静かな場所

音楽を聴きつつ自分のため家族のために「今、できることをする」日々を重ねていきたいと願っています。

ギュンター・ヴァントの「第9」

2008年12月30日 01時21分53秒 | ベートーヴェン
また、「第9」です。別に集中的に聴いてるわけじゃないのです。勝手にヴァントのベートーヴェン・チクルスをやってて、さっき聴いたところなのですが、あまりによかったので・・・・。
「年の瀬に第9を聴く」なんて特に意識してるわけじゃないのですが、なぜか、聴きたくなってきて、11月末のフルヴェンから、マタチッチ、アバド(ソニー盤)と聴いてきて、今回はヴァントです。



ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」

イーディス・ウィーンズ(ソプラノ)
ヒルデガルト・ハルトヴィヒ(アルト)
キース・ルイス(テノール)
ローラント・ヘルマン(バス)
ハンブルク国立歌劇場合唱団(合唱指揮:ユルゲン・シュルツ)
北ドイツ放送合唱団(合唱指揮:ヘルムート・フランツ)
北ドイツ放送交響楽団

指揮:ギュンター・ヴァント

【録音】1986年



ギュンター・ヴァントの指揮するベートーヴェン交響曲全集を中古で買ったのはいつだったかな?
とにかく長い間、棚で眠っていました。
で、ちょっと前にやっと1枚(1番、7番)、聴いてみたのですが、これがとんでもなく素晴らしかった。
うまく言えないのですが、7番の序奏が始まったとき、それまでに聴いてきた数多の演奏のどれとも違う厳しさを感じました。

それで、にわかにチクルス(集中鑑賞)開始と相成りました。
一昨日、3番、2番、4番と聴きました。
今夜、9番と8番を聴いたので、明日、5番、6番を聴いてチクルス終了の予定です。

どれもすごくよかったのですが、さっき聴いたばかりの「第9」に興奮冷めやりませぬ。

ヴァントのアプローチは、なんと言うか、彼のポートレートそのままに「厳格」そして「非情なまでの堅牢さ」と言った感じでしょうか。
硬派ですね。
面白おかしいことは何にも言わないのに、何故か付いていきたくなる不思議なオーラを発している演奏です。
どの部分をとっても、「ここはこうやるに決まっとるやんか!」って確信に満ちたスゲエ充実した響きの連続。
例えば第1楽章の第1主題の出現で、おおかたの指揮者が、ちょっとはタメを作るところを、彼はインテンポで突入しています。
その切り込み方の何とも壮絶なこと!
その後も感傷を廃したかのような厳しい雰囲気は続き、終楽章のフィナーレまで持続します。
あまり目立たない内声のちょっとした動きの存在感をアピールするのも、バランスを整えて聞かせているなんてヤワなものじゃなく、蓋をしてもそれを押しのけてせり上がってくるパワーを感じさせます。
2番でもそうでしたが、弦のトレモロや伴奏音型の実在感は鳥肌ものです。
ちょっと違うかも知れませんが、楽譜への向き合い方はクレンペラーと共通するものがあるかと思いました。

しかし・・・ホンマにすごい演奏だったんだなぁ。こんなのが棚で何年も眠ってたなんて、なんか信じられん・・・・。



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2 コメント

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ヴァントの第九はスゴイです (mozart1889)
2008-12-30 10:27:59
ヴァントのベートーヴェン全集、僕は友人からもらったんですが、ものすごい演奏でした。びっくりしました。
(僕の友人は、この全集をダブり買いしてしまう変やヤツなんですが)
りゅうさん仰るように、目立たない内声部でさえ「蓋をしてもそれを押しのけてせり上がってくるパワー」なんです。全く凄いなぁと思います。このくらい厳しくやってくれると、かえって生理的快感であります。目から鱗、耳から垢が落ちる演奏だったと思います。
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>mozart1889さん (親父りゅう)
2008-12-30 10:51:36
おはようございます。
今年も押し迫りましたね。

mozart1889さんも、この演奏の凄さを知ってましたか!
私は昨夜聴いて、本当に圧倒されてしまいました。
ヴァントはブルックナーを主に聴いてたのですが、一気に、いろいろ聴きたくなってしまいました。

>生理的快感
仰る通りでして、錯覚なんでしょうが、なんか他の演奏がチマチマやってるちっちゃなもんに思えてきました。

私のは古いRCA盤なのですが最近のは音がよくなっているって書いてありますので、もうちょっとお安くなったら、たぶん買い換えるでしょう
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