昨日はうっかり読書の日になってしまいました。
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ミスドでひとやでひとやすみ中
いつも空き時間に本を読んでいます。
昨日は資料作りを終わり、ショッピングモールにお買い物に行きまして。
カフェで一休みしながら、図書館からやっと届いた本を読み始めたのです。
それは『ザリガニが鳴くところ』
という本です。
2021年の、翻訳部門で本屋大賞を取った本でした。
本屋大賞の本は人気があるので、図書館で予約しても1年以上待たされるのはザラなのです。
そして読みたい本がたくさんあるのに、10冊までしか予約ができず。
なので、やっと届いた本でした。
ちまちまと空き時間に読むつもりだったのですが、結局1時間ほどカフェで3分の1位読んでしまいました。
(別のことをする予定で入ったのに)
自宅に戻り、夕食後にまた読み始めて、読み切ってしまいました。
結構分厚くて、速読でも2時間ぐらいはかかる本だったのですが。
あまりにも文章が美しかったので、速読せずに1文字1文字ちゃんと読んだため、倍以上の時間がかかってしまいました。
昨日やろうとしていた予定全部すっ飛ばしてまで読んでしまったのは、物語にとても力があったからです。
もし興味を持った方のためにネタバレはしませんが。
簡単なストーリーを話すと、1930年から、1960年代位までの設定の物語です。
アメリカが舞台で、主人公の女の子は日本で言うと釧路湿原のようなイメージでしょうか。
そんな場所に住む、貧困層です。
開拓されていったアメリカにおいて、住むに適しない湿地帯は、訳ありの人や貧困層が勝手に住み始めた場所であり、近くに住む人たちから差別を受けていました。
そこで生まれた少女の家庭では、ろくでもない父親の暴力によって、ある程度の年齢になると、兄弟たちは1人、また1人と出て行き、母親も出て行き、最後は、ろくでもない父親と、6歳の少女がそこに取り残されるのです。
1人で生きていくために、めったに帰ってこない父親と鉢合わせしないように、父親が家にいるときは、いつも森に隠れてやり過ごし、父親が出ていてしまうと、その辺にあるもので、何とか食いつなぎます。
とうとう父親が帰ってこなくなると、わずかなお金を渡されていたものも尽きてしまいます。
灯油など、どうしてもお金が必要になった時に、かつていちど父親に連れて行ってもらったことのある、同じく差別をされていた黒人が経営している何でも屋のようなところに行きます。
そこで、沼で獲ったたくさんの貝を買ってくださいとお願いするのです。
事情を察した店主は、代わりに洋服をあげたり、お金をあげたりと夫婦で少女の面倒を見続けます。
街の人たちのひどい差別と、本当にわずかだけれども、こっそりと善意を示してくれる一握りの施しの中で、少女は完璧な孤独の中、何とか生きていくのです。
その孤独につけこんで街の有力者の息子がろくでもないことをしてくるわけですが。
悲しくて、何度も胸が張り裂けそうになるのに、その少女の清らかさと賢さと、生きる強さに引っ張られて、目を離すことができないなと思いました。
それに、人との関わりはほとんどないけど(黒人の夫婦と文字を教えてくれた漁師の息子の少年しかいない)
沼に来る水鳥や鴎、動物たち、幻想の中の幼い兄、そして沼。
それらが力をくれるから、完全な孤独じゃない。
膨大な時間を文字を覚えて本を読み、一つ一つ世界を知っていく。
貧しさとか孤独とかは、人生の豊かさとは別なのだと気づかさせれる。
幸せってなんだろうって、強く思いました。
キャッチコピーに、「この少女の人生を生きてください」みたいなことが書いてあったのですが。
読み終わった後、しばらく、
あれは架空の物語なんだ。
彼女の人生は、私の人生ではないし、作った話なんだ。
と何度も思うのですが。
どうしても頭から切り離すことができない位、彼女の人生がめちゃくちゃ刺さっていました。
なるほど、これは本屋大賞になるわと思いました。
と言う、珍しく、一般小説のオススメ本です^_^