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「ハムレット」 舞台内容 <目次>

2009-09-21 10:26:35 | 「ハムレット」
・舞台:ハムレット


・場所:デンマーク


・人物:ハムレット    ・・・デンマーク王子、先王の息子、現王の甥
    クローディアス  ・・・現デンマーク王
    ガードルード   ・・・デンマーク王妃、ハムレットの母
    ボローニアス   ・・・宮内大臣
    オフィーリア   ・・・ボローニアスの娘、ハムレットの恋人
    レアーティーズ  ・・・ボローニアスの息子
    ホレイシオ    ・・・デンマーク王家の従臣、ハムレットの友人
    ローゼンクランツ ・・・デンマーク王家の従臣、ハムレットの学友
    ギルデンスターン ・・・デンマーク王家の従臣、ハムレットの学友
    マーセラス    ・・・デンマーク王家の従臣、見張り番
    バーナードウ   ・・・デンマーク王家の従臣、見張り番
    フランシスコウ  ・・・デンマーク王家の従臣、見張り番
    フォーティンブラス・・・ノルウェイ王子、現ノルウェイ王の甥
    亡霊       ・・・先王(老ハムレット)、ハムレットの父の亡霊


・内容:あらすじ


    一幕一場   ・・・エルシノア城、胸壁の見張り台
    一幕二場(1)・・・城内、会議の間
    一幕二場(2)・・・同上
    一幕三場   ・・・ボローニアス邸の一室
    一幕四場   ・・・エルシノア城、胸壁上の歩廊
    一幕五場   ・・・城壁に沿った空地


    二幕一場   ・・・ボローニアス邸の一室
    二幕二場(1)・・・エルシノア城内の謁見の間
    二幕二場(2)・・・同上


    三幕一場   ・・・城内、会議の間につづく大廊下
    三幕二場   ・・・城内、大広間
    三幕三場(1)・・・城内、謁見の間につづく大廊下
    三幕三場(2)・・・同上
    三幕四場   ・・・王妃の居間


    四幕一場~四場・・・王妃の居間(一場)
               城内の一室(二場)
               城内の広間(三場)
               デンマークの港近くの荒野(四場)
    四幕五場~六場・・・城内の一室(五場)
               同上   (六場)
    四幕七場   ・・・城内の一室


    五幕一場   ・・・墓場
    五幕二場(1)・・・城内、広場
    五幕二場(2)・・・同上


・考察:倫理観
    世界観



「ハムレット」 舞台内容 五幕二場 (2)

2009-09-20 21:31:51 | 「ハムレット」

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 先ず、ハムレットは、誤ってボローニアスを越してしまったことをレアーティーズに侘びる。
それに対して、レアーティーズは、卑劣な策略を胸に秘めながらも、おくびにも顔にださない。
 'I do receive your offered love like love
   And will not wrong it.'
 (殿下がお示しになられたご友情を素直にお受けいたしましょう
  それに疑念を抱くようなことはしますまい)


 そして試合は、始まる。


 ハムレットが、最初の二本を取った。
王妃ガードルードは、ハムレットが取ったことを喜び、それを祝うためハムレットのために用意された毒杯を、知らずに呑んでしまう。


 三本目は、レアーティーズが取り返した。
さらに毒剣でハムレットを傷つけることに成功した。


 しかし、ハムレットがカッとなって、レアーティーズに飛び掛り、取っ組み合いの喧嘩となった。
そして、このとき、レアーティーズも誤って毒剣で自分も傷つけてしまったのだった。


 ガードルードが、体に毒が回って倒れた。
レアーティーズも倒れる。


 ガードルードは、死に際に杯に毒が入っていたことを告げ、息絶えた。
さらにレアーティーズは、死に際に陰謀のすべてを語り、息絶える。


 毒に犯されたハムレットも、残された時間は少ない。
ハムレットは、最後の力を振り絞り、毒剣を国王クローディアスの胸に突立て、さらにガードルードが呑み残した毒杯を口に注いで、ようやく復讐を遂げるのであった。


 このとき、ポーランド征伐からフォーティンブラスが戻ってきた。
そしてハムレットは、ホレイシオに今回の復讐劇を世の中に伝えること、フォーティンブラスを、次の点マーク王にするとの遺言を残して息絶えたのだった。
 '―― the rest is silence. {Dies.}'
 (―― あとは沈黙。{死ぬ})


 みんな死んでしまいました。ボローニアス、オフィーリア、ロウゼンクランツとギルデンスターン、レアーティーズ、ガードルード、クローディアス、そしてハムレット。

 なんと血みどろな復讐劇になってしまったんだろう。
この復讐は、亡霊と誓った「魂を汚してはいけない」「母を責めてはいけない」は、結局、守れなかったのだ。

 確かに復讐はできたのだが、なんと後味が悪いことか。
だが、ただ一つ、ハムレットが、今後の希望をもたらしたことがある。

 「この世のタガ(間接)が、外れてしまっている」といって、この世を正そうとしたことである。
それは、フォーティンブラスを向かい入れたことであった。

 つまり、この世の改革のために、古き者の血を一掃し、新たなる血を導入したといえるのではないだろうか。




 このあと、フォーティンブラスは、ホレイシオの援けにより、デンマークの歴史の新時代に踏み入れていくのであった。


 そして、全ての幕は閉じる――。(了)



