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「 一九七二年春、京都最大の学生街に
風がわりな喫茶店が出現した。
店には行列ができ、
ミニスカ・ノーブラの女たち、
長髪に髭モジャ男が働く。
輪転機、旋盤が無造作に置かれた
店の片隅で愛を、
わいせつを、原発を語り、
自作詩を朗読し、
シンガーが新曲を披露する。
―「ほんやら洞」とは何だったのか ?
二〇一五年の焼失まで、
それぞれの時代に其処に通った六八人が
それぞれの「ほんやら洞」を追憶する。
著者略歴
甲斐扶佐義
1949年大分市生。十一歳で写真開始。
1968年同志社大学政治学科入学、即除籍。
1972年「ほんやら洞」開店に貢献。
1977年写真集「京都出町」出版。
1985年ヤポネシアン・カフェバー「八文字屋」開店。
京都市経済局で商業診断の仕事にも従事。
京都美術文化賞受賞、
パリ・ボザール展ジャン・ラリヴィエール賞受賞 」(内容)