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「牛頭人身の怪物・ミーノータウロス」

2010-06-29 15:06:35 | ギリシャ神話

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 「丑年、牡牛座は関係ございません」


 ミーノータウロス、言わずと知れた有名なモンスター。ギリシャ神話に登場するモンスターの有名どころランキングで、メドゥーサと並んで上位を占めるのは確実でしょう。


 頭は牡牛で、体は人間。そのうえ人を喰うときている。なんだか、とても生臭そうな奴。
 ミーノータウロスは、その名の通り、クレーテー島の僭主、ミーノース王の息子なのだが、といっても本当の血のつながった親子ではない。実はそのものズバリ、人間と牛のハーフなんですね。


 成り上がりのミーノース王、ポセイドーンに牡牛を捧げる約束をしたことにより国王の地位に就くことができた。ところがミーノースは約束を果たさない。
 怒ったポセイドーンは、彼の妻に呪いをかける。そのため、なんと彼女は牡牛を愛してしまったのだ。狂おしい想いに駆られた彼女は、名工匠ダイタロスに作らせた張りぼての牛に入り、まんまと牡牛と交わってしまう(ちょっと、お下劣ですみません)。
 かくして生まれたのがミーノータウロス、というわけだ。


 ともかくこのミーノータウロスは、獰猛で手に負えないため、ダイタロスに造らせた迷宮に閉じ込めた。いや、でもどうやって閉じ込めたんでしょうか。一旦中に入ると誰も(造った本人であるダイタロスさえ)、出口を見つけることができないというのだから…… 、誰かが中へ引っ張って行ったとしても、かなりの犠牲者が出たに違いない。


 しかし、転んでもただじゃ起きないミーノース王、これを口実にして、アテーナイへ生け贄を要求し、ミーノータウロスに捧げる。自分の権威を示す、いいオモチャができた、って言ったところだろうか。


 そうして迷宮で平和に暮らしていた(笑)ミーノータウロスも、生け贄に紛れて乗り込んできた勇者・テーセウスによって、結局退治されてしまう。
 テーセウスに一目惚れしたミーノースの娘・アリアドネーが手を貸したことにより、テーセウスが迷宮を見事に乗り切ってしまったためだった。


 それにしても、獰猛・怪力で恐れられたミーノータウロスを、素手で殴り殺してしまったというテーセウスの方が、よほど恐ろしい気がするのだけれど。まあ、RPGは、言うまでもなく、勇者と怪物なんて紙一重ってことなんだろうか?



「ゴルゴーン三姉妹の末娘・メドゥーサ」

2010-06-28 14:54:34 | ギリシャ神話

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 「周りに石像がいっぱいあったら、彼女がいるかも」


 ギリシャ神話には数多くのモンスターが登場するけど、有名どころと言えば、そう、ミス・ヘビ娘こと、メドゥーサです。


 ゲームなどによく登場するポピュラーな人(?)だから、髪の毛の換わりに無数の蛇が生えていて、その姿を見たら石に変えられてしまう、といった特徴もよく知られていることでしょう。


 彼女はペルセウスの英雄譚に登場する。でも姉妹がいるってことは意外に知られていない。ステンノー、エウリュアレー、それにメドゥーサの三人で、ゴルゴーンの三姉妹と呼ばれていた。
 その上に、さらにグライアイの三姉妹というのがいて、ゴルゴーン姉妹はヘビ娘だが、グライアイ姉妹のほうは、生まれたときから白髪の老婆の姿で、眼を三人で一つしか持っていなかった(なんか不便ですね)。


 こういったユニークな(?)姉妹の中で、何でメドゥーサひとりが有名になったかといえば、やっぱりペルセウスに退治されたからでしょうか。
 有名スタート競演しただけで名前の売れてしまった脇役女優のパターンといったところかな。でも、それって、なんか不幸という気がしないかではありませんが…… 。


 さて、ゴルゴーン退治を頼まれたペルセウスは、姉二人は不死だというので、狙いをメドゥーサに定め、グライアイ姉妹の目玉を取り上げて、メドゥーサ退治のためのアイテムをせびり取る。
 ほとんどヤクザまがいのことだけど、これはアテーナーとヘルメースの入れ知恵。メドゥーサは直接見ると石になるので、盾に映る姿を見て切れ、と教えたのもアテーナーだった。