「ハムレット」 舞台内容 五幕二場 (1)

2009-09-20 13:54:44 | 「ハムレット」

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 城内の広場。
ハムレットとホレイシオが、話している。


 ハムレットが、如何に国王の陰謀(ハムレットの謀殺)を防いだのかを話した。
彼は、イギリスに向かう船の中で、ロウゼンクランツとギルデンスターンが持っていたイギリスへの国書をこっそり盗み出し、中身を確認した。


 国書の内容は、ハムレットの首を刎ねよというもの。
それに対し、彼は、国書を偽造して、この国書を持参した二名(ロウゼンクランツとギルデンスターン)を、直ちに処刑されたし、というものにした。
 ハムレットくん、それは、ちょっと酷いんじゃぁ~ないですか。
例え、二人が、国王クローディアスの言いなりになって動いていたとはいえ、可哀想過ぎですよ!

 これで無実の罪で、お亡くなりになった方は、ボローニアス、オフィーリアに引き続き、四人になってしまいました。




 しかも、ハムレットは、悪びれることもなく、
                'is't not to be damned,
   To let this canker of our nature come
   In further evil ?'
         (人間にとって
  こういう害虫を蔓延らせておくことの方が
  よほど大きな罪ではないか?)


 ある意味、とても身勝手な言草なのだが、彼は、変わったのだ。
もはや、四の五言っている訳にいかないのだ。
心を鬼にして突き進むしかない。




 そこへ国王からの使者がやってくる。
使者は、国王がレアーティーズとのフェンシングの試合を提案していることを伝えに来たのだった。


 試合は、九回勝負で、先に三本取った方が勝ちというもの。
ハムレットは、フェンシングの試合の申し込みを承諾し、使者は、そのことを国王に報告するため退出していったのだった。


 ここでハムレットは、この試合に一抹の不安を覚える。
ホレイシオは、ハムレットを心配して、
        'If your mind dislike anything, obey it. I will
   forestall their repair hither and say you are not fit.'
    (もしも、お気にすすまぬなら、無理なさらない方が、
  直ぐに奥へ参って、ご気分が優れぬと申し上げて来ましょう)


 しかし、ハムレットは、覚悟を決めていたのだ。
    'Not a whit. We defy augury. There is special
   providence in the fall of a sparrow. If it be now, 'its not
   to came; if it be not to come, it will be now; if it be not
   now, yet it will come.. The readiness is all. Since no 
   man, of aught he leaves, knows aught, what is't to leave
   betimes ? let be.'
   (いや、それには及ばぬ。前兆など気にかける事はない。
  雀一羽落ちるのにも神の摂理が働いている。今がその時なら、
  後で、ということはない。後で、ということがないのならば、
  その時は今だ。今がその時でないとしても、その時は、必ずやって来る。
  覚悟こそが全てだ。死んだ後のことなど誰にも分かりはしない。
  所詮、なるがままだ)


 ハムレットは前回の失敗から学んだ。ある意味、彼は成長したのだ。
覚悟を決めて、今、成すべきことを成す、これが肝心であること知ったのだ。
どうせ逃れることができない運命であるならば……




 フェンシングの試合の準備が進められる。
やがて準備が整い、国王、王妃や臣下たちが入ってくる。


 そして最後にレアーティーズが、試合の正装をにて登場してくるのだった。



「ハムレット」 舞台内容 五幕一場

2009-09-18 00:26:32 | 「ハムレット」

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 場所は、墓場である。
二人の墓掘り人が、新しい墓穴を掘っていた。
 オフィーリアの墓である。
 彼女の死について、詳細には語られないが、満足な葬儀もできなかったということから、自殺ではないかとされている。

 キリスト教では、自殺は禁じられており、自殺者は、教会で祈ってくれないのだ。(つまり、葬儀を行なってくれない)




 二人の墓掘り人たちは、冗談を交えながら墓を掘っていた。
 劇中で、道化役としていたボローニアスが、退場した(死んでしまった)ので、代わりの道化として彼らを登場させたのだ。




 墓掘り人である彼らは、死など日常茶飯事なので、誰が死のと関係ない。
何時ものように、墓掘り労働をするだけなのだ。


 そこへ、ハムレットとホレイシオがやって来る。
ハムレットたちは、この墓掘り人が、オフィーリアの墓を掘っていることを知らない。
彼らに混じって、冗談交じりの話をするのであった。
 ここで語られるのは、死とは、富める者も、貧しきものも、老いも若きも、権力があろうが、なかろうが、生前にどんな功績を残したとしても、等しく全て者に訪れることを述べてる。

