「道心の中に衣食有り、衣食
の中に道心無し」と伝教大師
最澄の言葉があります。
理想を求めて、天から与えら
れた胸の張れる仕事さえ一生
懸命に成し遂げていけば、
必ず衣食はついてくる。
食えなくても多少腹が減って
も、「今日のところは我慢す
ればいいじゃないか」とい
う気持ちになれば、
一椀の汁をいただいても
感謝の気持ちが湧いてき
ます。
目標に向かって進んでい
る人は苦労も感じず、むし
ろ楽しいものです。
また、成し遂げたときには、
無上の喜びがあります。
その到達したところが
「極楽」であるわけです。
逆に、衣食のことばかり考え
ていると、金や時間に縛られ
て自由がきかなくなり、
仕事は面白くなくなり苦しみ
になってくる。
衣食に熱中しているうちに、
自分の進むべき道も見失って
しまい、豊かになったつもり
が、実際は貧しくなっていく
ばかりです。
価値ある生き方をするために
は、ものへの執着(少欲)を
捨て、自分の理想の実現に
向けて、清く、たくましく、
ゆっくりと歩いていきなさ
いという教えだと思います。
なかなか難しいことですが、
「少欲知足これ涅槃(ねはん)
の境地」に少しでも近づき
たいものです。