 ペルセウスは見事にメドゥーサの首をはね、その血から、翼の生えた馬、ペーガソスが生まれた。その後のアンドロメダー救出劇での重要なアイテムになるのだ。


 メドゥーサは元々は美しい娘だったのが、それをひけらしたのでアテーナーが化け物に姿を変えてしまった、という話もあるのだけれど、勝手に化け物にしておきながら、今度は見たら石になるからって理由で殺させるアテーナーって、いったい…… 。


 でも、上の二人は不死であるのに、どうして末っ子のメドゥーサだけが違うのだろうか? 不思議なのだけれど、どうしてなんでしょうね~。



「盲目の預言者・テイレシアース」

2010-06-26 13:06:52 | ギリシャ神話

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 「夫婦喧嘩は犬も喰わないが…… 」


 それは、ある日突然はじまった。たぶん些細なことだったと思うが、神さまだって夫婦喧嘩をするんですね。
 ――男と女、どちらが恋をして楽しいか―― (賢明なお方は、もっと深い意味を理解するでしょうが…… まったくのその通り!)。 しかし、これって不毛なテーマだよね。今さら性別を選べるわけでもないし…… 。


 「男の方が好いに決まっているじゃない」


 「女はこんなに楽しんでおる」(あんたには言われたくないよ)


とヘーラーとゼウスの言い分は平行線、いつ果てるともなく続く泥仕合の様子だった。


 「いいわよ、それじゃ有識者の意見を拝聴いたしましょう」


と言ってヘーラーが連れて来たのが、テーバイの偉大な預言者・テイレシアースという人。
 この人もどこかミステリアスな人で、先ず盲目になったのが、アテーナーの水浴びを覗いちゃったからとか、もうひとつは、これから起こる出来事によるものだとか言われている。つまりこの時点では、彼は盲目じゃなかったかもしれないということだ(みんな伝説ですから、こまかい事は置いといて)。


 テイレシアースは成人してから、交互に男女になる機会があった。それはかなり長い期間で、女である時は完全に女だったし、今は完全な男に戻っている。つまり双方で、それなりの経験を積んできているということです。
 そんなわけで、ヘーラーとゼウスの審判として呼ばれたのだ(考えてみればヘンな人だよね……)。


 「それは女の方ですね。男と女、1対9ってところでしょうか」


 もうほとんど即答。来たら10秒で判決が下ってしまった。ゼウスは自分の主張が認められたと、“勝訴”と書いたのぼりを持って外へ出て行った(そんなわきゃあないが)。


 さて、問題は負けたヘーラーだ(こんな問題で勝敗なんて…… 、いい年して、子供じゃないんだから)。このままじゃ、到底気が収まらない。
 彼女はテイレシアースに対して怒りをぶつけた(おーい、呼んできたのは、あなたでしょうが)


 「罰として盲目になりなさい」


 戻ってきたゼウスはテイレシアースを見て不憫に思い、彼に予言の力を与えたのだった。
 でも、これって、ただのとばっちりだよ。ただの夫婦のじゃれあいに付き合わされた挙句、眼まで潰されてしまうんだから、ギリシャ神話の世界は理不尽だよね。



「トロイアの王子・パリス」

2010-06-25 15:58:19 | ギリシャ神話

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 「ゼウスがしっかりしていたら、こんなことは起きなかった」


 ここからはご安心を、ゼウス絡みの話でもまともなエピソードが続くから……(誰ですか? がっかりだなんて言っているのは)。


 ギリシャ神話上、もっともお騒がせな果実のひとつが“黄金のリンゴ”だ。“不和”を呼ぶ恐ろしいリンゴである。
 かのトロイア戦争の発端をつくったのも、こいつだった。
 中でもアテーナーとヘーラーとアプロディーテーという女神たちの三つ巴の争いは、そのスケールの大きさとバカバカしさでは群を抜いている。


 それはペーレウスとテティスの結婚披露宴からはじまった。この披露宴はとても盛大なもので、ほとんどの神々が招待された。
 ところが争いの女神エリスだけは招待されない(だって仕方がないじゃん。二人の幸せの門出に争いの神はないでしょう)。もともとひがみっぽい、この神さま、自分は除け者にされたと憤慨し、神々がうち揃った披露宴会場へ黄金のリンゴを送り届けたのである。
 そしてリンゴにはこう書いてあった。


