ビスクドール・雛人形店・オーディオ販売 佐久市 ヤナギダ店長ブログ

ビスクドール64体他お節句雛人形をフランスへ輸出128年、軽井沢方面がお店の場所。

恋に終わりがあるように、失恋にも終わりがあるのだろうか。

2020年06月06日 16時17分53秒 | owarai
ためらうことなく
ひとりで旅たちを決めた彼
女が、僕は憎かった。
ふたりの未来より、自分の夢
を選んだ彼女。
僕らが恋人同士になってから
二回目の冬だった。
幸せな恋愛をさまたげるのは、
いつだって別のかたちの幸せ
なのだ。

空港で彼女を見送った翌日、
東京競馬場へ行った。
フェブラリーテークス。
僕の好きな「砂の女王」ホク
トベガは、そういえば彼女に
似ていた。
黒目の、大きくて、澄んで
いるところが。

朝から舞っていた粉雪が、僕
の視界を覆う。
白濁の幕の向こう側で、十五
頭の馬たちが駆け出した。
大歓声に包まれながらも僕が
静けさを感じていたのは、
粉雪が世界の音を吸収していた
せいだろうか。第3コーナー
で先頭におどり出たホクト
ベガは、迷いのない走りで、
ほかの馬をぐんぐん突き放し、
あっという間にゴールした。

雪に気持ちを漂白されながら、
僕は思い出していた。
彼女の迷いのないところが、
僕は好きだった。
好きなあいだは、好きで
いつづければばいい。
いつかその気持を忘れてし
まったとしても、そして
そのことを悲しめなかった
としても、
ひとつ残らず間違っていな
いのだ。
それは恋の終わりなのか、
それとも失恋の終わりなのか、
どちらでもかまわない。そ
う思った。

いまでも東京には、本当にた
まにしか粉雪が降らない。
だけどそれで十分だ。あの
白いスクリーンに、
ホクトベガや彼女の姿が
プレイバックされるのは、
ごくたまに、で十分なのだ。

その とりあえずコピー、や とりあえずプリント、は とりあえず森林破壊、と同じだ。

2020年06月06日 14時48分06秒 | owarai
取り返しのつかないことは
たいてい、何気ない一言から
はじまります。

「みどりの日」の5月4日
は、自然に親しむとともに、
その恩恵に感謝し、豊かな心
を育むことを目的に定められ
ました。ちなみに、日本の面
積の60%以上は森林で、その
うち40%近くは人工林です。

「いい会社に入る」の「いい」って、誰が決めた「いい」なんだろう。

2020年06月06日 13時43分33秒 | owarai
2018年卒業の就職企業
人気ランキングで、文系の
1位はANA,2位はJTBグル
ープ、3位はJAL.

理系はソニー、2位は味の素、
3位は資生堂。もちろん。
「人気企業=いい会社」とは
かぎりません。新コロナ・ウ
イルス後の企業の実態は見て
の通り。

「いい会社」の基準は本来、
自分の中にあるはずです。

眠りつつ髪をまさぐる指やさし夢の中でも私を抱くの

2020年06月06日 12時47分11秒 | owarai
もしかして。
 もしかして あなたも
  淋しかったかもしれない。

もしかして あなたも
 楽しかったかもしれない。

もしかして あなたも
 うれしかったかもしれない

もしかして あなたも
 泣いたかもしれない

もしかして もしかして
 あなたも私を
  好きだったかもしれない


大切な約束。

2020年06月06日 05時31分06秒 | owarai
「・・・高速道の下り線は、
関越自動車道が嵐山パーキ
ングエリアを先頭に45キロ、
中央自動車道は元八王子バス
停を先頭に32キロの渋滞と
なっています・・・」
それはお盆だったかもしれ
ない。

大学一年の夏、「十年後この
場所で」と、僕たちは別れた。
ドラマみたいでやだなと思った
が、
二人とも別な人とつきあって
いたから、この恋を一度凍結
しょうと、そうした。
場所は風の強い川原だった。
遠くのビルの間から花火が
見えていた。
大切な約束。
それなのに時間も場所も
曖昧にしたのは、
21世紀なんてまだまだ
先で忘れてしまうに違いな
いと思っていたから。

