ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

優しさと同じくらいの孤独がある。 <「鍵」

2019年10月24日 18時52分31秒 | owarai
自転車を止めて、ちょっとかが
んで、
鍵をはずすという「君」の一連の
動作を見つめながら、そばを通っ
た。

その存在を全身で感じながら、け
れどそんなことは少しも態度に
表さずに、歩き去った。ほんとう
は、立ち止まって、彼の視界を
ほんのわずかでも揺らしたかった
のに・・・。

自転車の鍵をはずすのにかかる
時間の長さ。一瞬というほど短く
はないけれど、あれこれ考えたり
勇気をふりしぼったりできるほど
長くはない。

「あっ」と思ってから「ああ」と
心のなかでため息を
つくまでの、小さなドラマ。

“午後ひとり自転車の鍵を
はずしいし

君の視界に立ち止まれざりき“


YouTube
Marcos Valle, Stacey Kent - Amando Demais (Video Ao Vivo)

https://www.youtube.com/watch?v=7IJPlLQCyl0

「かくれんぼ」

2019年10月24日 16時26分43秒 | owarai
昔の知り合いに、夕暮れ時の公園で、
子供をぶらんこに乗せて遊ばせて
いる若い母親を見ると、すごく色気
を感じると言っていた男がいた。

何で夕暮れなんだ、何で子供を遊ば
せているお母さんなんだ、と尋ねる
と、上手く説明できないけれど、
気配じゃないかと、という答えが
返ってきた。

彼の説明だと、夕暮れ時は、太陽が
闇に呑み込まれる直前に、自らの
エネルギーを宇宙に放出し、それを
気配に変える一瞬であり、幼い子供
を見守る母親は、子を想う心が体か
ら溢れ出し、愛情が慈しみにが、

気配となって母親の姿を包み込むの
だという。それらの気配がぶらんこ
の揺れと一緒にそよぎ、辺りの空気
を心地良く、艶かしいものにするの
だそうだ。

珈琲を飲みながらの何気ない会話だ
ったが、妙に私の心に残った。

人はセクシーとか色っぽいとかいう
言葉を、ともすると特別なシチュエー
ションのもとに置きたがる。でも案外、
エロスはさり気ない日常の中に潜んで
いて、私たちが心の耳を澄ませば、

どんな瞬間でも感じ取れるものではな
いかという気がする、エロスは悪戯
好きな子供のように、隠れんぼが好き
なのだ。

追いかけると逃げるけれど、何気な
く辺りを見廻すと、ふとまた目に
つくのである。

私の好みでいえば、一生懸命生きてい
る人や、何かに集中している人の姿に、
色っぽさを感じることが多い。

昔の知人が言っていた“気配”とは、
花における香りのようなもので、一心
に、そして無心に咲いて、

自然に漂うものなのかな、とも思う。

「月冴える」

2019年10月24日 13時11分05秒 | owarai
「どこまでも冴えわたる 
藍色の空を

細く鋭い月が貫く クレ
ゼント・ナイト

夜空に住まう黒豹の その
爪痕に

陸の獣が遠吠えで 称賛を
贈り続ける」

『透きとおる寒さの中の
美しさ』
冬の冷え冷えとして澄み
切った様子を表すのに、

「冴える」ほどに適切な
言葉はないでしょう。

この言葉からは、水晶のよう
に透きとおって硬質な寒さが
想像されます。

純粋で美しく容赦ない寒さで
す。

そんな寒さの中で光りを
放つ月・・・・。

「月冴える」という言葉には、
これ以上ないくらい冴え冴え
とした感じがよく出ていると
思いませんか。

冬の夜空の月はくっきりと
見えて、それは美しいもの
です。

ただ、寒くてあまり長く見て
いるわけにはいかないのが
残念ですね。

「使いこなす」と「日常使い」の差

2019年10月24日 12時04分58秒 | owarai
ヨーロッパでは、陸続きでどの
国の女性も決して、ルイ・ヴィ
トンやエルメスのようなブラン
ドのバックを持って平気で電車

