スタインバーグの「田園」

ベートーヴェンのシンフォニイでどれが一番好き？って聞かれたら、私は、やっぱり「田園」ですね。「好き」という言い方は当たらない気もしますが、「１曲選ぶのなら」ということでしたら、これです。「田園」交響曲は不思議な音楽です。前に「題名のない音楽会」の「振ってみまショー」で、素人の、ややご高齢の方が振って、なんとも言えない良い味出してました。これは、そんな曲なんですね。佐渡さんは「一度も指揮したことがない」っておっしゃってました。




ベートーヴェン/交響曲第６番「田園」

管弦楽：ピッツバーグ交響楽団



指揮：ウィリアム・スタインバーグ


ＬＰ（米コマンド・レーベル）




スタインバーグの「田園」については、前に一度書いています。初めて聴いた「田園」がこの演奏でした。ＣＤでは出ていません。
（同メンバーによるモノ録音はキャピトル・レーベルで出ています。一度、入手しましたが、それは手放しました。）
以前、ネットでアメリカのローカルなＣＤレーベルが販売しているのを見つけ、怪しい英文で「売って欲しい」旨のメールを出しました。返事は「国外への販売はしていないので、欲しかったら、いったん在米の知り合いにでも買ってもらって、その知り合いに送ってもらえ」というものでした。で、次に国内の有名なクラシック通販ショップに相談持ちかけました。そのショップからは「以前に、ちょっと交渉したけどダメだった」というようなお返事でした。もう何年も前なので、うろ覚えですが・・・・。そうそう、「招き猫」のＣＤ化要望板にもカキコしたりしました。
（そのことも、もう何度も書いているかも？？？）
まあ、それだけ、この演奏には思い入れが強いということです。

なんでもかんでもＣＤ化されるこのご時勢ですから、もう間もなくＣＤで出そうな気がしていますが・・・どうでしょうねぇ？？？手元にあるのはアメリカ盤の８枚組ＬＰ。数年前に某オークションにて入手したものです。
その中の「第９」については以前に書いてます。

耳に心地良いその録音の秘密は、当時コマンド・レーベルが採用していた35mmマグネティック・フィルム録音にあるようてす。手持ちのスタインバーグの国内盤(日本コロムビア「コマンド・クラシックス・シリーズ」)には、その優位性について岡俊雄氏による解説が記されていますが、ここでは省きます。


さて、肝心の演奏ですが、やはり、昔聴いた時の印象と同じ。
全体を通して、特に第１ヴァイオリンの明るく清廉な響きが耳に心地良いです。
管の音は、今聴くとそれほど魅力的とは言えませんが、美しい残響がそれを補っています。
第１楽章展開部の低弦のアクセントも喜ばしい気分いっぱい。
カラヤンよりも急速ではなく、響きもずっと簡素ですが、この清潔感はそのまま私の「田園」刷り込みとなってしまい、以来、しばらくはゆっくりテンポの「田園」に違和感を覚えたものでした。
さすがに、今はそんなことはありませんが・・・。
当時、聴いていたのは「運命」「田園」が表裏の詰め込みカッティングでしたが、これは「田園」１曲がゆったりと両面に入ってて、その分、響きも豊かです。
終楽章の、ひたひたと迫る祈りの折り重なりは、いつもながら感動的ですね。

このBOXセット、米アマゾンの中古市場では意外に安価で出ているのを見つけました。あんまり人気ないのかな?