ヒロの残日録 

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心温まる記事

2021年04月07日 | 日記
 今朝、妻とロールケーキを食べていたら、ふと以前ネットで見た心温まる記事を思い出したので紹介します。

『ケーキ屋の親友の話』
俺の親友テツヤは小さい頃からの大親友。良いことも悪いことも一緒に経験した親友。
中学の時、ケーキ屋を経営しているテツヤのオヤジが脳梗塞で倒れた。
幸い一命を取り留めたが、後遺症で右手に多少しびれが残った。
親友テツヤは高校を行くのをやめ、オヤジのケーキ屋を継ぐ覚悟を決めた。
小さい頃から手先が器用だったのか、オヤジのスパルタが効いたのか、めきめきと腕を上げ、今では店全体のケーキと
経営をオヤジから任せられるようになっていた。
ただ、ロールケーキだけは息子に任せられないという変なプライドを持っていた。
                 *

10年前のクリスマスイブの日、俺はそのテツヤのケーキ屋へ、かみさんに頼まれたクリスマスケーキを取りに行った。
時間は18時頃だったかな?
店の中でテツヤと雑談をしていたら、お互い手を繋いだ女の子二人が入って来た。
名札を見ると○○小学校四年生と二年生と書いてある。
傍から見てもセーターの袖口は伸びてダラダラ、セーター全体が毛玉で貧しそうだった。
アルバイトの子(高校生)が「いらっしゃいませ」と子供二人に言った。
上の女の子は初めてのお使いなのか、顔を真っ赤にしながら、たどたどしく「ケーキください」と
絞り出すような小さな声で言った。
下の子は色とりどりのケーキと甘い香りのショーケースを見て目がキラキラしていた。
アルバイトの子が「どんなケーキがいいのかな」と聞くと、下の子が「この大きなケーキがいい」と指を差したのが、
イチゴがいっぱい乗った4号ホールケーキだった。
上の子が下の子の手を引っ張り、小さな声で「そんな高いのはダメ」と小声で言っていた。
ケースを見渡し、値段の安い一粒イチゴが乗ったショートケーキを指差し、「このケーキ一つください」
アルバイトの子は「ありがとうございます。350円になります」とケーキを箱に詰めながら言った。
上の子が小さなボロボロの財布をポケットから取り出し、ごそごそと手に握ったお金をカウンターに差し出した。
確かめると百円玉が2枚と五十円玉が1枚、あと子供銀行と書いてある百円玉に似たおもちゃのお金だった。
アルバイトの子が「これは本当のお金じゃないよ~」と言うと、上の女の子が顔を真っ赤にし、
今にも泣きそうな顔になりながら財布を探し始めた。
多分、おもちゃのお金を百円玉と勘違いしたのでしょう。異変に気付いた下の子が不安そうに上の子を見上げている。
お金がないのを悟ったのか、上の子はますます目に涙を溜めている。
そして、「ごめんなさい、お金足りませんでした」と、ぽろぽろと涙を流しながらカウンターにあったお金を掴みかけ
ようとした時に奥からテツヤのオヤジが出て来て、大声で「さー、ただいまからタイムセールだよ。
ショートケーキ250円だよ。早い者勝ち~」と言ってまた奥に引っ込んだ。
それを聞いてテツヤの奥さんが女の子に「ジャストタイミング」と言って、250円を仕舞いながらケーキの入った箱を
女の子に渡した。女の子が伸びたセーターの袖で涙を拭いながら「ありがとうございます」と言って下の子の手を握り
帰って行った。
その後、俺はテツヤに「ケーキ屋のタイムセールなんて聞いたことがないぞ」と笑いながら雑談をしていた。

