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「オセロー」 舞台内容 四幕一場

2009-10-07 10:30:24 | 「オセロー」

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 サイプラスの城の前にて、イアーゴーとオセローが話している。
 万事が、イアーゴーの思い通りにことが進んでいくのだ。
しかし、こいつはマメで、これでもか! と言うくらいオセローを追い込んでいく。




 イアーゴーは、オセローがデズデモーナのことを怒っていると見て取ると、オセローの元に駆けつけ、更なる嘘という毒を注ぎ込んでいく。


 キャシオーが全てを白状したと告げ、もはや疑いの余地がないと。
ここに至ってオセローは、もはや正常な判断ができない。想像が凝り固まって、妄想に取りつかれている。


 イアーゴーの余りのものの言いようにオセローは失神してしまった。
この直後にキャシオーがやってくるのだった。
 ここでイアーゴー怖れていたことは、キャシオーとオセローが会って、キャシオーの説明で彼の計画をぶち壊すことなのだが、なんと、間の悪いことなのか! 運悪くオセローが失神しているところにキャシオーがやってくるのだ。




 オセローが意識を回復して、キャシオーの介抱を受けていることに気がついたら、不味いことが起こると怖れたイアーゴーは、キャシオーを追い払う。
そして、この機会を利用し、自分とキャシオーとの会話をオセローが立ち聞きするように仕組むのだった。


 イアーゴーは、キャシオーとビアンカとの関係についての話をふり、彼女の名前を出さずに話題になっているのが、デズデモーナだとオセローに思わせるように話を進めるのだった。
 鮮とい、鮮といぞ、イアーゴー!! こいつの悪どさは、シャークスピア作品の中でも一、二を争うほどだ!!




 オセローは、すでに正確に聞く耳は持っていない。
 会話の内容では、デズデモーナがキャシオーにハンカチーフを与えたとは出てこないが、オセローは、嫌疑と証拠を取り違えるのだった。
 'I would have him nine years a-killing.'
 (奴を、九年もかけて嬲り殺してやりたい)


 オセローは、デズデモーナを切り刻んでやりたい、毒殺してやりたい、寝床の中で絞め殺してやりたい、と喚き散らす。


 そして、とうとうデズデモーナを殺してしまうことを決意してしまう。
キャシオーは、イアーゴーが処分することを引き受けるのだった。
 いわゆる口封じです。先の理由でオセローとキャシオーが直接会うのは不味いと考えているのだ。




 このあと、デズデモーナの従兄のロドヴィコーが、元老院からの手紙を持参して到着する。
この手紙には、オセローの本国への帰還命令と、オセローが留守の間、キャシオーが長官を務めるようにとする内容だった。


 そして、オセローの様子が不自然なことから、ロドヴィコーが、デズデモーナにオセローとキャシオーとの間に何か気まずいことがあったのかと聞くのだ。
それに対してデズデモーナは、こう答えるのだった。
 'A most unhappy one; I would do much
   To atone them, for the love I bear to Cassio.'
 (とても不幸なことが。私は何とかして、お二人の仲をもとに戻すことが
  出来ればと骨を折っておりますのよ、キャシオー様は大事な方ですから)


 こんなことを平気で言うのは、彼女には何のうしろめたいことがない、ということだが……




 妄想に取り付かれたオセローは、反対にさらに怒り出してしまう。
そして腹立ち紛れにデズデモーナを打ってしまった。


 打たれたデズデモーナは、部屋から飛び出していく。
驚いたロドヴィコーは、イアーゴーに事情を尋ねた。
 'Is this the noble Moor whom our full senate
   Call all in all sufficient ? Is this the nature
   Whom passion could not shake ? whose solid virtue
   The shot of accident, nor dart of chance,
   Could neither graze nor pierce ?'
 (これが同じムーア将軍なのか、元老院がこぞって
  完全無欠な人物と推称した男なのか?
  不慮の災難、不運の矢弾にも、いささかも
  動ぜぬといわれた人物なのか?)

 



「オセロー」 舞台内容 三幕四場

2009-10-06 23:26:54 | 「オセロー」

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 城の前にて、デズデモーナとエミリアたちが話していた。
デズデモーナは、落としてしまったハンカチーフを探していて、エミリアに訊ねるのだが、彼女は知らん顔をしていた。
  Drsdemona: Where should I lose that handkerchief, Emilia ?

   Emilia: I know not, madam.

   Drsdemona: Believe me, I had rather have lost my purse
            Full of crusadoes: and, but my noble Moor
            Is true of mind and made of no such baseness
            As jealous creatures are, it were enough
            To put him to ill thinking.
 (デズデモーナ:あのハンカチ、どの落としたのかしら、エミリア?

