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「ハムレット」 舞台内容 四幕五場~六場

2009-09-16 21:49:59 | 「ハムレット」

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・四幕五場
 あれから数週間が経過していた。
城内の一室に王妃と貴婦人たちが、ホレイシオ等、従臣を引き連れてやって来た。


 とうとうオフィーリアが気が触れてしまったのだ。
そしてその様子を、王妃たちが伺いに来たのである。


 オフィーリアは、乱れた髪が肩にかかり、胸にリュートを抱きしめて、狂乱のていであった。
哀れです。
父の突然の死によって(しかも恋人であったハムレットに殺された)、発狂してしまった。

 彼女は、自分というものを持たず、弱かったかもしれないが、何ら罪はない。




 少し遅れて、国王が入って来る。
国王は、オフィーリアに話しかけるが、謎めいた詩を唄うばかりで、まともな返事が返ってこない。
彼は、オフィーリアを憐れんだ。
 'When sorrows come, they come not single spies,
   But in batterlions.'
 (悲しみという奴は、いつも独りではやって来ない。
  必ず大群なして押し寄せて来るものだ)


 オフィーリアについては、前にも述べましたが、詳細は、別の機会に取り上げるので、割愛します。




 そしてオフィーリアは、何処へと走り去ってしまった。
 直接的ではないにしても、少なからず彼女の発狂の原因は、ハムレットにあるのだ。
まるで森 鴎外の『舞姫』のようである。




 さらに彼は、新たなる敵をつくる。
レアーティーズが、父親の突然な死の知らせを受けて、パリから帰ってくるのだ。
 ここで注目するのは、レアーティーズの境遇が、ハムレットと似ているということだ。
父親を不当な死によって亡くしている。

 急遽、留学先から、帰国することになった。
そして、父の死の不当を糾そうとしている。
 しかし、ハムレットとレアーティーズの違いは明確で、レアーティーズは、直情型で直ちに行動が出来たことである。
(悪く言えば、後先は、何も考えていない猪突猛進な、イノシシみたいな奴)




 はじめレアーティーズは、国王が父の死に関して責任があるとして、暴徒を引き連れて、城に乗り込んでくる。
 もちろん、これは彼の身勝手な思い込みで、何の根拠もないのだ。




 しかし、国王は慌てずに対処して、レアーティーズを以下のように証し、簡単に説き伏せてしまった。
 'Sweepstake, he will draw both friend and foe,
   Winner and loser.'
 (敵味方の区別なく、手当たり次第に
  薙ぎ倒してしまう)


 国王クローディアスは、レアーティーズを問題にしていなかったのだ。
頭の中がピーマン(中身がない)のようなレアーティーズを、丸め込むことなど、狡賢いクローディアスにとっては、朝めし前なのだ。




 そうこうしているうちに、再びオフィーリアが、花を手に持ち、戻ってきた。


 狂乱しているオフィーリアを見たレアーティーズは、ショックのあまり意気消沈してしまった。
そして、彼は、国王の理屈に耳を傾け、説得されてしまう。



・四幕六場
 一方、ホレイシオの元に、一通の手紙が、ハムレットの使者と共に届けられた。


 内容は、イギリスに向かう途中で海賊に襲われたが、逆に、この機会を利用して、単身、海賊船に乗り込んで、海賊等を取り込み、デンマークに戻ってくる途中であること。


 そして、使者に持たせたもう一通の手紙を、早急に国王に渡してもらいたいと、いうものだった。



 話は、急転直下。
クライマックスに向けて、一気に突き進むのだ。





「ハムレット」 舞台内容 四幕一場~四場

2009-09-16 12:34:40 | 「ハムレット」

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 四幕は、短い場面が続くので、適当な箇所までまとめてしまいます。





・四幕一場
 引き続き、王妃ガードルードの私室。
ハムレットが、部屋を出て行くと、入れ替わるように国王クローディアスがロウゼンクランツとギルデンスターンを引き連れて入ってくる。


 ガードルードは、クローディアスに向かって、ハムレットが本当の狂気に取り憑かれていると主張し、宮内大臣ボローニアスを殺したのは幻想のせいだと弁明する。
しかし、クローディアを説得できないでいた。


 クローディアスは、ロウゼンクランツとギルデンスターンに、ハムレットと彼が引きずって行ったボローニアスの遺体を探し出すように命じる。



・四幕二場
 城内の一室、ハムレットが入ってくる。
そして、その場にロウゼンクランツとギルデンスターンが、衛兵を引き連れ、急ぎ駆けつけて来たのだ。


 ロウゼンクランツとギルデンスターンは、ハムレットにボローニアスの遺体の場所を聞き出そうとするが、彼は、二人を煙に捲き、まともに話さなかった。
そして、ハムレットは突然走り出し、一同は、後を追って行くのだった。



