静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」をクリップス指揮ロンドン響で聴く

2017年03月10日 23時56分59秒 | ベートーヴェン
 クリップスはずっと気になっていた、というか好きな指揮者なんですが手元にある音源はさほど多くはありませんでした。
 去年あたりから未聴の演奏をぼちぼちと集めだしていて、先のブラ1を含むアイテムもそのひとつでした。
 そんなときに、このクリップス・エディション“The Early Recordings”iconという23枚組が出て、ダブりはたくさんありましたが去年の暮れに思い切って買っちゃいました。
 私にとってはお安くない買い物でしたがタワーのポイント使ったりして・・・。
「箱物はもう買わへん」と決めてからも、なんか買っちゃってるのですね。
 つい先日もリリー・クラウスの例の31枚箱を某オクで、その前にマーキュリー50枚箱、それからミルシテイン8枚箱、フランチェスカッティ10枚箱・・・。
 なんか「10枚未満は箱じゃない」的な感覚も育ってきて(?)、一種の麻痺みたいになってます。

 箱物を聴く時は、ほとんどの場合その時々に聴きたいものを抜き出しているので、やがてどれが未聴なのか分からなくなってきたりします。
 で、このクリップス箱については、未聴・既聴に関係なく律儀に1枚目から順に聴き進めると心に誓っているのです。
 今日、6枚目まで聴き進めたところです。
 ベートーヴェンの交響曲第2番と第6番「田園」です。
 2番の方はまだ聴いていません。(それは、たぶん明日)
 
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ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」

管弦楽:ロンドン交響楽団
指揮:ヨーゼフ・クリップス

録音:1960年1月
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 クリップス指揮ロンドン響のベートーヴェン交響曲全集は、以前はレコードで持っていて、その後、例のキャンディーの入れ物みたいな金属の缶に入ったCDを入手していましたが、今回の箱購入に伴い、友人に差し上げました。
 聴き直して、やはり素晴らしい演奏だなとあらためて感じています。

 まず全5楽章のテンポが絶妙にいい(ヘンな言い方ですね。でも、いいか。)。
 他の曲と同様、ここでも木管の丁寧さとさりげないアピールのセンスの良さか光っています。
 第4楽章のティンパニの位置は、他の曲と違ってかなり右寄りで距離も近かったです。
 ここしか出番のないティンパニですので納得の対処です。
 先に聴いたブラ4では第1楽章の終結でティンパニが「あれっ?鳴っていないんじゃない?」って言うくらい弱かったのとは対照的でした。

 そして、そして、やっぱり第5楽章は最もよかった。
 この楽章は、なんでこんなにいいのだろう。
 なんでこんなに心に染み入るのだろう。
 なぜか分からなくても別にいいのですが、いや本当に素晴らしい音楽です。
 今日も、あのヴァイオリンが16分音符を奏でるあたりから、すっかりやられてしまいました。



第5楽章は「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」という表題がついています。

・・・「感謝」とは何に対して、何について感謝しているのでしょうか。
 単に「嵐が去ってくれてありがとう」じゃないでしょう(もちろん、当時も今も農家の人にとっては、それも切実な「感謝」ではあるでしょうが)。
 ずっと前に、この第5楽章とミレーの「晩鐘」(画像はウィキペディアより拝借)とを重ね合わせていた時期があって、実は今も少しそんなふうに思っています。
 小学生から高校生のかけての数年間、カトリックのミサに毎週通っていました。
 そのミサの終わりに神父さまがいつも「行きましょう、主の平和のうちに」と言い、皆は「神に感謝」と応えていました。
 「感謝」???
 考えが文章化できそうもないので、このことはここまで。
 でも、例えば、いよいよ自分の命が終わる時が間近となり、「死ぬ前に1曲だけ聴かせてあげる」なんてことになったら「田園」交響曲をリクエストしたいと思います。
 また、急にポックリ逝っちゃったら無理ですが、例えば昏睡に陥ってしまったり植物状態になったりして、もう(快復は)無理という局面になったら、ヘッドフォンでもラジカセでもいいから、「田園」の第2楽章と第5楽章を聴かせてくれたらうれしいです。
「感謝」とは、相手の心遣いや笑顔を思い起こすことでもあるから、命を終える最期のひとときに数限りない「感謝」を思い起こす、そして幸せを実感する、そういう「そのとき」でありたいものです。
 そして、そのとき聴かせてもらう「田園」はバーンスタイン指揮ウィーン・フィル盤でお願いしたいな。

 クリップスの「田園」から話が変わっちゃいました。
 彼の指揮の特徴は、短い言葉で言えば「晴朗」で「潔く」、「軽い」(良い意味で、です。「軽々しい」のとは全く違う。)、「商売気無し」(奇をてらうことが全く無い)。
 クリップスのことについては、このセットの感想を何回かに分けて綴っていこうと思っているので、そっちでまた。

 20170311 AM9:29 一部訂正


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