先日のお話会なのですが、参加いただいた皆様から長文の感想などをいただいております。
まとめると(まとめるんだ(笑)
ほんとに役に立った
自分にも必要なメッセージがあった
今日からできることがわかり、早速やってみた
みたいな感じです^ ^
そうやって誰かの心に届いて、その人の背中を押すことができたらなら良いなと思います。
ビルのこういう場所が好き
昨日「52ヘルツのくじらたち」と言う本を読みました。
クジラが海の中で歌を歌って会話をするのはよく知られていますが、(歌っているように実際に聞こえます。)
この52ヘルツの周波数は他のクジラには届かないので、いくら広い海で歌っても、誰にもその声が届かない。
そんなクジラがいるそうで。
虐待をされて育った女性が主人公で、DVなど色々あり、ひとりで生きようとやってきた田舎で、虐待されている少年と出会う。
そんな物語。
誰にも届かない声にならない声を発し続けていた子供たちは、やがてその声を聞いてくれた人たちに救われていくストーリーではあったのですが。
感動したし泣いたのですが。
虐待する人間が何人か出てきたのですが、全員ステレオタイプだなぁと思いました。
最後は、優しい人たちに出会って、その中に入ることができて救われてよかったね、と終わっていたこともちょっと気になりました。
だって世界はそんなふうになるとは限らないから。
救いがなくて底に沈んだまま、声も出せずに普通を演じている人たちがきっとたくさんいるから。
本のテーマに「声を出し続ければいつか誰かに届く」があると思うのですが。
うん、それは大切。
でも読みながら虐待する側の性格設定がちょっと気になっていて。
(ついキャラ設定とかの目線で見ちゃう。何様モードですが苦笑)
された側の手記はたくさんあるだろうけど、虐待した側の手記なんてほとんどないから、参考になるものがなかったのかなーとか(ほんと、何目線?笑)
そして読んでいた時、ふと元夫が言っていた言葉を思い出しました。
自分を抑えられなくて、弱いものに一方的に暴力を振っていた。
そんな彼が2、3度、自分の母親に受けた暴力の話をしていたのです。
前妻が置いていった歳の離れた長男がいる中で、元夫はその母にとってはじめての自分の子供でした。
長男さんは真面目でしっかりしていたため、次男である元夫は、長男さんと比較されて、何かと言えば母親に殴られていたと言うのです。
彼は弱い者いじめが大好きで、
(武勇伝のように語るヤンチャな学生時代の話は、単なる弱いものいじめだと私は思って聞いていた)
ある時、自分に逆らった弱いクラスメート(ふざけて画鋲を椅子に置いてからかったら、気付かず座って俺に怒ってきやがったと彼は言った)に腹を立て、後ろの席に座っていた彼は、前に座っていた「逆らった」そのクラスメイトを、後ろからコンパス(円を書くやつ)の針で背中を刺したら問題になった、と。
そのことで学校から連絡が来た彼の母親は、彼の「顔の色が変わるまで殴った」と言うのです。
あの話を聞いたとき、私はすでによく彼に殴られていたので、ふーんと言うレベルの感想しかありませんでした。
いや、そんなロクでもないことしたら普通叱られるだろうくらいの感想。
そして、彼は暴力を振るわれていたのだ。暴力ってこうして連鎖するんだ、と思ったまでて止まっていた。
改めて昨日虐待されていた物語を読んだ時、十三歳の少年が母親にあざになるほど殴られているシーンがあり、改めて元夫がかつて家の中では無力な少年であり、家族で一人だけ母親に暴力を振るわれていたんだと気がついたのです。
長男さんは真面目で叱られることはなかったし、義理の母ですから、彼女は手を挙げることはなかったそうです。
そして年の離れた妹は、可愛いがられており(彼目線なので事実はわからないけれど)
わがままを言ってもいつも受け入れられていた。
もちろん殴られるなんてことはなかったと。
まあ、やっている悪さのレベルも一因ではありますが。
でも、「たった一人だけ暴力を振るわれていた」ことと、彼の性格の、というか考え方の歪みは無関係ではないだろうと思いました。
だからって、そりゃあ大人になっても暴力振るっても仕方ない!理解できるよ!
とは一ミクロンも思いませんが。
彼自身にも問題があるから仕方ない部分はありますが、「顔の色が変わるほど殴る」は躾ではなく、暴力です。
一般社会でたとえばショッピングモールなどで他人の大人の女性が、少年の顔の色が変わるまで殴ったとしたら、逮捕されます。
たとえ少年が学校で友達にコンパスを指したとしても。
そのことで少年に与える罰は、暴力であってはならないと私は思います。
昨日私は、少年の頃の彼に初めて同情しました。
人は子ども時代に理不尽に大人に暴力を振るわれて育ったら、反面教師にするか、同じような人間になるか。
どちらかを選ぶのだと思います。
その影響が全くなく生きていけるとは思えない。
それくらい深刻なことです。
ちなみに体罰だけではなく、
産まなければよかった、とか、
あんたは生きる価値がないとか、
言葉の暴力も同じです。
そんなことを色々考えるきっかけになった小説でした。