私の勤める会社は、某メーカーです。そして私の持っている最も大きな業務課題は、フリーキャッシュフローを増大させる事です。受取手形や現金以外の流動資産、つまり、材料、仕掛、在庫を減らす事が仕事なのです。
毎月末には、「棚卸資産を減らせ。来月はどれだけ減らせるんだ」とお上からケツを叩かれています。
特に今月は会社の決算月なので、棚卸資産額の重要度が非常に高くなります。
会社は、フリーキャッシュフローなどで経営状態を評価されますし、私にとっては、
「棚卸資産が増えてる=年収ダウン」
「棚卸資産が減ってる=年収アップ」
となります。
決算が近づいて、会社の収益が予算を達成するかしないか、ビミョーな状態に有る事が、だんだん分かって来ました。
予算を達成できなければ、私の勤める会社のエライ人が、親会社のエライ人から怒られる事になります。
そんな状況を鑑みて、私の勤める会社のエライ人から出た指示は、
「収益は必達だ。棚卸資産の評価額を水増ししてでも、利益を計上せよ。そうしないと、皆の来年の収入が減る事になるぞ」
と言うものでした。
確かに、貸借対照表上での資産を増やせば、黒字は大きくはなりますが...
私の業務の重要課題である、棚卸資産の削減なんて、結局数字の遊びに使われる程度のものだったんですね。
一気にモチベーションダウンです。
「それって粉飾じゃないんですか。親会社や株主その他ステークホルダーを欺く事になるんじゃないですか」
って思ったけど、言いませんでした。私は自分の首が大事ですから。どっかの会社みたいに「正直者がバカを見る」事になりかねませんし。
エライ人はエライ人なりに、ウソをついてでも、もっとエライ人のご機嫌を取らなきゃならないんですね。
それもなかなか大変です。
それにしても、私は来年まじめに仕事しようと言う気がなくなって来ました。
それを踏まえて2012年の抱負を考えました。それは、
給料が下がらない程度に、適当に働こう。
あ、この話はフィクションですよ。