もしもあなたがどこかで 、誰かを頼ってもどうせ何もしてくれはしない。
どんなに助けを求めても救われることは無い。
世界に対して漠然とそんな絶望感を抱いているなら、
生まれて直ぐに母親から引き離され、どんなに泣き叫んでも放置され、誰も自分の声を聞いてはくれない、誰も自分を愛してはくれない。
そんなバーストラウマを負ってしまっているかもしれません。
今でこそカンガルー保育や、母子同室を取り入れる産院がふえていますが
以前は母親の回復を優先して、その後ずっとケアすることになるからと、最初の1週間は楽をさせようとあえて別室にする所が多かったです。
別室であると授乳時間がバラバラになれは病院側の負担が増えるため、10時、12時、のように決められた時間で授乳するところも珍しくありませでした。
授乳のリズムは一定じゃないから、飲まずに寝ている子、お腹すいて泣いても誰も来てくれずぐったりしている子などがいました。
安全な子宮から世界にでてきた瞬間に母と引き離され、1度も聞いたことの無い声の助産婦さんや看護婦さんの機械的な声しか聞えず、母の神経を通して世界をぼんやり見ていたのにそれさえ出来ず 、安心したい。
ただそれだけなのにそれをてきないまま1週間も過ごすうち 、諦めと絶望の感情が生まれてしまっても無理はありません。
その絶望を抱えたまま成長し、小学校、中学校、と複雑になっていく自分の世界の中で世界が安心できなくて、怖々生きていると、傷ついても回復するすべも知らず、誰にたよっても無駄だと思ってしまっているか、誰も頼ることもせず、 かつてすごした安全な場所の子宮に似た自分の部屋に閉じこもってしまうのも無理ないのです。
そんなあなたを見て聖母は涙を流すでしょう。
こんなにも愛しているのにこの声が届かない。
この手で、抱きしめてあげられないと。
だから想像してみてください。
世界を信じられなくてもいい。
お母さんを信じられなくてもいい。
この世界のどこかに聖母がいると。
本当に居るかどうかは問題ではありません。
あなたが今より少しでも心が軽くなるためにファンタジーの世界として
ただイメージして欲しいのです。
柔らかく優しいその両手で、あなたを大切そうに包み込み、
愛おしい人、何度もそう言いながら頬ずりして微笑むでしょう。
聖母の顔はいつの間にかあなたのお母さんの顔になります。
もしも実際のあなたのお母さんはそんなことしてくれなくても、今いるのはあなたの理想の世界だからそれでいいのです。
もしかしたらお母さんにはお母さんの理由があって上手く出せなかっただけで、聖母の部分があるのかもしれません。
いいえ、誰にも必ず聖母のような愛を持っているものです。
それが隠れているかどうかだけで。
お母さんはもしかしたら、泣いているあなたのそばに飛んでいき、聖母のようにずっと抱きしめていたかったのかもしれないのだから
今はただ純白の赤ちゃんに戻って、安全な腕の中で抱きしめられている
それだけをイメージしてください。
何も考えなくていい。
目を閉じたまま、温かな温もりの中で、遠くで安心する匂いを感じながら、
明るい日差しの中ですやすやと眠りに落ちていきましょう。
安全な場所で、完全に守られている幸せをその胸に、今はゆっくりと眠りにつきましょう。
次に目を開いたら、あなたの心は満たされていて、元気に微笑むことが出来るでしょう。
どんな未来が待っているのか、輝く光に照らされた道を、歩き出す元気がみなぎっていることでしょう。
だから今はゆっくりと深呼吸して、ただいるだけで愛されることを実感してください。
幸せな心のままで。
遊月