また、複製品を作製し「御坊寺内町会館等で複製品を展示することを検討している」と答えた。
書額の保存については「校長室に掲げられているが、防犯上や書自体の劣化の問題があり、適切な保存方法を検討している。保存場所は市歴史民俗資料館が最も適している」と答弁。松本議員は「歴民館に保存するにしても、本物を見る機会をぜひつくってほしい」との要望には「期間を定めて歴民館で展示することも検討している」と答えた。
山川浩の縁で交流促進期待
来年1月に会津若松市訪問
中吉旅館で命を救われた山川浩は、明治15年に旅館主人の中野吉右衛門に感謝の手紙と大皿(九谷焼)を贈り、21年に学事巡視で和歌山を訪れた際に中吉旅館を訪問し、会津塗りのわんを贈ったほか、22年に県下一円で発生した大水害の見舞い状、見舞金を贈るなど交流を続けた。
この品物が、戊辰150周年を記念して来年1月に「中吉旅館子孫一同」から会津若松市に寄贈される予定で、松本議員は「150年前のご縁を生かし、会津若松市との交流につなげてほしい」と求め、柏木征夫市長は「御坊、日高の人情の厚さをつくづく感じる話。会津若松市に寄贈する際は、本市も同行したい。それなりの人を派遣する。交流については今後、会津若松市とのお話になってくる」と答えた。
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