・四幕三場
 城内の大広間では、国王クローディアスと大臣等がテーブル囲んでいた。
彼等が、ハムレットの狂気について話していると、その場にロウゼンクランツとギルデンスターンが、ハムレットを伴って入って来た。


 クローディアスは、改めて正式にハムレットのイギリス行きを申し渡し、ハムレットはこれを了承する。
 観客は、ハムレットがイギリスに行けば、処刑されてしまうことを知っており、一先ずは、クローディアスの勝利を確信するのだった。





・四幕四場
 デンマークの港に近い荒野では、フォーティンブラスが、ポーランド征伐のため、兵を引き連れ遠征するところであった。


 フォーティンブラスは、隊長に命じて、兵を二手に分け、進軍させる。
隊長が引き連れた軍は、港に向かうハムレットたちに出会うのであった。


 ここでハムレットは、自身の失敗を省みる。
             'I do not know
   Why yet I live to say, this thing's to do;
   Sith I have cause, and will, and strength, and means,
   To do it.'
            (自分にも分からない、
  『これだけはやってのけねば』と、
  口先だけで言い放っている自身の気持ちが、名分も、意志も、力も、
  手立ても、みんな揃っているというのに)


 自問自答するハムレット。
このままでは、みすみす死地へ追いやられてしまう。
              'Some craven scruple
   Of thinking precisely on th' event.'
       (あまり物事の
  先の先まで考えすぎて身動きできぬのか)


 結果を、こと細かく考えすぎとか、いってますが、要するに臆病からくる躊躇なのだ。
先の先まで考えるのであれば、一度逃がした機会は、二度と訪れることがないと、少しは考えるべきでなかったのか。




 そして、ハムレットは、ポーランド征伐に赴く兵士たちの勇ましい行軍を目の当たりにして、彼は、自らの思いを新たにするのだった。
              'O, from this time forth,
   My thoughts be bloody, or be nothing worth !'
      (ああ、今から後は、どんなに血生臭くとも恐れぬ。
 それが出来なければ、私の心は一文の価値もない!)


 いささか、時を逸してしまったが、やっとハムレットは、心を鬼にすることを決めたのだ。
格好いいぞ! ハムレット!! 修羅の道を突き進むのか?!
 でも、これが、さらなる悲劇を生むんだよね。でも仕方がないか、これは、まさに悲劇なんだから……





「ハムレット」 舞台内容 三幕四場

2009-09-15 20:56:10 | 「ハムレット」

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 ハムレットは、母のガードルードの私室へ赴く。
ガードルードの部屋では、宮内大臣ボローニアスが、カーテンの陰に隠れ、二人のやり取りをこっそりと伺っていた。


 ハムレットが部屋に入ってくるが、彼の様子がおかしい。
 狂人のフリをしているのだから、おかしいのが当然なのだけれど、ここは、直前にクローディアスを殺せなかったことに苛立っていたのだ。

 ハムレットは、最もらしい理由をつけて、復讐の機会を回避してしまったのが、心のどこかで、そのことを後悔していたのだと思う。
あの時、決断し、実行できなかった自分に腹を立てていたのではないだろうか。




 ハムレットは、カーテンの物陰に誰かが潜んでいるのに気がつくと、思わず剣を抜き突き刺してしまう。
 遣り切れない思いを、ぶつけてしまったのだ。




 そしてカーテンを引くと、ボローニアスの死体が横たわっていた。
確かにボローニアスは、軽蔑されるべき愚かな老人であったかもしれない。
オフィーリアのことでも愛情の取り扱いについて非難されても仕方がなかった。
でも、彼は、何ら罪を犯してはいない、殺されるべきではなかったのだ。




 このことにより、ハムレットは、亡霊との誓いの一つ、「魂を汚すことなく」を破ってしまった。


 次にハムレットは、もう一つの誓い、「母親には手出ししてはならない」も破ってしまう。
母の不実な罪について、得意の毒舌で、激しく攻め立てのであった。


 ガードルードは、戦慄きながら泣き崩れる。
その時、例の亡霊が姿を現わしたのであった。
 'Do not forget ! this visitation
   Is but to whet thy almost blunted purpose――
   But look, amazement on thy mother sits,
   O step between her and her fighting soul,
   Conceit in weakest bodies strongest works,
   Speak to her, Hamlet,'
 (忘れるな! こうして来たのは
  その鈍ってしまった心を研ぎ澄ますために他ならない――
  それ、見るがよい、母を。あのように恐れ戦いている。
  あの心の悶えに、何故、手を貸してやらぬのだ。
  弱き心には、同じ言葉を強く響く、
  母に話しかけてやるのだ、ハムレット)


