静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

バーンスタインの「マタイ受難曲」を聴く

2010年08月24日 22時24分36秒 | バーンスタイン(バロック音楽)
 日頃は、ブログ記事書くためにわざわざ音盤鑑賞することはほとんどありませんが、レニーの誕生日と命日だけは別。いつも意識的に彼のディスクを聴くようにしています。今年も、そんな時期になりました。
 多忙中につき、「奥の院」にて腰を落ち着けて、というわけにはいきませんが、比較的集中して聴ける台所仕事の最中を中心に聴いていました。短いエントリは御免下さい。



バッハ/マタイ受難曲(英語による全曲、ただしカット有り)



管弦楽:ニューヨーク・フィルハーモニック


合唱:ニューヨーク大学合唱団他



エヴァンゲリスト(テノール):ディヴィッド・ロイド
イエス(バス):ウィリアム・ウィルダマン
ソプラノ:A.アディソン
メッゾソプラノ:B.アレン
テノール:C.ブレスラー
ベテロ、ユダ(バス・バリトン):D.ベル




指揮:レナード・バーンスタイン



録音:1962年




 まず、第1部終結の合唱「おお人よ、汝の罪に泣け」が、やはり素晴らしい。この演奏を初めて聴いた時には、それこそ、涙がほとばしるような感動を味わったものです。
 畳み掛けるような熱気で進む受難曲の第1部の結尾は、それまでの山あり谷ありの劇的雰囲気とは一線を画したかのような包容力のあるものでした。
 上から降る木管のオブリガートは、罪深く弱い私達をなぐさめるようであり、下方から真横へと過ぎ去っていく弦のフレーズはしみじみと、しかし、一ヵ所に留まることを許さない厳しさを湛えているかのようです。
 マタイは、たいがい、誰の演奏でも感動しますが、この第1部終曲はバーンスタイン盤が最も好みです。この演奏では他の部分ではメサイアの時のようなおどろおどろしい重苦しいようなテンポ設定はありませんが、この曲と、最後の(本当の)終曲だけは、この遅いテンポが効いています。
ちょっと癖の強い声質のソリストといい、もろにアマチュアらしい合唱といい、メサイア同様に欧州の演奏陣とは比較にならない精度の低さですが、それでも、そんなハンディを超えて、何かしら熱いものが伝わってくる不思議な演奏です。
 バーンスタインの音盤では、このマタイのような、作品、作曲家への畏怖の念さえ感じさせる誠実さに溢れたものに出会えることがけっこうあるのですね。



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