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東西書肆街考 (岩波新書 黄版 87) 価格:¥ 819(税込) 発売日:1979-06 |
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京都には古書店の数が多い。
経済学者の脇村義太郎氏が
「東西書肆街考」(岩波新書)で紹介した
老舗古書店もほとんど健在だ
(同書は、前半で京都の、後半で東京の
古書街の歴史について書かれた本で、
個々の古書店の歴史についても
ふれられている珍しい本だ)。
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同書にも出てくる河原町通りにある
京阪書房、キクオ書店、赤尾昭文堂などは、
学生の頃よく通ったし、
今も、京都に行った際は
必ず立寄るようにしている店だ。
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「赤尾昭文堂という店はもうないんですか」
ある時、少し慌てた感じで、
年配(といっても私より少し上なだけ)の男の人が
キクオ書店でご主人にたづねている。
その時、温和なご主人は、
「二階に移ったために少しわかりにくくなったようですネ」
と答えられたので、
その年配の男性は安心したようだったのだが、
そうした問答を聞いていると、
三十年以上前に京都で学生時代を送った人間にとって
京都の老舗の古書店というものがどういうものか、
あらためて伝わってくる。
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河原町通り(西側)を四条から上がっていくと、
赤尾昭文堂、それから、大学堂、
三条の交差点を渡れば京阪書房、
渡らずに北上すればキクオ書店、
これらは、その距離感を含め、
京都で学生時代を送った人間には、
身体的な記憶といってよい程のものなのだ。
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あるべきところにあるはずのものがない、、、、
前述の男性はだから、パニックに陥ってしまったのだろう、
大げさにいえば、
まるで東山五条から八坂の塔が消えてしまったかのように。
京都にはこうした店や建物が実に多い、
みんなが、永遠にそこに在るのだろう、、、
と勝手に思い込んでいるものが。
京都というのは、いわば、そうした記憶の中にある街なのだ。
だが、現実の京都は少しずつだが変わっていく。
そのギャップに気づいたときパニックに陥る。
他人事ではない。
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東西書肆街考 (岩波新書 黄版 87) 価格:¥ 819(税込) 発売日:1979-06 |
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