クリップスのベートーヴェン/交響曲第５番

昨日は平日休暇。いろいろ聴きました。
その中のいくつかを紹介します。



ベートーヴェン/交響曲第５番

ヨゼフ・クリップス指揮
ロンドン交響楽団




これはＬＰ。数年前に中古で買ったものだ。しかし、私がクラシックのレコードを買い集め始めた70年代当初、これは６千円で買えるベートーヴェン交響曲全集として、垂涎の一品であった。72年の正月にお年玉で買うつもりだった。ところが店先で急遽予定変更して、カラヤン指揮ウィーン・フィルのブラ１、バーンスタインの「幻想」、セルの「グレイト」（EMI）で６千円を遣ってしまったのだ。やっぱりジャケットの魅力もあったし、正月は、カラヤン、バーンスタイン、セルなど、いわゆる「高嶺の花」が買えるというめったにないチャンスでもあったから。いくらベトヴェン全集と言っても、箱も地味でマイナーな印象のクリップスは負けちゃったのだ。

今、聴くと、この全集はなかなか良い。丸みを帯びた、ややソフト・フォーカス的な録音だが、ＬＰだからなのか、強音でも耳にうるさくなく心地良い響きである。解釈もそういう路線で、ガンガン行くタイプではない。かと言って軟弱でもなく、絶妙で説得力あるバランスで、十分に「熱さ」も伝わってくる。全曲を支配する所謂「運命動機」、「タタタ・ターン」「タタタ・ター」が不思議と耳に残る終楽章は特に見事だと思った。コーダの「ターンタ・タラタタ」は、この運命動機の天地逆転じゃない？って、聴いてて感じた。

この全集は最近、お菓子の入れ物みたいなパッケージの激安BOXで出ているが、音の方はどうなんだろう？

昨日、他に聴いたのは、同じくベートーヴェンの「エグモントの音楽」全曲、大中恩の合唱曲、ハイティンクのサンプラーＬＰ、コンタルスキー兄弟のスラヴ舞曲など。
ヒマがあったら、また書きます。