静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

村治奏一のギターを聴く(三重県文化会館ワンコインコンサート)

2016年10月15日 22時33分10秒 | コンサート
村治さんの「治」の字が長らく「冶」になっていました。大変失礼いたしました。(12月4日訂正) 
 


 仕事休みの金曜日。告知を聞いて以来楽しみにしていたコンサートに行くことができました。
 村治奏一さんのギターは生では初めて。ワンコインコンサートというのも初めて。
 開場が10時45分で、ホールにたどり着いたのが11時少し過ぎた頃でした。もう、かなりの人で埋まっていて前方はもう満席。真ん中より少し前の上手側に座りました。
 最初に館長さんのお話がありました。これはワンコイン恒例らしいです。鑑賞マナーについてが中心で、あとは村治さんの紹介などでした。
(お安い料金なので「勘違い」して来られるお客さんもいるのでしょうか?いるのでしょうね。)


ワンコインコンサート Vol.71

秋の風が届ける癒しの響き

村治奏一(ギター)


三重県文化会館大ホール

2016.10.14(金)午前11時30分開演




それでは、コンサートについて思い出しながら書いていきます。

●タレガ/アルハンブラの思い出

 チューニングのあと、バックハウスのライヴのように少し分散和音を弾かれ、続いて楽曲に入っていきました。
 かなりゆったりとしたテンポで、じっくりと思い出に浸るような感じの演奏でした。トレモロの粒立ちがとても美しく、とても新鮮なアルハンブラでした。


●フランソワ・クープラン/神秘的なバリケード、手品
●フェデリコ・モンポウ/≪コンポステラ組曲≫より“1.前奏曲” “2.叙唱” “3.歌” “4.ムネイラの踊り”

 このふたつは続けて演奏されました。
 いずれも初めて聴く曲で、クープランはバロック期らしく、かっちり感と歌心のバランスが気持ちいい小品ふたつ。
 モンポウの方は描かれる世界が多様で、4曲の中に様々な要素が感じられました。
 モンポウはピアノ曲はいくつか聴いていますが、ギター曲については、今までは、いろいろ入っているディスクのあちこちに点在しているのを「ついでに聴いている」という聴き方だったので、手持ちの音源を見直してみないといけません。
 ピアノ曲もギター曲も、モンポウはどちらかと言うとBGMみたいな聴き方が多かったようです。「ちゃんと聴き」しないとだめですね。
 陳腐な喩えですが、とてもエキゾチックな響きもあればキューンと心に刺さる歌もあり、煙に巻くような捉えどころのない和音もありました。


●スタンリー・マイヤーズ/カヴァティーナ(映画「ディア・ハンター」より)
●A.C.ジョビン/フェリシダーヂ(映画「黒いオルフェ」より)


 映画の音楽が2曲。恥ずかしながら(たぶん)2曲とも知りませんでした。
 淡々と、しかし秘めた情熱を感じさせるような「ディア・ハンター」、そして、しだいに激しくなる炎を思わせた「オルフェ」、2曲ともインパクトありました。


●村治奏一/虹
●藤倉 大/チャンス・モンスーン


 村治さん自作の「虹」は、虹と水の残った景色をイメージして作られたそうです。アルハンブラのトレモロも宮殿の噴水のイメージがあると仰られていました。そのとき、あのゆったりしたアルハンブラのテンポと結びついて合点がいきました。
「虹」は三部構成で、最初はシンプルで懐かしい歌のような旋律で始まり、トレモロ主体の中間部へと移行します。
 最初は、ふと見上げると虹があった、そして、トレモロの中間部は、まだ足元や周りのそこここには水たまりがあったり、いろんなものが濡れている・・・という感じでしょうか。
 とても抒情的で分かりやすく胸に染み入る音楽でした。
 最後に冒頭部分が戻ってきて、また虹に目をやって曲は空に吸い込まれるように終わる、そんなイメージがありました。
 そして、アタッカで次の「チャンス・モンスーン」に続きました。
 こちらは、目の前の景色から一気に上空に舞い上がり、人口衛星から地表を眺めているかのようなスケールの音楽。
「現代音楽」は、こうやって生で聴いてこそ面白いです。藤倉大氏は、少し前にBSプレミアムで何曲か見聞きしましたが、テレビやCDでは、こういう臨場感や緊張感、響きの多様性などは、これほどには伝わりません。


●村井邦彦(編:村治奏一)/翼をください
●村治奏一/コダマスケッチ


「翼をください」は、村治さんの編曲ということですが、これ、普通に言う「編曲」というようなナマヤサシイものではありませんでした。もう立派な「作曲」、あるいは「翼をくださいによる(自由な)変奏曲」とでも言った方がいいのでは、と思わせるかなり大胆で意欲的な作品でした。
 ハーモニーもオリジナルとは全く別物の近現代風で始まり、ちょっと武満徹の「ギターのための12のうた」を思わせますが、後半は、全然「翼を・・」はカンケイないみたいで、ダイナミックな中によく聴くとメロディが鳴っているという展開。これは素晴らしかった。
 最後の「コダマスケッチ」はNHKの番組『街道てくてく旅』のテーマをオリジナル40秒から2分ちょっとまで作り直したものということです。私は初めて聴く曲でした。これも親しみ易くどこか懐かしい雰囲気の漂う曲でした。


アンコール/「   」 

 すみません、村治さんはちゃんと教えてくれたのですが、私が曲名、作曲者ともに聞き取れませんてした。コンサート会場限定発売の新アルバムに収録されている曲だそうてす。
 ギターのボディを打楽器としてカッコよく打ち鳴らし、盛大な拍手を呼び起こしていました。


・・・ということで獏っとした感想ですみませんが、大変心地よく、また、ギターの多様性と表現力の豊かさを実感させられたコンサートでした。
1時間でも中身いっぱいという感じ。
 村治さん、今回三重県で4カ所、このようなコンサートを持たれるそうで、いったん東京に行かれて後、熊野古道センター(19日、完売)、松阪(20日)、四日市(21日)と回られます。
 私の地元松阪は20日ですが、仕事の関係で行けないのが残念です。会場は自宅から歩いて10分なのに・・・!



オマケ・・・会場の外では「骨董市」(ダラクタ市)みたいなのをやっていました。こういうのは素通りできませんよねぇ。なんにも買わなかったけど・・・・・












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