ようやく一段落してそろそろ店を閉めようとした時、袖口などが汚れた会社の制服を着て、小さな女の子を連れた女性が
入って来た。女性が開口一番、「うちの娘たちが申し訳ありませんでした」聞けば先程の女の子二人の母親でした。
家に帰ると上の娘がケーキの箱を目の前に出して、「これでクリスマスケーキ食べられるよね」と言っていたそうだ。
そんなお金どこにあったのって聞いたら、「お財布に250円はあったけど足りなくて。でもタイム何とかって言って250円で
買えたよ」と言ったとのこと。
ケーキ屋さんでタイムセールなんて聞いたことがないと強い口調で言ったら、「ほんとだもん、タイム何とかで買えたんだもん」
と泣き出したんです。「ですから足りないお金を持って来たんです。いくらでしょうか?」
その時、また奥からテツヤのオヤジさんが出て来て、「うちはケーキが売れ残りが出ると廃棄しなきゃあならないから、
時々タイムセールをしているんだよ。それに値段を決めるのは店の勝手だから」と言うとまた奥に引っ込んで行った。
その女性はおろおろしながら、「じゃあ他のケーキ買わさせていただきと言うのです。
ショーケースを見渡し選んでいると、一緒に来ていた女の子(多分妹さんの方)がロールケーキを見つけると、母親に
「このケーキって美味しいの?」と訊いたんです。スポンジの中にクリームや薄いイチゴが入っていて、周りがクリームで
塗られているロールケーキ。ショーウィンドウの前に二切れあり、二切れで250円。後ろには丸ごと一本のロールケーキがあった。
母親がじゃあこれにしようかと、テツヤの奥さんに「このロールケーキ二切れください」と言うと、その子が「お姉ちゃんたち
の分は?」と言います。「お姉ちゃんたちはイチゴのケーキがあるでしょ」しかし女の子は、「私もイチゴのケーキも食べたい」
と言うので、母親が「両方は食べられないの」と、その子の手を引っ張りながら言っていた。
だんだん女の子が顔を真っ赤にして涙目になって行く。テツヤの奥さんが、「じゃあロールケーキ二切れでいいんですね」
と言った時、俺はおまけに二切れ多く入れるのかなと期待していた。
そしたらテツヤの奥さんがロールケーキ丸ごと一本取り出して、ロールケーキの四分の一くらいのところにナイフを入れ、
テツヤの顔を見た。その時、テツヤが首を振ったのを見て、三分の一くらいのところにナイフを入れたら、テツヤが首を
コクンと頷いたのを見てナイフを下ろした。そしてまた三分の一のところにナイフを当てて切った。
その三分の一の大きさのロールケーキ二つを箱に詰めカウンターに置き、「ロールケーキ二切れ250円です」と言うと、
母親が「そんな、受け取れません」と頑なに拒んでいました。そうするとまたテツヤのオヤジが奥から出て来て、
「一回切って箱に詰めたケーキは戻せない。それに残ったら廃棄するしかないんだから、食べてもらわなければ困る」そう言うと、
また奥に引っ込んだ。
テツヤの奥さんが、「これ食べてもらわないと私が怒られますから」と、笑いながら強引に売りつけた。
母親は頭を何度も下げながら250円を払って出て行った。

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6 コメント

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Unknown (readybaba33)
2021-04-07 10:49:52
花粉症になったのかしら?
涙が止まらないの!

泣かせるわねェ~
返信する
Unknown (ヒロ)
2021-04-07 11:43:02
readybaba33さん、こんにちは。
女の子の、いじらしさとケーキ屋のオヤジさん達の気っ風の良さに胸がジーンとしました。
先ほど、残りのロールケーキをしっかり味わいましたよ。
返信する
Unknown (お天気ママ)
2021-04-08 23:21:58
こんにちは☺
良いお話にジーンときました
そんな心意気でいたいです!
ありがとうございます
返信する
Unknown (ヒロ)
2021-04-09 08:15:08
お天気ママさん、おはようございます。
優しい雰囲気が感じられない今の世の中で、弱者をいたわるケーキ屋さんの心意気がいいですね。
返信する
涙・・・ (ゆり)
2021-04-10 06:21:09
おはようございます。

いいお話しでした・・・
ありがとうございます。
返信する
Unknown (ヒロ)
2021-04-10 08:52:49
ゆりさん、おはようございます。

純朴な姉妹、そしてケーキ屋さんの気っ風の良さと深い愛情に心打たれました。
返信する

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