  エミリア:さあ、存じません、奥さま。

  デズデモーナ:ほんとうに金貨が一杯はいった財布を失くした方がましだわ。
        私の主人は、誠実な人で、嫉妬深く卑しいところが
        少しもない人だからいいようなものの、
        これが嫉妬深い人だったら、
        どんな邪推されることか)


 いやいや、デズデモーナさん。オセローは、嫉妬深いですよ。
その見方は、間違っております。




 そこにオセローが登場する。
デズデモーナは、キャシオーの復職を願い出るのだが、オセローは、それ取り合わずにハンカチーフをどこにやったのかと彼女に迫るのだった。
 よりによってキャシオーの話を、いの一番に話し出すとは、最悪だ。




 オセローは、ハンカチーフの持っている魔法的な力(このハンカチーフを失くすと、それ与えた人の心も失うこと)を説明する。
デズデモーナは、彼女が失ったものの重大さにビックリ仰天し、その恐ろしさから失くしたことを言い出せない。


 そして、はぐらかすように、キャシオーの復職を願うことで、オセローの注意をそらそうとするのだが、ますますオセローは嫉妬を燃やし、とうとう怒って立ち去ってしまうのだった。
 エミリアもエミリアだ。ハンカチの所在を知っていながら何も言わないとは、主人思いのない女だよ。
エミリアは、イアーゴーに騙された第一号として描かれている。

 彼女は、イアーゴーの邪悪さを知らないが、自分がイアーゴーを左右するほどの力がないことを知っており、本能的にイアーゴーを怖れているので、自ら嘘をついてまでイアーゴーのご機嫌を取るのだ。

 そして、彼女にできることは、オセローの嫉妬に対してデズデモーナを警戒させ、よかれと祈ることぐらいだったのである。




 例の不幸なハンカチーフは、キャシオーが、その模様をを気にいったため、その模様を写し取ることを情婦のビアンカに頼んで渡してしまった。


 ここで三幕の幕は閉じる。



「オセロー」 舞台内容 三幕三場 (4)

2009-10-05 17:27:54 | 「オセロー」

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 イアーゴーは、エミリアから、掠め取ったハンカチーフを使って次なる悪事を企てる。
それは、そのハンカチーフをキャシオーの宿に落としておき、彼が拾ったら、オセローの疑いを深めるための証拠にしてしまおうと考えたのだ。
                    'Trifles light as air
   Are to the jealous confirmations strong
   As proofs of holy writ.'
 (空気のように軽いものでも、
  嫉妬に駆られた男には、聖書の文句ほどに
  重みのある証拠となる)


 オセローは、イアーゴーが言ったとおりに嫉妬の虜になってしまった。
デズデモーナと一緒に居るときは、彼女への信用が大きくなり、彼女が離れると、イアーゴーが注ぎ込んだ不安が支配し、彼の心は大きく揺らいでいくのだった。


 オセローのような男にとって、判断のつかない宙ぶらりの状態でいることに堪えられなかった。
疑い始めたら、それが解決するまで休むことができない。白黒はっきりせずにはいられない。


 そして、このうやむやな状態から抜け出せるように、イアーゴーに疑惑の根拠となる証拠を出せと脅し迫るのだった。
 'If thou dost slander her and torture me,
   Never pray more; abandon all remorse;
   On horror's head norrors accumulate;
   Do deeds to make heaven weep, all erath amazed;
   For nothing canst thou to damnation add
   Greater than thay.'
 (もしもお前妻の中傷し、私を苦しめるのだったら、
  今後祈ることをやめろ、情け心も捨てて、
  悪業の上に悪業を積み重ね、天も泣き、
  地も惑うほどのことをしてみせろ、
  どんな悪事を働いても、これ以上に
  大それた罪を犯せるものか)


 もはや、オセローくんは、テンパっちゃっているから、見さかえなしだよ。
これが、ふつうの人間だったら、狼狽して有効だったかもしれないが、相手が悪かった。
イアーゴーには、火に油を注ぐようなものなのだ。




 イアーゴーは、ますます言葉巧みにオセローの心に忍び込んでいく。
                              'By the world,
   I think my wife be honest, aod think she is not;
   I think that thou art just, and think thou art not;
   I'll have some proof.'
                (全くのところ、
  妻は潔白だと思うが、潔白ではないとも思える、
  お前は正しい奴と思うが、正しくないとも思える。
  私は、何か証拠が欲しい)