 「一番美しい女神さまへ」


 そのリンゴに三つの手が伸びてきて、ぶつかった。アテーナー、ヘーラー、アプロディーテーの女神たちだ。どちら様も、自分の美貌には絶対の自信をお持ちです。
 三人は、黄金のリンゴをむしり取ろうと騒ぎ始めた。結論がでる訳がない。


 「では、お二人とも、ゼウスさまに審判していただきましょうよ」


とヘーラーが言う。


 「やっぱりきたか」


とゼウスも観念した。あとの二人も、それがいいと賛成のようだ。
 ところがゼウスの方が一枚上手。危険を回避するのは上手いのだった。


 「トロイアの王子・パリスに決めてもらおう」


 かくしてパリスが突然、審判役に抜擢されてしまう。三人はそれぞれ、早速パリスに賄賂を贈る約束をした。
 ヘーラーは権力と富を、アテーナーは戦場での誉と名声を、アプロディーテーは人間の中でもっとも美しい女性、スパルタの王妃ヘレネーを彼の妻にと約束した。
 パリスはアプロディーテーの申し出を気に入り、黄金のリンゴは彼女のものとなった。


 のちにパリスはヘレネーを誘拐したことから、トロイア戦争が始まる。しかし、ヘーラーとアテーナーの恨みは消えず、二人の応援を受けられなかったトロイアは敗北していくのだ(ああ、女の恨み、妬みって怖いんだな)。


 それにしても、あのヒヒ爺、これだけの大きな戦争が起こっても、あの三女神に恨まれるよりましだと思っているんだろうな。やれやれ…… 



「アルゴスの王女・アルクメーネー」

2010-06-24 22:59:20 | ギリシャ神話

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 「わたくしには、罪はありませんわよ」


 さて、今回の餌食(何だかなあ~)は、その名も美しきアルクメーネー。ご本人はそれ以上に眩いばかりの美しさ。


 朝露が葉の上を滑り落ちるように、滑らかで透き通った素肌。太陽の光はいつも彼女の麗しさを引き立たせるためにあるかのよう。ふと見せる微笑で、妖精、ニュムペーが花を散らしたかのように辺りがぱっと華やぐ。それもそのはず、アルクメーネーは、当時の最高の美女だったのだ。


 しかもアルゴスの王女さま。彼女が草原を軽やかに駆け回るとき、草の葉は折れることがなかったというので『忍び足の王女』とあだ名されていた(美女はあだ名まで違うんですねぇ)。
 でも、こんな評判の高い美女を、あいつ(ゼウスのこと)が放っておくはずがないのだ。例によってすっかり惚れこんで夢中になる。


 しかし、彼女はすでに結婚していた。夫の名はティリュンス王・アムピュトリュオン。つまり人妻というやつですな。
 でもねえ、ゼウスは少女趣味じゃあなかったのか? え、基本的はどっちも好きだって。やれやれ…… 、これだから男って奴は…… 。


 ところで、このアルクメーネーさん、とても貞淑な奥さまだった。夫以外の男とは同室すらしないという徹底ぶり。
 そこで、さあ、ヒヒ爺の作戦開始だ。
 何も知らないアルクメーネー。忍び寄るゼウスの黒い影。ところがゼウスの姿を見ても彼女はまるで動じない。


 「あら、あなた。お帰りなさい。今日はずいぶんとお早いのね」


そう、ゼウスは、こともあろうか彼女の夫に化けて近づいたのだった。


 というわけで、アルクメーネーはまんまとゼウスに騙されて、挙句の果てに、あのヘーラクレースを身ごもったのである。


 夫のアムピュトリュオンは戦いから帰ってくる。


 「あら~、また帰ってきたの」


と言われて不思議に思う。そして、予言者からことの真相を聞きだしたのだった。


 「あのお方なら仕方がない」(えーっ、それでいいんですか!!)


とかなんとか呟いて、アムピュトリュオンはすべて諦めたそうだ(おーい、誰かあのヒヒ爺を止めてくれ)。