地上を旅する教会

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でもその一滴の水があつまって大海となるのです。

出産【赤ちゃんポスト、もう一つの試み  相談24時間、救われた命】

2014-02-21 02:37:02 | Weblog
photo 芦田愛菜



心を尽くして父を敬い、
また、母の産みの苦しみを忘れてはならない。


シラ書〔集会の書〕/ 07章 27節
旧約聖書続編 新共同訳



家族の間に、
もう少し多くの愛、一致、平和、
そして幸せがあったなら、

こんなに多くのアルコール依存症や、
麻薬中毒者は生まれなかったことでしょう。


マザーテレサ
(『愛と祈りのことば』より)




▲ TEL 0120-783-449


★赤ちゃんポスト、もう一つの試み 
相談24時間、救われた命

◆産経新聞 2014年2月2日 12:00




▲慈恵病院で受け入れ・相談を受けた赤ちゃんの行方

 日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」をめぐり、親が育てられない子供を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する熊本市の慈恵病院などが人権侵害を訴えている問題。主人公が「ポスト」とあだ名されたように病院の活動は「ゆりかご」ばかりが強調されるが、同病院は望まぬ妊娠に悩む女性への相談を通じ、特別養子縁組を6年8カ月で190組成立させている。これは全国の成立数の1割近くに当たる。地方都市の一民間病院は、どんな取り組みを進めているのか。

予期せぬ妊娠の果てに

 千葉県南房総市の自然公園で昨年末、生後すぐの男児の遺体が見つかった。県警によると、雑木林の枯れ草の上、白いタオルと透明なポリ袋に包まれていた。へその緒がついており、頭の骨が一部見えていた。

 児童虐待死を検証する厚生労働省の専門委によると、虐待死で最も多いのは生後0日。平成24年3月末までの8年9カ月に虐待死した495人のうち16%に当たる83人が、生まれた「その日」に死んでいた。

 慈恵病院の蓮田太二理事長(78)がドイツを手本にゆりかごの設置を決めたのも、熊本県で置き去り死が相次いだためだった。病院の前身は明治31年、カトリックの神父が建てたハンセン病の施療所。捨て子を育てる乳児院もあった。

 ゆりかごは平成19年5月から運用を始めた。「捨て子を助長する」といった批判の中、25年3月末までの5年11カ月で92人を受け入れた。一方で、病院は14年から相談活動を始め、18年11月からは24時間無料で電話を受けている。未婚、生活困窮、世間体、戸籍に入れたくない、不倫の子…。24年度は1千件に達し、累計は3800件を超えた。


慈恵病院の「貢献」

 蓮田さんは「一方で、預けられた子供を育てたいと養子縁組を希望する相談が多いことに驚いた」と振り返る。昨年11月末までの7年間で1092件が寄せられ、190組の特別養子縁組が成立した。司法統計年報によると、18~24年の7年間の全国の成立件数は2273件。慈恵病院の数だけでこの1割近くになる。

 予期せぬ妊娠などにより生まれてくる新生児の特別養子縁組は「赤ちゃん縁組」と呼ばれる。愛知県の社会福祉士、矢満田篤二さん(79)が児童相談所に勤めていた昭和57年から始めた。政令市の名古屋市を除く県内の児童相談所で31年間に161組が成立し、「愛知方式」として知られる。

 厚労省は平成23年7月、「妊娠の悩み相談体制を充実させる」「匿名相談にも応じる」「養育困難の新生児は、妊娠中からの相談を含め、出産した病院から直接里親へ委託するという特別養子縁組を前提とした委託が有用」とする通知を全国の自治体へ出した。

 矢満田さんは「この通知を最も具現化しているのは慈恵病院の24時間相談であり、ゆりかごの匿名保護であり、その一歩手前で相談により保護した190人を養父母と結んだ赤ちゃん縁組ではないか」と指摘する。


あくまでシンボル

 全国で保護された新生児は児童相談所を経て9割近くが乳児院で育てられる。ゆりかごでも、23年9月末までに預けられた81人のうち乳児院が27人、里親委託が26人で、特別養子縁組は11人。蓮田さんは「乳児院では3歳になると児童養護施設へ移ることになる。子供にとって、お母さんと思っていた乳児院の職員との別れは非常に過酷な体験となる。精神的な虐待と言わざるを得ない」と話す。

 「ゆりかごへ預ける前に相談により一人でも多くの赤ちゃんが特別養子縁組を結び、実子として戸籍に入って、深く愛される家庭で育ってほしい。ゆりかごはあくまでシンボルであり、できるだけ赤ちゃんが入らないようにと願っている」

 ■特別養子縁組、実子として養育

 予期せぬ妊娠や児童虐待など親が育てられない子供を他の家庭で養育する制度には、里親と特別養子縁組がある。里親は、自治体に登録した家庭が児童相談所の委託で育てる制度。一方、特別養子縁組は法的に親子になる制度で、一般的な養子縁組とは異なり、実の親との親子関係が消滅するため戸籍も「養子」でなく「長男」「長女」などと記載。実の子供として育てられるよう配慮されている。

 制度化のきっかけは昭和48年の「菊田医師事件」。宮城県石巻市の産婦人科医、菊田昇医師は、中絶に訪れた女性を説得して出産させ、子宝に恵まれない夫婦に偽の出生証明書を書いて無報酬であっせんした。生んだ女性の戸籍に出生の記録を残さず、養父母の戸籍には実子と記載できるよう配慮したためといわれる。

 菊田医師は医師法違反で罰金と半年の医療行為停止となったが、子供の命を救うとの精神から近年、新生児の特別養子縁組「赤ちゃん縁組」の先駆者として再評価されている。



(産経新聞 2014年2月2日)



▲マリアの宣教者フランシスコ修道会に併設されている「慈恵病院」 が運用する
「こうのとりのゆりかご」
(赤ちゃんポスト)


子供たちを来させなさい。

わたしのところに来るのを
妨げてはならない。

天の国はこのような者たちのものである。

「マタイによる福音書」 19章14節


【今日の御言葉】