セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

北朝鮮経済蘇生の秘策

2010-05-16 18:22:04 | 社会経済
先のシナリオでは、難民の発生前に素早く中国軍が介入した場合のシナリオだ。現に中国軍は中朝国境にいつでも動けるよう待機しているのでその可能性は高い。これは現実的で1番よいものかもしれない。想定できる最悪のシナリオは中国も韓国も介入をためらい、その間に朝鮮国内で騒乱状態が延々と続くことだ。こうなると死者が増えるだけでなく、中国や韓国に大量の難民がなだれ込むとともに日本にもボートピープルで多くの難民が漂着するだろう。

そこでここでは空想的だが、北朝鮮経済が現政権下でもある程度蘇生する方法を示そう。北朝鮮経済がある程度蘇生して市場経済の芽ができれば、次の政権での南北朝鮮の統一も可能となるからだ。ただそれが先のシナリオの新高句麗国と比べていいか悪いかは言えない。たしかに統一新羅から朝鮮王朝までの千数百年間の朝鮮半島は一つの国だが、それ以前は朝鮮半島の北部は遼東半島や満州南部との結びつきが強かったからだ。高句麗とか渤海国とか。さらに古くは中国の漢王朝が朝鮮北部に設置した2郡がある。それは古い話と言うかもしれないが、植民地時代半島北部の人は満州に行き、半島南部の人は日本へ出稼ぎに行ったことを考えると本当のあるべき国の範囲は別かもしれない。まあ韓流歴史ドラマをみた感想からではあるが。なんか朝鮮半島北部が半島南部とくっつくと、遼東半島と満州南部を失い、朝鮮半島北部が遼東半島と満州南部を持っていると、半島南部は別の国みたいだ。

さて本題にもどる。北朝鮮は昨年にデノミを実施したが失敗して経済が混乱して多くの餓死者を出したというニュースが流れた。具体的内容はよくわからなかったが、テレビで池上彰さんの「学べるニュース」を見たら、どうやら旧通貨と新通貨の一人当たりの交換額を制限して闇商人の蓄えを吐き出させようとしたところ、闇商人の元手までなくなり闇市場に商品が出回らなくなって多くの人が食糧を手に入れられなくなって餓死したらしい。

独裁者は形勢が一気によくなる方法を探しがちである。戦争の戦場の会戦場面では圧倒的に不利な方が逆転する場面がしばしばあるが、戦争全体や経済の面ではほとんどないというのが常識だ。だが経済についてはある条件ではあるともいえる。それは人々や市場の本来持っている力を政治や制度が抑えつけている場合である。だからそうした場合はそうした抑えつけている障害を除けば、経済はたちまち活性化する。つまり経済を人為的な方法で活性化することはできないが、人為的な障害を取り除けば活性化するのである。だからもう配給制など事実上機能しなくなって、闇市場が流通を担っているのだから経済を自由化しろという話となる。最終的にはそうなるが、それでは政府の権威はまったくなくなってしまうので北朝鮮当局は取れないだろう。またインフラや元となる資金も不足しているので、荷を担いでからの行商という社会史をくりかえすのでは時間がかかるだろう。

ここで声をひそめて、本当の秘策を言おう。北朝鮮は以前「スーパー・ノート」という偽ドル札を印刷していた。外交官等に渡して本物と取り替える、あるいは海外の諜報組織の資金に使用していた。「スーパー・ノート」は精巧にできているが、いまでは識別機で見破れるらしい。じつはそのあと「ウルトラ・ノート」という識別機で見破れない偽ドル札ができたという噂である。識別できるようになったら「これがその偽札」と証拠を示せるので、噂ということは、本当に見破れない偽札ができた可能性がある。

そこで、北朝鮮はます。自国の通貨ウォンと米ドルを連動させると宣言する。これはインフレなどで自国の通貨の信用がなくなった場合によく行われていることなので珍しいことではない。つぎに米ドルとの交換比率を1ドル=1000ウォン(100ウォンでも構わない)と宣言する。そしてドルは北朝鮮国内で無制限に流通するとともに国外へも無制限に持ち出せると宣言する。その後、北朝鮮の工場等の労働者の賃金および未払い賃金を当分の間ドル札で支払うと宣言して、即日多量のドル札を各工場や職場をとおして労働者に配るわけである。もちろんそのドル札は偽札である。しかしアメリカが抗議しても断固として否定する。もちろんその札がアメリカの政府機関にわたっても偽札と特定できないことが前提だ。

そうするとドル札をもって北朝鮮の商人が国境を越えて中国へ買い物に行く。また中国から北朝鮮へ売り込みにくる。もちろん最初中国人は偽札を疑い本来のドルの2倍量としか売らないというだろう。しかしそのドル札を北京に持っていっても香港にもっていても偽札だとして受け取りを拒否するところは一か所もないことがわかれば、商人の中で競争が起こり俺はドルの1.5倍でよいとか1.4倍でよいとかビジネスチャンスをねらう商人間の競争で1.1倍ぐらいで均衡してくる。

ドルを持った者が、中朝国境の両側に押し寄せ食糧を買うと、一時的に中国朝鮮族自治区で食糧が高騰するが、噂を聞きつけた商人が中国全土と世界からから食糧を持って押し寄せるので食糧物価も下がってくる。それを買った闇商人は北朝鮮全土へ食糧を売りに行く。今までの世界からの食糧援助は途中で役人に抜かれたり軍隊の備蓄に回されたりで、満足に人民に届かなかったが、かくして商人により全国にゆきわたるのである。お金を配って途中で役人が横領しないか?という心配もされるであろう。しかし布告して自分の手に入る金額が明らかになっていれば、役人や職場のボスがピンはねできない。時には死んだ人間の分を役人がピンはねするかもしれないが、いくらでも印刷できる偽札だからあんまり気にしなくてよいだろう。

注意点は、いつまでも続けることができないので、離脱方法を心得ることだ。市場の使用量や税金はウォンで納めさせること。しかしウォンとドルの交換は保証したままにする。また企業間や政府との取引もだんだんにウォンのみとしてゆく。こうすればウォンも一定数保持することが必要になるし、ドルとの交換が保証されれば全額ウォンでもよいことになる。工場は当初配った偽ドルで材料等を中国から仕入れさせ操業を開始する。工場などでは政府が交付するドルのほかに、利益を上げた一定分は労働者に配分される。やがてだんだん政府が給付する偽ドルの量はすくなくなくして、工場の収益の配分のウォンのみの賃金に移行する。

つまり偽ドル札を使い、人民の飢えを解決するとともに、市場経済の本源的蓄積とするわけである。市場経済が回り始めたらすぐに偽ドル札の印刷はやめる。ただし流通するドルはしばらくそのままにする。

まあそのようにうまくいくかな。実はいかないと思う。それは北朝鮮当局が社会主義者だから。支配者はうまい方法だと、市場経済へのステップと考えず。いつまでも続けようとして破局する。これは今の日本政府の国債発行と同じ。つまり止める決断できず時を失するわけだ。つぎに偽ドル札印刷の責任者は、上から早く多量に印刷せよとの圧力により、ノルマ達成のためここまではいいいだろうと手を抜く方法を発見して、指令された量を生産して出世しようとする。かくてその手抜きから識別する方法が見つかり、一機にその紙幣が中国市場で使えなくなるという可能性がある。なぜそんな手抜きをするのか。それは社会主義者だから。