 亡霊は、誓いを破ってしまったハムレットの誤りを叱りながら、生前の元妻を憐れむために出現したのだ。
死んでも、奥さんのことが忘れられないんですね。




 ただ、ガードルードには、亡霊の姿が見えないでいるので、ハムレットが空中に向かって独り話している。
その姿を見た彼女は、ハムレットの狂気が本物であると思い込んだのだった。


 ハムレットは冷静さを取り戻し、ガードルードにイギリス行きについて確認し、彼女もそれを認めた。
ただ、国王クローディアスが、ハムレット殺害を目論んでいたことまでは、知らないでいる。
もちろん、死んでしまったボローニアスも知らなかった。
 クローディアスは、ガードルードに対しても、ボローニアスに対しても、ハムレットの狂気を本物であると信じるフリをしながら、陰謀を進めていくのだ。
 まるで狼のように、狡賢いオッサンだ。




 ハムレットは、ボローニアスの死体を引きずりながら、部屋を後にした。
ここで三幕が終わる。



「ハムレット」 舞台内容 三幕三場 (2)

2009-09-15 01:02:31 | 「ハムレット」

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 ハムレットが復讐を遂げる最大の瞬間が訪れるのだが、彼は叔父を殺すことが出来なかったのだった。
 'Now might I do it pat, now a' is a-praying――
   And now I'll do't, {be draws bis sword} and so a' goes to heaven,
   And so am I revenged. That would be scanned:
   A villain kills my father, and for that
   I his sole son do this same villain send
   To heaven....
   Why, this is bait and salary, not revenge.
   A' took my father grossly, full of bread,
   With all his crimes broad blown, as flush as May,
   And how his audit stands who knows save heaven ?
   'Tis heavy with him: and am I then revenged
   To take him in the purging of his soul,
   When he is fit and seasoned for his passage ?
 (奴は今、祈りの最中、やるなら今だ――
  よし、やろう。{剣を抜く}今なら、奴は昇天、みごと復讐を遂げられる。
  だが、待て、これは考えものだぞ。
  悪党が父を殺し、ひとり息子の私が、
  その悪党を天国に送り込む・・・・
  それは、雇われ仕事で、復讐ではない。
  奴は私の父を、現世の欲に塗れたまま
  その罪の花が、五月のように大きく咲いている時に、
  罪の穢れを清めることのないままに殺したのだ。
  あの世で父が受ける罰がどんなに重いか、神の裁きは知る由のないが、
    どう考えても、軽くすむはずがない。それなのに奴が魂を
  清めている最中に、奴が天国へ行く備えが出来ている今、
  奴を殺して、それで復讐をしたことになるのか?)


 ハムレットは、クローディアスが跪いている姿を見て、彼が神に祈っていると考えた。
ならば、今、彼を殺してしまうことは、そのまま天国に送ることになってしまう。


 ハムレットの父は、何の準備をすることがないまま、突然、殺された。
きっと神の前で、生前の罪を罰せられて、苦しんでいることだろう。
だとすれば、今、クローディアスを殺してしまっては、復讐を遂げたことにならないと考えたのだった。
 これはもっともらしい理由をつけているが、ハムレットは決断できなかった、いざ実行する時が来て、躊躇してしまった。
ヘタレなハムレット! 勇気を出せ!! と言ってやりたい。




 ハムレットは、クローディアスも父と同様に、何の準備をしていない時、喜びの絶頂にある時に復讐を遂げようと考える。
 'Up, sword, and know thou more horrid hent,
   When he is drunk asleep, or in his rage,
   Or in th' incestuous pleasure of his bed,
   At game, a swearing, or about some act
   That has no relish of salvation in't,
   Then trip him that his heels may kick at heaven,
   And that his soul may be as damned and black
   As hell whereto it goes.'
 (収まれ、剣よ、今よりもっと恐ろしい手で握られることもあろうから、
  奴が酔いしれて眠っている時、我を忘れて怒り狂う時、
  不倫の寝床で快楽を貪っている時、賭博に夢中になっている時、
  罵り喚いている時、救いのない悪行に耽っている時に、
  奴の足をすくってやるのだ。すれば奴の踵が天を蹴り、
  まっしぐらに地獄落ち。いや、落ちる前から、
  その魂は、どす黒く地獄の色に染まっていよう)


