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『とある化学(分子美食学)の調理法(レシピ)』Vol2.2b

2012-01-25 11:51:24 | とある化学
二章:Late-night Confusion ! Ⅰb《深夜の混乱! Ⅰb》


 「運動は食欲を生じせしめ、食欲は運動を必要とする」--ピエール・アンブロワズ・フランソワ・コデルロス・ド・ラクロ




「このあと、街中で上条 当麻(あいつ)と出会って、勝負の決着をつけようとしたのに、あの女(脱ぎ女)を押しつけられるし…… おかげで人目をはばからずに、服を脱ぎだすんだから、あたしの方が恥ずかしかったわよ、もう!」


 美琴は、パジャマに着替えおわり、ベットの上に座った。


「でも…… ちょっと常識はずれだけど、本物の怪物っていうわけでもないし。それより、上条 当麻(あいつ)よ。あいつ!」


 こみ上げてくる怒りを枕にぶつけた。


「上条 当麻(あいつ)の方が怪物よ。あんな、とんでもない能力を持っているなんて…… 」


 彼女は、当麻との勝負したときのことを思いだす。



 それは、街外れの河川敷での勝負のことだった。


「言われなくても、こっちは、ずっとこのときを…… 待ってたんだから!!」


 美琴は、身体から発する空中放電の電撃を、当麻にぶつけた。


「うっ!」


 辺りは、当麻にぶつけた電撃で煙に包まれるが、彼が突きだした右手にすべての電撃を無効化された。


「やっぱ、電撃は効かないか…… 、なら!」


 右手の電撃を地面に向けて放出する―― 


 放出された電撃は、地中に含んだ砂鉄を空中に巻き上げ、彼女の右手で刀に形成されていった。


「えっ? なに!? ちょっと、おまえ得物つかうのズルイんじゃねぇ!!」


「能力で作ったものだもん」


 振りまわした刀は、触れた草むらの葉っぱを真っ二つに引き裂いた。


「ええっ!?」


「砂鉄が振動してチェーンソウみたいになっているから、触れたりすると、ちょっと血とかでるかもね!!」


 美琴は、当麻めがけて走りだす――


「どう考えても、それだけじゃー、すまないと思うんですけど!」


 当麻は、美琴のくりだす刀を避けつづける。


「ちょこまか逃げ回ったって、得物(こいつ)には、こんなこともできるんだから!」


 美琴は、刀していた砂鉄をムチのように形を変える。そして逃げ回る当麻に振り下ろす。


「入った!! かわせるタイミングじゃ……」


 ムチは、完全に当麻に当たるかと思った、しかし、その瞬間、彼の右手がムチを打ち消した。


「強制的に砂鉄に戻された!? ……でも、ここまでは予想どおり」


 強制的に元に戻された砂鉄は風にのって、空中に舞っている。驚きをかくせない美琴だったが、次の手を考えていた。


「し・勝負あったみたいだな……」


「さあ? それはどうかしら!!」


 美琴は、いま一度、放電を発生させて空中に舞う砂鉄を操るのだった。


「おまえ…… 風のった砂鉄まで……」


 砂鉄が、束になって当麻を襲う――


「こんなこと! 何度やったって同じじゃねぇーか!!」


 今までと同じように右手を振るって、砂鉄を振り払った。


 しかし、これは美琴の作戦であり、本当の狙いは当麻の身体に接触することだった。


 つまり、彼が砂鉄を振り払うことに集中している間に右手をつかみ、直接電流を流せ込めば勝てると考えてのことだった。


「とった!! 飛んでくる電撃は打ち消せても…… えっ!? (電流が流れていかない…… 何なのよ!? こいつ!!)」


 『幻想殺し(イマジンブレイカー)』を宿す当麻は、右手で触れるものは、どんな特殊能力も打ち消すことができるのだが、美琴は知る由もなかった。



 当麻の右手を握りしめたことを思い出し、美琴は怒りの対象だった枕を抱きしめながら、顔を赤く染めた。


「あんな…… とんでも能力を持っていたなんて…… し…… 知ってたら、あんなに思いっきり上条 当麻(あいつ)の右手を握ったりなんてしないわよ……」


 美琴は高まりゆく自分の気持ちに動揺する。


「あ・ありえないから…… もう!」


 そして、自分の中の芽生えた複雑の想いを振り払うかのように、抱きしめていた枕を投げつけるのだった。








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