「悲嘆の門」
宮部みゆき 著
壮大なファンタジー。
壮大と書いたのは言葉。
言葉が主役のファンタジーだったから。
言葉が物語を、物語が言葉を想像し、
創造する。
まず言葉あり。
まず光あるように。
文字は記号として無であり続け、
言葉があり人として実存する。
舞台はインターネット上の言葉を監視する会社。
主人公は三島孝太郎、大学生。
ある事件を発端に奇妙奇天烈な世界へと飛躍する。
正義は時として暴走し、
善という名の感情は、
コントロールを失うことを止められない。
悪を目にしたときのゆるぎなさのために。
言葉は時として鏡となり、
一面を、そして一面の裏を、
どこもかしこも映してくれる。
英雄の書が同じ世界観。未読。
思い出が脳裏に入っていく
記憶
写真
街
自然
和んでいく
セピア
まるで走馬灯のように
淋しがりのあなたは
誰かの温もりを必要としていた
背中に少しの影をおとして
愛されたいと
そして愛したいと
頬が濡れている
出会っていく多くの人達に
奇跡と永遠という一瞬を交わして
翼
翼は暖かな包容を待っている
感触を失った肌に
プリーズ 色と艶を
あなたの微笑みが
あなたの喜びの声が
あなたの輝きの瞳が
触れ合う人達に不思議な力を与える
希望という名の光の粒
だからどうかあなたよ
プリーズ 幸せと
プリーズ あなたの願うトワの愛を
いつの時代も同じ
変わるものも変わらぬものも
信じるものも失うものも
得るものも得られぬものも
裏切りの裏にある流動と擬人も
隠されている柔らかな包容も
美しさと弱く儚いもの
強く欲望のおもむくままの仮面の世界
剥ぎ取られた滑稽な仕種
偽りの愛に身をゆだね
翻弄されていく炎の本音
凍りつく背骨の硬さ
進んでいく時の流れと
止まることのない太陽と月
時代が心を広がらせる
僕はそれでも信じている
何かを信じなきゃやってられない
例えばさ
悪になってみようと思ったところで
その行為を行っていくにつれて
身体は疲労で堅くなり
石になり崩れていく
優しくなりたい
そのためには体温をあたためて
体中をほぐしてさ
強く柔らかな瞳を持つこと
それが優しさにつながるから
君の記憶が重なっていく
おろそかに出来なかった僕の視線
視線の先を花鳥風月になぞらえて
摑まえようと夢中で走って
単純な記憶が複雑に絡まっていく
弱い瞳と強い手は
僕の懐かしさにそっとふれた
二人で駆けた草原は
写真のように切り取られて
恋の記憶がパラパラと
前に後ろにめくれていく
ちょっと触れた前に後ろに
僕の季節は形を作る
明るくなっていく色調に
恋の記憶が彩りをうつす
ふたりは跳びはねる
いつまででも跳びはねる
交互に一緒に跳びはねる
ふたりの形はどんな形