 ただ、それを深刻にならず、冗談交じりに、滑稽に皮肉ってしまうところが、ある意味、シェークスピアの一流と云われる所以ではなかろうか。




 四人で話し込んでいると、そこへオフィーリアの遺体の入った棺が、国王、王妃、レアーティーズ等を伴って訪れてくるのだった。


 この時、ハムレットは、オフィーリアが死んだことを知る。
当然、レアーティーズと鉢合わせになり、二人は、取っ組み合いの大喧嘩となったのだが、周りの人たちによって引き分けられて、取り敢えず、この場は納まる。


 そして、ハムレットは、走り去り、ホレイシオが後を追う。
一方、レアーティーズには、国王クローディアスが宥めたのだった。
 いよいよ、次回から、舞台最後の五幕二場に突入です。
ちょっと長いから、二回くらいに分かれるかもしれない。





 ちょっと、今回は短かったので、余談を入れようと思います。

 『ハムレット』には、たくさんの謎が含まれています。
よく『ハムレット』を証して、『文学のモナリザ』などと呼ばれていて、これは、『モナリザの微笑』のように謎めいた箇所が、随所に散りばめられているということです。

 その幾つかを挙げてみましょう。
1.ハムレットは本当に狂っているのか、それとも狂気を装っているだけなのか?
2.ハムレットの父、先王(老ハムレット)の亡霊は本物か、それとも悪魔の仕業なのか?
3.ハムレットは、いったい何歳なのか?
4.ガードルードは先王殺害に関わっていたのか?
5.「尼寺の場(三幕一場)」で、ハムレットは、クローディアスとボローニアスが盗み聞きしていたことに気がついていたのか?
6.ハムレットはどうして直ぐに復讐を実行しないのか?
7.最後の「決闘の場(五幕二場)」で、ガードルードは毒が入っていると知って酒を飲んだのか?
と、まだまだあるのですが、こういった点を踏まえながら、『ハムレット』を読んでみると、一層面白いかもしれません。





「ハムレット」 舞台内容 四幕七場

2009-09-17 18:39:14 | 「ハムレット」

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 前場と同じく、城内の一室で、国王クローディアスとレアーティーズが、会見していた。


 クローディアスの巧みな話術で、レアーティーズを丸め込み、全ての元凶はハムレットのせいにされてしまった。
そして、レアーティーズに、ハムレットに対する復讐心を駆りたてた。


 そこへ、ハムレットから手紙を持った使者がやってくる。
ハムレットは、イギリス行きを取りやめて、デンマークに帰国し、明日にでも国王に会見したいとの申し込みであった。


 クローディアスは、不意を突かれたが、直ぐに立ち直り、レアーティーズを利用することを思いつく。
              'What would you undertake
   To show yourself your father's son in deed
   More than in words ?'
           (言葉においても、
    行為においても、ボローニアスの息子であることを
  はっきりと行動せねばなるまい?)


 レアーティーズは、すでに心逸っていた。



 さすがレアーティーズ。血の気が多い奴。


 'To cut his throat i'th' church.'
 (教会の中であろうと、あいつの喉を掻っ切ってやるつもりです)


 つまり教会という神聖な場所で、殺人を犯すことも厭わないという固い決意を持っているということ。




 国王は、さらに、
 'No place, indeed, should murder sanctuarise;
   Revenge should have no bounds.'
 (どのような場所あっても、人殺しの罪が認められるはずがない。
  復讐には、制限があってはならぬのだ)


 これは、ハムレットに対する皮肉なのだ。
自分のことを棚に上げて、よく言えた義理なのだ。




 そして、クローディアスは、レアーティーズにハムレットとフェンシングの試合をさせることを提案した。
この試合で、レアーティーズの剣に細工し、先止めのないものを使って、ハムレットを殺害を事故死に見せかけようと企むものだった。


 さらにレアーティーズは、剣先に猛毒を塗り、念押しをする。
そして、クローディアスは、念には念を入れ、ハムレットが飲むための毒杯も用意したのであった。
              'Whereon but sipping,
   If he by chance escape your venomed stuck,
   Our purpose may hold there.'
      (奴が偶然、
  おまえの毒の剣を逃れても、その毒杯を一口でも舐めたら最後、
  必ず上手く仕留められようぞ)


 クローディアスの狡猾振りが、鮮とい。
彼は、レアーティーズなど、言うに及ばず、ハムレットさえ凌駕するほどの策士といってよい。

 ただ、この計画によってクローディアスは、さらに罪を重ねることになる。
下手をすれば、致命傷となってしまうことに。(現になってしまった。『策士、策に溺れる』だ)




 ここで、王妃が泣きながら、入ってきて、オフィーリアが川で溺れて亡くなってしまったことを告げにきたのであった。



 ボローニアスに引き続き、無実の人が、この悲劇の犠牲になってしまった。
王妃が語る、オフィーリアの溺れる場面は、なかなか興味深いですが、ここでは割愛します。




 これで四幕が終わる。