「天者陰陽・寒暑・時制也 地者遠近・険易・広挟・死生也」
(天とは、陰陽・寒暑・時制なり 地とは、遠近・険易・広挟・死生なり)【始計篇】
統治の基本である「五事」の二番目は「天」「地」である。戦いを起こすに当り、それを決めるための重要な項目となるものだ。
孫子の時代、この「天」は、所謂「万物の祖」である神であったのだが、現在においては、世の動向・世情といった時機(タイミング)ではないだろうか。
「陰陽」は天候であり、「寒暑」は四季であり、「時制」は時間といえる。
例えば、春の種を蒔いて、秋に果を収穫する。夏は暑いので薄着で、冬は寒いから厚着をする。晴れのときは帽子が必要であり、雨には傘がいる。時間がくれば、腹は減り、空腹を覚え、眠りもする。よって時機が計ることが大切だとした。
さらに「地」とは、取り巻く環境のことである。その国柄とか、土地柄といった場所に合ったものにせよ、ということだ。
例えば、シベリア氷原とサハラ砂漠とでは、環境が大きく違う。車などは、寒冷地仕様とか、砂漠仕様にする必要があるように、その場所に合った適切な判断が大切であるとした。
「天の時」「地の利」は、事の大事を決行するに、極めて重要な要素であるのだ。