に乗るような危険なことはしま
せん。「このバックはとても高価
なものですよ」

「私はそういうクラスの人間で
すよ」と、わざわざ知らせるよ
うなものです。

芸能人のジミー・大西さんがス
ペインの生活で外出は、ビニー
ル袋をバックの代わりにして
身を防いだ程です。

そもそも高級ブランドのバック
を持つような家柄の女性は、も
ともとラッシューアワーの電車
に乗りません。

山手線で、ブランドバックを持
って乗るアジア人を欧米人は
奇異に感じています。

一流品は使いこなしてこそ身に
つき、その良さを知ることがで
きますが、大切なのはTPOな
のです。

一流品とは、買う時にその人の
人となりが厳しく問われるだけ
ではありません。

使う時にも、当然「物に見合
った」使い方が求められるの
です。少なくとも満員電車や
バスの中でもみくちゃにされ
るのが似合うわけがありませ
ん。

一つ一つ命を吹き込むように
丁寧に時間をかけて作り上げ
た一流の職人さんたちに対し
て、とてもひどいことだと思
うのです。

ブランド物というのは、手入
れ次第では一生持っていられ
るものです。

外出先から戻ったらすぐに
柔らかい布でから拭きし、
一日使ったら最低でも一日
休ませる。そうして慈しみ
つつ長く大切に使う。

それがブランドとの正しい
つき合い方なのです。

まだ精神的にも時間的にも
そのようなゆとりのない方
は、若いパリジェンヌのよ
うに最初からブランド物との
距離を置くのが賢明ではない
でしょうか。

ブランドに頼らず自由な発想
のファッションで冒険する、
それは若さの特権でもあるの
ですから。

「遣らずのあめ」やらずのあめ

2019年10月24日 08時42分39秒 | owarai
“ 心から好き

  空からふる

  ふるえる涙“

<行かせたくない人を引きとめる雨>
恋する男女が久しぶりに会えました。
けれど男はすぐ出立しなければなり
ません。

短い時間を惜しむ二人。

男が「さあ行かなければ・・・」と
立ち上がったとたん、まるでそれに
合わせたかのように激しく降り出す
雨。

このように、行ってほしくないのに
行かなくてはならない人を引き止める
雨が、「遣らずの雨」です。

「遣る」とは、人を行かせること。
同じ意味で「遣らずの風」という
言葉もあります。

いっときでも長く、好きな人を引き
止めておきたい。そんな切なくいじ
らしい女心を表す言葉です。

「まちびと」

2019年10月24日 08時14分41秒 | owarai
小夜曲(セレナード)は苦手です
白と黒の鍵盤が
恋をしたいと囁くから

とくに秋の夕暮れは
さくら貝の爪までも
潮騒の唄 奏でます

少女は永遠の待ちびと
いつでも誰かを待っています

多分 明日
多分 あさって
多分 あなた
多分 誰かを

そっと蓋を閉めるとき
夜の気配が 重たくて
ピアノに映る 肩の震え

「誰かの指と、私の指の間を
結ぶ赤い糸。目には見えない
その糸を、強く強く引っぱって。

まだ名前を知らない誰かさん。
赤い糸の伝説を信じているから
許せないの。

あなた、どこかで怠けているん
じゃありませんか」

「夢は枯野を」

2019年10月24日 06時22分50秒 | owarai
旅に病んで 夢は枯野をかけ廻る

私にとって芭蕉の辞世の句、心
こそが旅人だと教えてくれた宝
物のような一句である。

一人旅を初めて経験したのは、二
十代の半ば。その時、私は伊勢神宮
を参拝し、志摩に泊まった。今でも
明るい光に彩られた、晩秋の伊勢志
摩の風景が目に焼き付いている。

一人って、なんて気ままなんだろう、
なんて解放感があるのだろうと、
その時初めて一人旅の楽しさを知
った。

仕事場の机にしがみつきながら、
ふっとため息を漏らす。旅に出たい
などと突然思う。その思いが高じ
ると、心が勝手に空を駆ける。

美しい景色が目の前に浮かぶ。
優しい人たちが笑顔で語りかけて
くれる。

そんな時、この句が心をよぎる。
たとえ体は病んだとしても、心
は千里を走り、野を駆け巡り、
逢いたい人のもとへ飛んでゆく。

そう、人間は無限の中に生きて
いるのだと、この句は教えてく
れる。

夢のように過ぎていく人生もまた
旅。多分、芭蕉はそう言いたかっ
たのだろう。

一生を旅の空で過ごした芭蕉の
辞世の句と思えば感慨もまたひと
しおだ。

旅にも人生にも未熟な私はまだそんな
心境にはなれないが、この句の中に
旅の醍醐味と真実が隠されているよう
で、思い出すたびに心がサワッと揺れる。