京都には、さまざまな大路小路があるが、
そのなかで、私が一番美しいと思う通りの1つは、御池通りだ。
特に、御池東洞院辺りから、東山の方を眺めた際、広い歩道、ケヤキの並木、統一感のある道路標識などが、遠近法の効果を高めていて、晴れた日には、その上に広がる青空と、あいまってスガスガしい、景観となる。
この御池通りの幅員は、50メートルあり、京都では、一番広い道路らしいのだが、交通量もそれほど多くなく、
歩道が広いため、歩いていても気持ちがいい(→京都市のホームページによると、北側も南側も、両方とも、それぞれ12メートルずつあるらしい)。
そして、この御池通りが、息を呑むほど、美しくなるのが、夕暮れ時だ。
東山の峰々の上に広がる空が、それこそ、紫色に染まりる。
地上では、薄蒼い夕闇のなかに、京都ホテルや最近できたマンションの無数の窓々に灯りがともり、それら人間の営みの証しが、紫色の空や東山の黒い山影といった自然と、切なくなるようなコントラストを創り出すのだ。
鴨川沿いの、京都の夕景も、素晴らしいが、もし、どちらが好きか、と問われれば、少なくとも、夕景に関しては、「御池通り」、と答えるような気がする。
私にとって御池通は「都会」の顔の京都のシンボルです。この通りだけ見ると京都は機能的都会でちょっと小路にはいるだけでそこここに「古都」の顔を内包するようには見えませんものね。
夕暮れ時、御池通りを歩いていて、息を呑むような夕景に何度も出会いました。しぇるさんの岡崎エリアもそうですが、整備され人工的に創り出された京都の景観にも、なかなか良いものがあります。というより、平安京(京都の街)そのものが、創都の時以来1200年、そういう人工美を発信し続けてきた街なのかもしれません。ただ、東京などの大都会と違うのは、京都には、それらの人間の営みを優しく包み込むような、東山の峰々のような自然が、ごく身近かにあること、だと思います。