 そしてイアーゴーは、おもむろに証拠を語りだした。
例のハンカチーフを使った偽りの事実を。


 冷静の判断ができないオセローは、 イアーゴーの言葉を真に受けてしまう。
そして、キャシオーとデズデモーナに復讐することを誓い、イアーゴーを完全に信頼してしまった。
 テンパってるオセローが、イアーゴーを信頼してしまうのは無理ないことかもしれない。
オセローが求めた証拠は、4つあった。
(1)オセローが近づくと、キャシオーはこそこそと逃げ出したこと。
(2)デズデモーナが、キャシオーの復職に異常なまでに熱心なこと。
(3)キャシオーの寝言。
(4)キャシオーが、例のハンカチーフを持っているところを見られたこと。

 でも、普通このくらいで二人が不倫していることに確信を持ってしまうなんて、オセローくんは、ちょっと愚か者かもしれない。




 そしてオセローは、空席になっていた副官をイアーゴーにしてしまうのだった。



「オセロー」 舞台内容 三幕三場 (3)

2009-10-03 15:47:46 | 「オセロー」

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 イアーゴーは、オセローの弱点を的確についている。
オセローは、自分の生い立ちから、世間から捨てられたという孤独感を持っていた。
彼はデズデモーナが、自分に対する同情からオセローと結婚したが、その様な一時的な感情から、直ぐに醒めてしまうであろうという不安に捕らわれていたのだ。


 イアーゴーは、それを見抜き、的確に攻めてきたのだった。
イアーゴーの注ぎ込んだ毒は、確実にオセロー回り始めている。
 'Why did I marry ? This honest creature doubtless
   Sees and knows more, much more, than he unfolds.'
 (なぜ結婚などしたのか? あいつは正直な男だ、
  きっと、もっと、はるかに多くのことを見聞きしているのにちがいない)


 オセローは夢から醒めたような感じをおぼえる。
自分の肌の色の黒さ、話下手、年の差のいずれをとっても、デズデモーナの一時に気まぐれのように思えるのだった。


 改めて自分を見たとき、デズデモーナとの愛情に夢中になってはいけないと思うのだった。
こうしてオセローの心が動揺の頂点に達したとき、デズデモーナが登場する。


 オセローは、様々な思いが渦巻く中で、軽いめまいにも似た頭痛を覚える。
 あまり頭を使う人じゃないんだね。こんなんだからイアーゴーの言いなりになちゃうんだよ。




デズデモーナは、オセローを心配してハンカチーフを取り出し、オセローの額を縛ろうとするのだが、彼の額を縛るには短かった。


 オセローが、そのハンカチーフを払いのけた拍子に、ハンカチーフは、デズデモーナの手から落ちてしまった。


 二人は、そのまま退場してしまい、落ちたハンカチーフには気がつかなかったのである。
そして、床に落ちたハンカチーフを侍女のエミリアが拾うのだった。
 'I am glad I have found this napkin:
   This was her first remembrance from the Moor.'
 (よかった、ハンカチが手に入って。
  これがムーア様から貰った最初の恋の贈り物だってさ)


 実は、イアーゴーが、そのハンカチーフを取ってくるようにと、エミリアをそそのかしていたのだ。
        '(She) so loves the token
   For he conjured her she would ever keep it,
   That she reserves it evermore about her,
   To kiss and talk to. I'll have the work ta'en out.
   And give it Iago.
   What he'll do it, heaven knows, not I:
   I nothing but to please his fantasy.'
 (奥様は、とても大事にして、
  けっして手離すなと旦那様からのお頼みなすったから、
  何時もは肌身離さずに身に着けて、しょっちゅう接吻なさったり、
  話しかけたり、そりゃ大変。この刺繍の模様を写しとって、
  イアーゴーにやろう。これを、あの人はどうするつもりなのかしら?
  あたしの知ったことじゃない。あたしは亭主の機嫌をとるだけさ)


 と、この瞬間にイアーゴーがやって来て、ハンカチーフを手に入れてしまった。
 ああ、ハンカチが、イアーゴーの手に渡ってしまった。
何たることか。これは悲劇へと導く不幸のハンカチになってしまった。





「オセロー」 舞台内容 三幕三場 (2)

2009-10-02 14:34:29 | 「オセロー」

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イアーゴーは、オセローに対し、言葉巧みにデズデモーナへの不信感を吹き込んでいった。
 Othello: Think'st thou I'd make a life of jealousy,
          To follow still the changes of the moon
          With fresh suspicions ? No; to be once in doubt
          Is once to be resolved: exchange me for a goat,
          When I shall turn the business of my soul
          To such exsufficate and blown surmises,
          Matching thy interference. 'Tis not to make me jealous
          To say my wife is fair, feeds well, love company,
          Is free of speech, sings, plays and dance well;
          Where virtue is, these are more virtuous:
          Nor from mine own weak merits will I draw
          The smallest fear or doubt of her revolt;
          For she had eyes, and chose me. No, Iago;
          I'll see before doubt; when I doubt, prove;
          And on the proof, there is no more but this,――
          Away at once with love or jealousy !

