空が萌える日は、よくこの場所に立つ
まだ35度を越す夏の盛りの夕方だった
青々とした稲は、どこまでも広がり、
西の空は、赤く赤く染まる
ドラマチックな空は、ほんの数分、
僕を虜にした
きょうも同じ場所に立った。
飛行機雲が空を彼方に消えていく。
空は赤くならず、いつのまにか雲は白から黒にかわり、
誰にも気がつかれないように、
静かに牛舎に夜のとばりがおりた。
もう苦しみのない空の彼方へ
痛みからも苦悩からも解放された空の彼方へ
誰のせいでもないよ、と暗くなった空が、
やさしく微笑みかけていた。
おだやかに、やすらかに・・・