映画「6才のボクが、大人になるまで。」
原題:Boyhood
監督、脚本:リチャード・リンクレイター
製作:リチャード・リンクレイター、キャサリン・サザーランド、
ジョン・スロス、ジョナサン・セリング
キャスト
エラー・コルトレーン、パトリシア・アークエット
ローレライ・リンクレイター、イーサン・ホーク、他
2014年公開(米7月、日本11月)
レンタルDVDで観ました。
「ビフォア・ミッドナイト」のリチャード・リンクレイター監督が、ひとりの少年の6歳から18歳までの成長と家族の軌跡を、実際に12年をかけて撮影したドラマ。
主人公の少年メイソンを演じるエラー・コルトレーンを筆頭に、母親役のパトリシア・アークエット、父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーターの4人の俳優が、12年間同じ役を演じ続けて完成された。(後略)
・・・という、解説が目に留まったので借りて観ました。
これは面白かった。
「面白かった」というより、なんか不思議な味わいがあってずっと魅入ってしまいました。
離婚とか思春期前後の諸々とかの(映画としては)「ちょっとした」波風は立つものの、全体にこれといった山場はありません。
やはり「主人公とその家族の12年間を、実際に12年かけて撮影された」ことが事前にインプットされた上で観ているからか、彼らの成長(加齢?)のリアルさに目がいってしまいました。
脚本、監督を手掛けたリンクレイターも、観客は事前にそのことを知っている前提で作ったのではないか?映画について詳しく知らない私は、そんなふうにさえ思いました。
12年間、断続的に撮られた映像は、年代の境目は全く自然で、何の説明もなく唐突に訪れます。
幕切れも唐突ですが、ヘンではありませんでした。
人物の見かけの(わずかな)変化や、通っている学校などの周囲の諸々で「あっ、ここで時間が飛んだ」ってことが分かります。
6歳の小学生から中学、高校、思春期を経て、小さい時の個性は良くも悪くも残したままに「落ち着いて」大学生となるまでの、まるでドキュメントみたいな、ある意味「ありふれた」出来事のパッチワークですが、それが観ていて退屈しないし、リズムが(私には)ちょうどよかったです。
長期間、同じキャストで撮られたドラマ(映画)としては、私は「北の国から」しか知りませんが、あそこで描かれるようなドラマは、ほとんどありません。
まあ、母親はイーサン・ホーク演じる最初の夫と離婚して以来、2回再婚しますが、いずれもうまくいかず、というくらいかな。
でも、大方の人にとって人生のドラマって、そういう「ありふれた」デキゴトが、その人にとっては大きなデキゴトであって、それが人生の上向下降の転機になるのですよね。
観ていて、共感することはいくつもありました。
そして、描かれた家族の姿に、「やっぱ、そりゃおかしいよね、アメリカだから?」と思う面もありましたが、なんともうらやましい家族や友人との付き合いもあり、取り戻せない自分の家族との関わりや親子としての過ごし方についてのほろ苦い後悔みたいなものも感じさせられました。
監督について、ちょっと調べたら「ビフォア・サンライズ」と「ビフォア・サンセット」を撮った監督だったんだ。
どっちも好きな映画ですが、そう言えば時間経過の描き方やテイストが似ていました。
「ビフォア・ミッドナイト」はまだ観ていないので、そのうち観るつもりです。
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