亡霊とハムレットは、城壁の下の空き地へとやって来る。
ホレイシオとマーセラスはおらず、亡霊の言葉は、ハムレットのみが聞くことになる。
ホレイシオとマーセラスはおらず、亡霊の言葉は、ハムレットのみが聞くことになる。
そして亡霊が、語りだしたこととは
'If thou didst ever thy dear father lover,―― Revenge his foul and most unnaturl murder.' (もし、お前が亡き父を愛していたならば―― 忌まわしい、最も人倫に反する殺人の復讐をせよ)
亡霊の言葉を聞いたハムレットは、驚愕する。確かに父の死には不当なことがあったかもしれないと薄々感じてはいたが、よもや殺人であったとは思いにもしなかったのだ。
母の不実な結婚を考えただけで自殺まで考えるハムレットにとって、これはさらなる大いなる衝撃を受けた。
しかも、父を殺したのが叔父であり、その叔父は母と結婚し、民衆の支持を得て王位に就いているのである。
まさに驚天動地。繊細なハムレットにとって、彼のアイデンティティが、ゲシュタルト崩壊してしまったかもしれないくらいに。
この後の展開で、ハムレットは狂気を装うことになるが、実は、この時、本当に一部、壊れてしまったかも……
母の不実な結婚を考えただけで自殺まで考えるハムレットにとって、これはさらなる大いなる衝撃を受けた。
しかも、父を殺したのが叔父であり、その叔父は母と結婚し、民衆の支持を得て王位に就いているのである。
まさに驚天動地。繊細なハムレットにとって、彼のアイデンティティが、ゲシュタルト崩壊してしまったかもしれないくらいに。
この後の展開で、ハムレットは狂気を装うことになるが、実は、この時、本当に一部、壊れてしまったかも……
この後、亡霊は、殺害された時の委細を語る。
庭で眠っている間に、耳の孔に毒液を流し込まれ、命を奪われる。殺害の証拠は何一つ現れず、死因は毒蛇に咬まれたことになった。そして、そのことを誰も疑わなかったというものだった。
庭で眠っている間に、耳の孔に毒液を流し込まれ、命を奪われる。殺害の証拠は何一つ現れず、死因は毒蛇に咬まれたことになった。そして、そのことを誰も疑わなかったというものだった。
さらに亡霊は続けて語る。
'If thou hast nature in thee. bear in not, Let not the royal bed of Denmark be A couch for luxury and damned incest. Taint not thy mind nor let thy soul contrive And to those thorns that in her bosom lodge To prick and sting her. Fare thee well at once: The glow-worm shows the matin to be near And gins to pale his uneffectual fine. Adieu, adieu, adieu. Remember me. (お前に父を思う気持ちがあるのなら、黙っていてはならぬ。 デンマーク王家の寝室を、 情欲と忌まわしい近親相姦の温床にしてはならぬ。 しかし、どのように事を運ぶにしても、 己の心を穢してはならぬ。そしてまた、 母のことは放っておけ。天に任せるのだ。 自らの胸のうちに刺さった棘に苦しませるがよい。 もう行かなければならぬ時間だ。 蛍が、その弱い光をさらに弱くし始めた。 朝がそこまで来ている。 さらば、さらば、さらばだ。父を忘れるなよ)
なんと、まあ! 無理難題を押し付けていったことか!!
ハムレットが行なう復讐は、ただの復讐ではダメなのだ。「心を穢してはいけない」といっている。
彼自身が、断固たる決意を持って遂行し、且つ、誰が見ても正当な行為であると思われなければならない。
そして、復讐をするに当たり、「母親には手出しせずに、国王の受けるであろう罰に巻き込まれるようなことがあってはならない」といっている。
しかし、復讐するということは、相手を殺すことなので、少なからず「心を穢す」ことになってしまう。
ハムレットは高潔な人物なので、例え、如何なる理由があろうとも、殺人をしておいて心を穢さすにおけるであろうか?
これこそが「ハムレット」が、現代人に突きつけている最大のテーマではないだろうか?
ハムレットが行なう復讐は、ただの復讐ではダメなのだ。「心を穢してはいけない」といっている。
彼自身が、断固たる決意を持って遂行し、且つ、誰が見ても正当な行為であると思われなければならない。
そして、復讐をするに当たり、「母親には手出しせずに、国王の受けるであろう罰に巻き込まれるようなことがあってはならない」といっている。
しかし、復讐するということは、相手を殺すことなので、少なからず「心を穢す」ことになってしまう。
ハムレットは高潔な人物なので、例え、如何なる理由があろうとも、殺人をしておいて心を穢さすにおけるであろうか?
これこそが「ハムレット」が、現代人に突きつけている最大のテーマではないだろうか?
亡霊が消え去った後、ハムレットの後を追ってきたホレイシオとマーセラスが登場する。
ここでハムレットは、取り敢えず、復讐のための行動に移るのだった。
ここでハムレットは、取り敢えず、復讐のための行動に移るのだった。
先ず、亡霊が語ったことが真実であるのかを確かめることであり、そのために狂気を装って時を稼ごうと考えたのである。
そして、そのことを、ここいる二人には秘密にしておくことを誓わせる。
そして、そのことを、ここいる二人には秘密にしておくことを誓わせる。
一同が誓うと、ハムレットはさらに念を押し、有名な台詞を述べる。
'The time is out of joint, O cursed spite That ever I was born to set it right !' (この世のたが<関節>が外れている、ああ、何という呪われた苦悩の種だろう それを正す<治す>ためにこの世に生を受けたとは!)
ハムレットは、世の中を正すという名分と、神が禁じている殺人とを、どのように両立させるのか、それが深刻なジレンマであり、彼が、どの道を選ぶのか、それが問題なのである。
ここで一幕は終わる。