京に伝わる魔界伝説
霊の彷徨う愛宕山
対する西の葬送地化野( あだしの )は、愛宕山の山麓に広がっています。
ここは死者の霊が宿る異界といわれている。
『 宇治拾遺物語 』に「 清徳聖奇特の事 」( せいとくひじりきどくのこと )と言う話があります。
母を亡くした清徳聖が、
母の亡骸を愛宕山に運び、四方に大石を設え、
その上に棺を置き、3年もの間、
不眠不休で千手陀羅尼を唱え続けた。
すると清徳聖の思いが通じ、
母が成仏したお告げを受けたので、
清徳聖は母の骨を埋め卒塔婆を建てて都へ戻りました。
しかし長期間愛宕山の山中に籠もっていたので、
清徳聖には多くの死霊が取り憑いていたというのです。
死者が向かう西方の山として、
洛中の人々から畏れられているのが愛宕山です。
その麓にある化野も、
死骸がそのまま野晒しになったままの風葬状態でした。
そこで空海が如来寺を建て、遺棄された者の菩提を弔った。
後世、法然が念仏道場に改め、現在の化野念仏寺に通じている。
奥嵯峨野の葬送地は、見渡す限りの竹藪に覆われている。
小野篁が通っていた福生寺はもう廃寺になっているが、
大覚寺門前の六道町にあった福生寺跡から7基の井戸が発掘されたという。
そして福生寺に祀られていた地蔵菩薩坐像と小野篁像は、
清涼寺本堂の西側にある薬師寺に安置されています。