 ハムレットは、絶好のチャンスをみすみす逃してしまったのだ。
彼が、クローディアスを殺すことを断念したまさにその時、最も有効に、ベストの状態で復讐を遂げることが出来た。




 この時、クローディアスは、跪いていたけど、それは格好のみで祈ってなどいなかったのだった。
 'My words fiy up, my thoughts remain below.
   Words without thought never to heaven go.'
 (言葉は空に迷い、思いは地に沈む。
  心の伴わぬ言葉が、どうして天上に届くというのか)


 祈っていない。いや、祈れないのだ。だから、ハムレットは復讐を遂げても、何ら問題なかったのだ。
「魂を汚すことなく」復讐できた。

 劇中劇でクローディアスが動揺し、退場したことは皆が見ている。
さらに亡霊のこともホレイシオが証人になってくれるだろう。
罪を悔い改めることも出来ないままクローディアスが殺されることは、復讐を完璧に遂行できた。

 しかし、祈ってばかりいると思って、ハムレットが見逃してしまったことが、まさに悲劇的なアイロニー(皮肉)だった。

 この唯一無二のチャンスを逃してしまったことが、この後の悲劇を生んでいくのだ。




 国王クローディアスは、自身の罪深きことを知り、「毒は喰らわば、皿まで」と、心を決める。
そして、彼は立ち上がり、この場を去るのだった。



「ハムレット」 舞台内容 三幕三場 (1)

2009-09-14 02:56:03 | 「ハムレット」

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 芝居の途中で席を立ってしまった国王クローディアスは、謁見の間に続く大廊下で、ロウゼンクランツとギルデンスターンに向かって、ハムレットを早急に委任状と共にイギリスへ送ることを命じる。
 芝居を見たときに、ハムレットは、クローディアスが父殺しの張本人であることを確信するが、逆にクローディアスは、自分の悪事が、全てハムレットに露見していることに気がつくのだ。

 そして、一国の猶予もならず、ハムレットを亡き者にしようと、イングランド国王に対し、彼の処刑を依頼する委任状を認めることにした。

 クローディアスは、ハムレットとは違って、即断即決の出来る男で、悪事を犯したとはいえ、それなりに優秀なのである。
いってみれば、『急いては事を仕損じる』タイプの慎重派ハムレットと、『善は急げ』(悪人に善というのも変だけど)タイプの行動派クローディアスの対決と、いったところでしょうか。




 ロウゼンクランツとギルデンスターンが、イギリス派遣の仕度のため、退場すると、入れ替わるようにボローニアスがやって来る。
 彼は、ハムレットを王妃ガードルードの私室に向かわせ、物陰からその様子を伺う手筈を進めるために、国王に報告に来たのだった。


 そして、独りクローディアスが、残される。
彼は、かなり動揺していて、自分の犯した罪に対し、懺悔の念が沸きあがってきたのだった。
 'O, my offence is rank, it smells to heaven;
   It hath the primal eldest curse upon't,
   A brother's murder.'
 (おお、俺の罪は臭く、天まで臭うぞ。
  人類最初の呪いを、カインの呪いを、
  兄殺しの極印を押されている)


 しかし、今まで神に祈ったことのないクローディアスは、本当の意味で祈ることが出来なかった。
       'But, O, what form of prayer
   Can serve my turn ? "Forgive me my foul murder" ?
   That cannot be since I am still possessed
   Of those sffects for which I did the murder;
   My crown, mine own ambition, and my queen;
   May one be pardoned and retaion th' offence ?'
      (だが、おお、俺は、
  どう祈ったらいいのだ。『私の醜い罪をお赦しください』か?
  それは駄目だ。俺は殺人によって得たもの、いまだ身に着けておる。
  王冠も、王妃も、いや、野心そのものを、棄てきれずにいる、
  罪の得物を棄てずして、赦されることなどあろうか?)


 クローディアスは、自身が許されるはずがないと思っていながら、それでも懺悔の祈りをしようと跪くのだった。


 この瞬間、ハムレットが母のガードルードの元へ行くため、通りかかる。
国王は、ハムレットに気がついていない。
まさに復讐を遂げる絶好のチャンスだった。


ハムレットは剣を抜き、そっとクローディアスに近づく――