十年が経ち、僕はそんな
自分がなつかしくなって、
ふとあの河原に行ってみる
ことにした。
彼女に会うためというより
も、自分を振り返るために。
その十年の間に僕は就職し、
転職もしていた。

結婚こそしていなかったが、
また別な人とつきあっていた。
風の便りに彼女が外資系の
金融機関で働いていると聞い
ていた。

僕は河原に車を止め、沈む
太陽を眺めることにした。
カーラジオから交通情報が
流れている。
煙草に火をつける。
遠くに花火の音がする。

それが、FM
J-WAVE 81-3FM


YouTube
J-WAVE JINGLE ~TRAFFIC
https://www.youtube.com/watch?v=61rY1ZqmA0o

Still Life - 01. After The Rain
https://www.youtube.com/watch?v=2NnmtCSbQg4&list=PLn_MhS4bJcxMjZpqSZOEYjkcXu4bgXYAo

Across The View / Richard Bermer…J-WAVE開局と共に
https://www.youtube.com/watch?v=ALb-KnKCpR0

海も山もある故郷を、なにも無い町と呼んでいた。

2020年06月06日 04時59分04秒 | owarai
小さくまとまりたくないと、
ふるさとを飛び出して
二十年。
猫の額ほどの家から、肩
をすぼめて電車に乗り、
小さな会社の、小さなデス
クに通う。
そんな未来が分かってい
ても、あの日の俺は同じ
決断をしたのだろうか。

夜十一時の居酒屋のカウ
ンター。ひとりで呑むのも、
もう慣れた。
目の前には、地元のお酒と、
地元の名物さった鰯のへし
こ。
親にはもう5年近く顔を
見せていないが、
胃袋だけは、こうして毎週
帰省している。

あの町には、海があり、山が
あり、魚がいて、酒があった。
友人がいて、家族がいて、
たしか、恋人だっていた。
何も無いのは・・・・・。

思わず、日本酒に手が伸
びる。何も無いのは都会の
ほうかもしれない。

少し濁ったお酒を眺めなが
ら、東京でどうしても見つ
からないものたちを、思う。
いつしか手の上のスマート
フォンは、新幹線の予約画
面を開いていた。

今晩も 一杯。

「遠 恋」愛よりも優しくー1―

2020年06月06日 04時53分55秒 | owarai
あれから、十二年という歳月が
流れた。

あの日、あの夜、闇の底を生き
物のように流れる河のほかには
何もない、

閉散とした駅のプラットホーム
に、おそらく永遠に取り戻すこ
とのできない何かを置き忘れた
まま、わたしはもうすぐ、三十
五歳になろうとしている。

こうして、スピードを上げながら
西へ西へ向かう新幹線の中でひと
り、遠ざかってゆく景色を眺めて
ると、記憶の虚空(こくう)から、

はらはらとこぼれ落ちてくるのは
あの年の記憶だけだ。あの年その
ものが、わたしにとって八番目の
曜日であり、十三番目の月だった
のかもしれない。

今はもう、痛みは感じない。そこ
にはひと粒の涙も、ひとかけらの
悲しみ宿っていない。あのひとの
記憶は愛よりも優しく、水よりも
透明な結晶となって、わたしの心
の海に沈んでいる。

この十二年のあいだに、わたしは
いくつかの恋をした。

出会いがあって、相手を求め、求
められ、愛しいと感じ、結ばれた。
二十七の時には、結婚もした。
不幸にも、夫に好きな人ができ
てしまったため、その結婚はた
った二年で壊れてしまったけれ
ど、それでも二年間、わたしは
とても幸せだった。

ただ、どんなに深い幸せを感じ、
それに酔い痴れている時でも、
わたしの躰の中に一ヶ所だけ、
ぴたりと扉の閉じられた、小
部屋のような領域があった。

扉を無理矢理こじあけると、
そこには光も酸素もなく、
植物も動物も死に絶えた、
凍てついた土地がだけが
広がっている。

だからうっかりドアをあけた
人たちは、酸素と息苦しさに
身を縮め、わたしから去って
いく。離婚の本当の原因は、
もしかしたらわたしの方に
あったのかもしれない。

こんな言い方が許されるな
らば、わたしは誰かに躰を
赦(ゆる)しても、心を救
したことはなかった。