      Iago: I am glad of it; for now I shall have reason
          To show the love and duty that I bear you
          With franker spirit: therefore, as I am bound,
          Receive it from me. I speak not yet of proof.
          Look to your wife; observe her well with Cassio;
          Wear your eye thus, not jealous nor secure:
          I would not have your free and noble nature,
          Out of self-bounty, be abused; look to't:
          I know our country disposition well;
          In Venice they do let heaven see the pranks
          They dare not show their husbands; their best conscience
          Is not to leave't undone, but keep't unknown.

   Othello: Dost thou say so ?

      Iago: She did deceive her father, marrying you;
          And when she seem'd to shake and fear your looks,
          She loved most.

   Othello:               And so she did.

      Iago:                                    Why, go then,
          She that, so young, could give out such a seeming,
          To seel her father's eyes up close as oak――
          He thought 'twas witchcraft――but I am much to blame;
          I humbly do beseech you of your pardon
          For too much loving you.

   Othello:                         I am bound to thee for ever.

 (オセロー:お前は、私が月の満ち欠けのように、次から次と新しい疑いを
      募らせる嫉妬の身を焼く生涯をおくる男だと思うのか?
      見くびるな。私は心に疑いが生じたら、即座にそれを解いてみせる。
      お前の言うような根も葉もないつまらぬ推量で、心を悩ませるくらいならば、
      喜んで山羊にでもなってやるぞ。断じて私は嫉妬など起さん。
      妻が美人だと言われようと、交際好きで、話し上手、歌も楽器も踊りも
      上手いと言われようとも、結構ではないか。貞節でさえあれば、
      かえってあれを引き立てるのあろう。私に取柄が少ないからといって、
      妻が不貞を働くことを心配したり、疑ったりしない。
      妻は自分の目で私を選んだのだ。よいか、イアーゴー、
      私は疑う前によく見る、疑えば証拠を探す、そして事実が照明されれば、
      道はただ一つ―― 愛を棄てるか、嫉妬を捨てるかだ。

  イアーゴー:それを伺って安心いたしました。これで私も日ごろ抱いている忠誠心を
       思い切ってお見せすることができます。
       私の真心からほとばしりでる言葉としてお聞きください。
       証拠については、まだ差し控えますが。奥様にお気をつけください。
       ことにキャシオーとご一緒のときに、眼を離さぬことです。
       頭から疑ってかかるのも、といってあまり油断まさるのも、禁物です。
       持ち前の人の良さが仇になって、閣下のご立派なお人柄が裏切られるのは、
       見るに偲びませんから。ともかくご用心ください。
       元来ヴェニス女は、その悪戯が神さまに見られても平気なくせに、
       亭主にはひたかくしにします。その良心の最高の命令は、
       過ちを避けることではなく、人に知られるな、ですから。

  オセロー:まことなのか。

  イアーゴー:お父上を騙して、あなたとご結婚なさったお方です。
       あなたのお顔を見て怖がって震えているように見えたとき、
       実はあなたに夢中になっておられたのです。

  オセロー:                   そうだった。

  イアーゴー:                  そうとしたら、
       あの若さで、そんなにうまく猫をかぶることが、お出来になるお方、
       お父上の目をまるで節穴のようにされてしまった――
       お父上はてっきり魔法にかけられたものと思いになったほどで―― いや、
       これは、つい言葉が過ぎました。心からお詫び申します、これも
       ひとえに閣下の御ためと思うあまりのこと。

  オセロー:一生恩にきるぞ)


 ここは、オセローとイアーゴーとの性格を対比させているのだ。
オセローは、行動の人、イアーゴーは、考える人として描かれている。




 オセローは、考え方が単純明朗で、直線的の高貴な人、イアーゴーは、人間の機微に精通し、人の感情を巧みに弄ぶ術を身につけている。
だから、常にオセローに対して優位に立っていた。
このため、オセローは、デズデモーナの誠実を完全に信ずるために、彼女の貞節を知性のテストにかけるよう説得させれてしまった。
 もう少し賢くなろうよ。オセロー君。




 このことはオセローにとって致命的。
知性のテストを判断するには、オセローの最も不得意とするところだ。


 逆にイアーゴーにとっては、得意分野であり、後から証拠など、どうにでもでっち上げることが、軽々と出来てしまう。
 つまり、イアーゴーの土俵に、まんまとオセローが登らせられた時点で、オセローの負けなのである。