だから、言っておく。
この人が多くの罪を赦されたことは、
わたしに示した愛の大きさで分かる。
赦されることの少ない者は、
愛することも少ない。
「ルカによる福音書」/ 7章 47節
新約聖書 新共同訳
『信じるのか信じないのか』
と言われるが、科学は宗教ではない。
笹井芳樹氏 (写真)
★「問題見抜けず慚愧の念」
理研・笹井氏、謝罪と釈明3時間
◆日本経済新聞2014年4月17日 1:39
「問題を見抜けず、慚愧(ざんき)の念に堪えない」。STAP細胞論文を巡る問題で16日記者会見した理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長(52)。小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の指導役として論文の「不備」を謝罪した。半面、「論文執筆の最終段階で参加した」とし、理研が認定した「不正」には直接関わっていないとの立場を強調した。
冒頭、笹井氏は用意した紙を約45分間にわたって読み上げ、研究に携わった経過や問題を見抜けなかった反省点を説明した。「論文全体を俯瞰(ふかん)する立場で責任は重い。大変申し訳ない」と何度も頭を下げた。
一方、自らは「論文投稿までの2年間のうち最後の2カ月強、最終段階で加わった」とし、執筆のアドバイザーだったとの立場を強調。STAP細胞の作製実験には参加しておらず「実験の生データやノートを見る機会がなかった」ことから、理研の調査委員会が認定した不正について「一つ一つの生データを確認するのは非現実的で困難だ」と、見抜くのは無理だったと釈明した。
「直属の部下でない小保方さんに『ノートを持ってきなさい』とぶしつけな依頼をするのは難しかった」とも述べた。
万能細胞分野の権威とされる研究者らしく、記者の質問には専門用語を交えながら終始、落ち着いた口調で説明。会見は約3時間20分に及んだ。STAP細胞が存在するか否かの質問には「検証に値する有望な仮説」と自信をのぞかせつつ、「『信じるのか信じないのか』と言われるが、科学は宗教ではない。非常に高い確度で論文にしたが、確度が損なわれた」と淡々と話した。
9日の記者会見で涙ながらに訴えた小保方氏に対し「率直に言えば、心が痛んだ」という笹井氏。小保方氏の資質を問われると「豊かな発想力と高い集中力を持っていたが、トレーニングが足りなかった」。自らも「若手にはもろい部分があるとの認識が不足していた」と述べた。
http://mw.nikkei.com/sp/
(日本経済新聞2014年4月17日)
山中伸弥氏 (写真)
★【小保方さんの騒ぎ】
オヤジたちが情けない(4月16日)
http://www.minpo.jp/news/detail/2014041615130
◆福島民報 2014年4月16日
STAP細胞をめぐる小保方晴子さんの騒動を見ていると、日本社会の重大な欠陥を見ているような気がして仕方がない。
遠目には、頼りなさそうだが頑張っている若者を、既得権益に凝り固まったようなオヤジどもが寄ってたかっていじめているようにしか見えない。論文の書き方のルールだとか、都合のいいデータだけそろえる科学者がやってはいけない初歩的心得違いだとか、得意げに既存社会の正しさを並べ立てている。登場するオヤジどもはほぼ全員、ケチをつけることに関しては一生それだけにかけてきたような技を駆使して、自己保身と未熟な若者つぶしに全力を挙げている。嘆かわしい限りではないか。
要はSTAP細胞ができるかどうかだけである。科学論文として不正かどうかなど、どうでもいい視野の狭い研究者の内輪での話だ。せっかくそれなりに頑張って苦労して「できた!」と若人が声を上げたのだ。そうか、じゃあちゃんとできるかどうか、みんなでもう1回やってみようじゃないか、と前向きに励まし協力してやるのがオヤジの役割だろう。
学会内やその取り巻きの連中が何と言おうが、STAP細胞ができればそれで万々歳なのだ。うまくいかなかったら、だめだったねえ、こういう点に注意してもう一度頑張り直してみなさいと、再挑戦させるのが先輩・先達のとるべき正しい態度だろう。理研の思惑隠しとかいまさらの責任逃れや、権威へのごますり評論を含め、世間がやっていることはまるでその逆ではないか。細胞研究とは何の関わりもないところで大騒ぎしている。
日本の優秀な若い研究者たちがより良い研究環境と雰囲気を求めて海外に勉強に行ってしまう真の事情を、連日われわれみんなで見てしまったような気がしてならない。これでまた若い優秀な頭脳流出は加速されるだろう。とても残念だ。
今回のことは、STAP細胞のことだけではない。研究者たちが作り上げてきた独特の内輪社会の課題が表ざたになったと見た方がいい。ある意味で科学の世界ではずっとあった、そんなことはあり得ない、できっこないという既成勢力の権威たちと、それに挑戦するとんでもない発想の主としての若者の戦いの図でもあろう。目立ちたがり屋や変人研究者の成功に対する、嫉妬やひがみなど通常必ずある足引っ張りという最大勢力の抵抗もある。
ちょうど同じころNHKスペシャルでやっていた「人体ミクロの大冒険」に出演していたノーベル賞受賞者の山中伸弥教授が、STAP細胞騒動のことで、研究そのものと研究の成果公表の手だての難しさを控えめに心優しく語っていた。さすがノーベル賞までいってかつ好かれる人は、並の研究オヤジと全然違ういい人と思わせ少し安心した。
(元毎日新聞社主筆、福島市出身)
( 福島民報 2014/04/16 08:12 菊池哲郎の世相診断 )
小保方晴子氏 (写真)
小保方晴子氏
(資料画像 ニッカンスポーツ 2014.4)
※不服申し立て後の手続きの流れ
(資料画像)
【今日の御言葉】